OLIVEOIL流DIYメンテ特集 No8

いつまでも元気なエンジンにする為に!

エンジンいつも元気の極意

UP DATE 2009.07.23


はじめに

ヨットは海の上でエンジンが故障したら自動車の様に修理屋さんに駆け込むことが出来ません。

マリン用のディーゼルエンジンは実に丈夫に作られているものの使用頻度が極めて少ないヨットの場合

調子を維持するために必要な定期的なエンジンアイドリングによるオイル潤滑が出来ない。

そこで、エンジンの調子を保つための条件を検証してみた。

     1.エンジン磨耗の要因を調べ磨耗防止策を考える。

     2.海水に晒されている排気バルブ周辺の発錆防止。

     3.エンジンオイル添加剤の効用を考える。



ドライスタートとは
1.エンジン磨耗の最大要因

エンジン磨耗の最大要因は「ドライスタート」と呼ばれるオイル切れに起因すると言われている。
常にエンジンを回しているタクシーなどの営業車のエンジンはボーリング無しで80〜100万Kmも走る
と言われている。

一方、自家用車は30万Kmも走れば長寿と言われ、10万Km走れば寿命を迎える車もある。
その原違いが、エンジンを止めず回し続けたエンジンと、断続的にエンジンを使用する自家用車との
違いであることは明白である。これを専門用語で「ドライスタート」と呼ばれている。

断続的に使用するエンジンは、常用回転に至りオイルが各部に行渡り、温度が充分に高まる迄
の暖気運転途中でシリンダー壁や、クランクシャフト等の金属同士が擦れ合い摩擦が起きる。
この部分に薄く皮膜されているオイルが切れて磨耗が生じるのである。

ヨットマンが使用するマリンエンジンは使用頻度は更に少なくオイル管理は厳しい環境にさらされる。

とピストンリングが円滑に
滑り磨耗を防いでいる。
そのオイル皮膜がエンジンが止まっている時には重力で下がったり乾燥してオイル膜が失われた状態になる。
そんな状態でエンジンを掛ければシリンダー壁とピストンリング間の摩擦は高くなり磨耗する事に成る。

事例として、タクシー車の走行距離を調べれ見ると何と80万Km位は無ボーリングで走っている。
通常タクシーは掛けっぱなしで営業しエンジンを止める時間は極めて少ないのでエンジンは常に回っていてオイル切れ
の状態に至らないのである。従って、磨耗は極めて少なくなり寿命は驚くほど長くなる。



2.オイル切れ防止策。

@粘度の高いオイルを潤滑させる
 下船時に充分に冷えたエンジンオイルを摺動部に潤滑させオイルの乾燥を防ぐ。高温のオイルは粘度が低くなり
 重力で下に落ちオイル幕が薄くなる。
 エンジンが冷めた状態で手振でまたはセルでエンジンを空回りさせ粘度の高いオイルを潤滑させて乾燥を防ぎ
 発錆を防ぐ。

Aエンジン始動前にオイルを潤滑させる。
 始動直前にエンジンを手振で空回りさせ粘度の高いオイルをエンジン各摺動部に行き渡らせる。
 これは、シリンダーヘッドの液圧縮を防止する効果があるので是非習慣化するのが好ましい。
 駅圧縮とはシリンダーヘッドに海水やオイルが入り込んだ状態でエンジンを回すとディーゼルエンジンはシリンダ
 ーヘッドとピストン頭頂部の間隔が極めて少なく液体は気体の様に圧縮しないので異常圧縮となりピストンコンロ
 ッドが圧縮され短くなる現象がおこる。結果、圧縮比が下がり馬力は少なくなり最悪エンジンが掛からなくなる。
 本船は必ずデコンプで無圧縮状態で空回りさせ液圧縮を防止している。

3.オイル乾燥防止と発錆防止

 マリンエンジンの排気ガスは排気する時に海水と混ぜ排気管から排気する。
 エンジンの排気バルブの外側は冷却水が混じりあうミキシングエルボーに接し常に高温と高湿潤環境にあり発錆性
 の高い高温高湿潤の空気に晒されているのである。
 幸い、単気筒エンジンの場合は離船時にピストンを上死点に置けば吸排気バルブは閉ざされた状態となりエンジンの
 内部に塩分を含んだ湿気から遮断する事が出来るのである。
 従って、離船前にこの作業を行なっていればシリンダーやピストンリングのオイlル乾燥を防ぐばかりでなく発錆予防が
 可能となるのである。


結 論


@離船時にはエンジンを空回りさせえて粘度の高いオイルを循環させておく。

A離船時に手振りでピストンを上死点の位置にし乾燥&防錆処置をしておく。(単気筒の場合)

B始動前にエンジンを手振空回りしオイルを行き渡らせ液圧縮とドライスタートを防止する。

たったこれだけの処置で貴方のエンジンは見違えるほど快適になりますよ!



 

 

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