アース不要の21MHZアンテナの作成
For アマチュア無線
制作 OLIVEOIL艇長 かわぐち ひでみ
JH1OVA
ベランダにテストで作った 21MHZ用1/2波長ノンラジアルアンテナ |
||
☆☆ はじめに ☆☆ アマチュア無線は、海外を目指し航海する多くのヨットマンが使用し手軽で実績のある通信手 段として使用されていますがその主な理由は、 @簡単な講習で免許が取れる。 A比較的安価な投資で高性能な日本製無線設備を構築できる。 B無線機も小型化し、安定度も、性能も向上し操作も難しい事はありません。 C海外と手軽に交信が出来る。(日本語を習うHAMも多く日本語が通じます) D毎日定時にヨット対象のマリンネットが稼動し誰でも参加ができる。 Eマリンネットを利用し世界中の中継局を介して全世界と交信が出来る。 そこで、これからヨットにアマチュア無線を備え付けようと考えている方の参考に成ればと思い 無線設備の中で最も重要で交信の優劣を左右するヨット用アンテナについて経験則を含め述 べてみました。 |
||
☆☆ ノンラジアルを採用した理由 ☆☆ 無線装置の優劣は、電波の出入口であるアンテナの良し悪しが極めて重要な要素となります。 如何に高価で優秀な無線機を使ってもアンテナが悪ければ貧弱な交信しか出来ません。ところが、廉価 な無線機であってもアンテナが優秀であれば高級な無線機を超えた働きをします。それほどアンテナは 大事な役目をするのです。 永年、車やヨット等に搭載する無線機のアンテナのHowtoを試行錯誤してきて一番の課題となるのが電 波を受送信するアンテナの良し悪しでありました。 特に短波帯では、極超短波帯で問題に成らなかったアースの取り方やアースの導通不良により性能が 大きく左右するので何時も苦労をしていました。 先般、海外渡航を目指す自作艇の無線装置の取りつけを依頼されました。選んだアンテナは有名メーカ ーD社製の21MHZ用の1/2波長ノンラジアルアンテナです。 ノンラジアルアンテナはグランド側のエレメントが無い分効率が悪いのでは?と、思い敬遠していました が問題となるアースの苦労から開放されると言うメリットもあり不安を持ちながら採用したのです。 ところが、使って見てその効率の良さ、受信感度の良さには目を見張るものがあったのです。海上では 電波の放射効率が良いは聞いていたのですが、 実際にそのアンテナを使用し交信したた感想は実に 素晴らしいものでした!! 彼艇と7Km離程れた小生宅は海抜9m、地上高8mのデルタループアンテナ(逆三角形の巨大アンテナ) を立て雑音の少ない交信を楽しんでいたのですが、 給電点が海抜僅か3m、シングルエレメントのこの アンテナと比較し同じ局との送受信比較をした結果、優れた結果が出たのです。 彼の無線機より新しく上位機種の我無線機であるにも関わらずの結果ですからその優秀さはには実に 驚かされました。 それまで効率が悪い? と敬遠していたノンラジアルアンテナへの偏見が一挙に崩れ、私のDIY主義が グラグラと煮えたぎってきた事は言うまでもありません。(爆笑) |
||
☆☆ 必要な材料 ☆☆ 1.FRP釣竿 海外製3000円位の廉価4〜5m磯釣り用の釣竿。但し、カーボン製は不可です。 もっと短くしたい場合、感度は若干下がるものの2m位の長さでもOKです。 2.銅テープ アンテナエレメントに使用する純銅製のテープ。裏面には既に接着剤が付いてい はさみで自由にカットが可能、半田で繋げ簡単に7m長のエレメントになる。 銅テープの代わりに100円ショップ園芸用品売場で売られている「虫除け銅板」 (4cm×60cm)を10mm巾に細く切って半田で繋ぎテープにする事も出来る。 3.コイル 直径60mm塩ビ管15cmに径1mmのスズメッキ線を5mm間隔に4m巻いた コイル。巻き方はアバウトでよいです。1ケ作ります。 4.同軸コード 5D2V同軸ケーブル(無線機からアンテナまでの長さ + 調整用に約30cm) 5.ワニ口クリップ 同調点調整用に一個用意します。 6.半田&半田鏝 糸半田、60W&100Wの半田鏝。 7.取付金具 アンテナをスタンパルピットに取り付けるパイプバンド×3個 8.SWR計 アンテナ調整用や無線機管理にもなる必要アイテム。安価なもので良いので一 つ有ると便利です。 |
||
☆☆ 制 作 ☆☆ @銅テープ又は、銅版を5mm巾に切り半田で繋ぎ約7mにしておく。 銅テープには接着剤が付いている が銅板の場合には薄い両面テープを張っておくと巻きやすいでしょう。 AFRP竿先端から銅板テープを先端蜜巻、根元荒巻で竿末端30〜60cmまで巻く。竿の末端30〜60cm にはスターンパルピット取付代として残しておきます。 Bテープを巻き終わった銅テープの上からバスコークを塗って防水をします。 C竿根元付近に塩ビ管コイルを取付け、銅テープ端末とコイル上端を接続する。(下図回路図参照) Dコイル上端に調整用の5D2V同軸ケーブル25cmの芯線側を接続。(回路図参照) E調整用同軸ケーブル網線側を無線機に繋がる同軸芯線に接続する。(回路図参照) F無線機からの同軸網線側にワニ口クリップを繋ぎコイル中間に仮留めする。(要調整) 以上、下図の回路を参照ください。 |
||
【コイル参考図】 |
||
3.5MHZに同調させる為に径と巻数を大きくしたコイルです。重量軽減の為に空芯コイルにしてあります。 21MHZ用とも原理は同じです。コイル位置等の参考にしてください。 なお、空芯コイルの材料はプラスティクスのコードカバーを細工しスズ線をコイルにはめ込みました。 コイル下の箱は遠隔操作で周波数を切替えるリレーが入ってますが今回はモノバンドなので必要なし。 |
||
☆☆ 調 整 ☆☆ @上項のワニ口クリップをコイルの位置を変えSWR計が下がる所にずらしながら同調点を調整します。 最初は大雑把に動かしてSWRが下がったら微調整にします。SWRは1.05位に成りますが下がらない 場合は調整用同軸ケーブルをカットして再調整します。 -------------- **参考DATA** 同軸ケーブルは100cmで100PFのコンデンサーと成ります。 21MHZの場合20PF位が最適値ですから調整用同軸ケーブルは20cmでしょうか。 7MHZに合わせる場合は50〜100PF=50cm〜100cm位にします。 -------------- A受信し出ている局を探し送信して電波が飛んでいるか確認します。 B調整が完了したらワニ口クリップを外しその場所を半田で固定します。 【調整あとがき】 @銅テープエレメントの採用理由。周波数の高い電流は導体表面に流れます。従ってアンテナは太さで はなく表面積を大きくする事で高電力を流す事が出来るのです。 厚さ0.07mm程度の銅テープでも巾 が10mmとして裏表で20mmとなるからパイプにすれば6.4mmの銅線と同価と考えました。 A調整用同軸ケーブルとコイルは立派な容量結合のアンテナチューナー回路となります。 Bこのアンテナは、21MHZの1/2波長アンテナですが7MHZの1/4波長と同調するのでWFAX受信用にも マッチし充分使用出来ます。 C同軸ケーブルとコイルを調整すると他の周波数(7MHZ)に簡単に変更する事が可能でした。コイルの 変更で7MHZにSWR1.10と全国のHAM局と良好な交信が出来ました。 D調整時は周波数とSWRの値をグラフに書くと容易に同調点が予測出来、最終微調整時にはグラフを 書いてマッチングを取ると良いでしょう。 Eマッチングが良く取れたアンテナに育て上げ、是非、素晴らしい感度を味わってください。 Fもし、SWRが下がらない場合は、調整用同軸ケーブルの長さを調整(カットorプラス)し再度調整してく ださい。SWRは1.05位に成りますので頑張ってください。 G最終的に周波数とSWR特性の関係をグラフにするればプロ用アンテナと遜色の無い立派なアンテナ に 成りますので是非手作りの良さで育てあげてください。 ^o^v |
【写真の解説と回路】 @ノンラジアルアンテナの回路図を左の図に示しました。 ・右側は基本と成った有名アンテナメーカーD社の回路図です。 ・左側がJH1OVA作のヘリカルノンラジアルアンテナの回路です。 Aコイルと、調整用同軸ケーブルが容量接合のアンテナチュナーの 役目をしています。 B表紙写真のアンテナは3.5MHZ用にも使用出来る様にコイルを大き くしました。21MHZモノバンドなら直径60mmもあれば良いでしょう。 Cコイルは効率を上げる為に直径を大きくしています。 注:理想的には (イ)コイル径が大きいこと (ロ)コイル線の径が太いこと (ハ)コイルのQが高いこと(直径:長さ=1:1 が熱損失が少ないと言 われています) 注: ・写真のコイルはコードカバーを8mm間隔にのこぎりで切目を入れコ イルを巻いたものです。 ・下のケースは周波数切替BOXでリレーで周波数を切替えています。 (今回は不要です) |