OLIVEOIL流DIYメンテ特集 No10

不況時代を知恵と仲間の共同購入でコストダウンを図る。
プロペラ防染剤の有効利用実験



Renew
2010.08.28  新々情報追筆

五年目の追試は完全に失敗でした!
2010年の夏は7月から猛暑が続き海水も高温現象が続きフジツボの育成も
早まり船底も、プロペラもフジツボが大繁殖しました。

その結果、7月31日の上架回航ではプロペラの水流は船尾に出ずに斜め後
ろに渦が出ます!
結果、機走1.5ノットと言う惨めな状態で回航する結果に
なりましたが帆走では5ノットの艇速が出たので浦安マリーナに無事に回航す
る事が出来ました。

上架してペラを見ると不思議な事に船底に育ったフジツボよりも太ったフジツ
ボに成長していました。やはりエッジングプライマーを省いた結果が出てきて
いる様です。



はじめに

 

 

@上架時に使用するペラクリンの価格を1/4と経済的にコストダウンを行なう。
A長期保存したペラクリンの有効性を年毎に検証し有効性を確かめる。
B保存の方法を研究しその結果を検証する。
C前年のエッジングプライマーを剥がさずバイオ クリンを上塗りした場合の結果検証をする。
D共同購入とその分配方法について考える。

【発想の原点】 船底メンテナンス時のプロペラ用防汚塗料は多くのヨットマンが使っている必需品です。
特に、中国塗料の「ペラクリン」は効果が長持ちすると人気の商品ですが価格が高く長期保存
が効かぬ商品とし有効期限が明記されユーザーは一回の上架でその全量を使用して余っ た
塗料は廃棄されている。

オリーブオイルも永年、メーカー指定通りキットの全量を混ぜ合わせ塗装し余った分は廃棄して
いたが一回で使用する量はペラクリンミニの1/4程度で残りの3/4を廃棄するのは実に不経済
だと考えていたが毎回余った塗料を廃棄し翌年使用は考えてもいなかった。

その理由は、上架総費用は大きく、それに比べペラクリンは1/10程度なのであえて期限が切
れた塗料を使うリスクを避けていた。もし、効果が出なければ上架費用が無駄になるという心理
が働き30年来試して来なかったのであるが、

ところが、年金生活ともなると上架費用は馬鹿にならぬ金額であり、コストダウンは必須であり
試してみる価値は充分あると平成17年の上架で廃棄をせずに翌年試用を計画した。

翌年に使用してみるとペラクリンミニはまだ2/4が余るでは無いか!
と言う訳でその翌年も・・・・と何と4年間の間使用する事になった。

各塗料を別の容器に少量取り分けて使用。余った塗料は冷暗所に保管して翌年にどうなるか
試した結果を以下に報告する。

【長期使用実験
【一年目】 ミニのエッジングプライマーは主剤40cc、硬化剤10cc、強化剤10ccの三液性となっている。
三つの容器から各1/4を混合比4:1:1の割合で別 の容器に取り混合し塗布した。
防汚塗料のバイオクリンは一液性の塗料で計2回塗りですが2枚ペラで2回塗りで5回は塗れ
る量があります。
初年度はペラクリンは新品なので効 果は全く問題は無いと思います。勿論、主剤のバイオク
リンも同様に1/4を使用し残り3/4を保存した。
【ニ年目】 この年は経済的な事情があり上架が出来なかった。5月に潜ってペラ掃除しましたが新品の
塗料なので当然のことと防汚効果は充分ありました。
ペラクリーンミニのセットはそのまま栓をしっかり締めて涼 しい床下倉庫で一年間のお休みを
させました。

【三年目】 平成20年10月、夢の島マリーナで上架したところ、前回塗装から2年を経て間に2回潜って船底
掃除の際にプロペラ掃除をしましたが通常通りの汚染度でした。
そこで、一昨年から保管してあった残りのペラクリンセットのエッジングプライマーの1/4を使 用
してプライマー処理した上で防汚主剤のバイオクリンを2回塗布しました。
【四年目】 平成21年8月に浦安マリーナで上架した。この年はフジツボの生育が例年より遅れ気味で船底
掃除をせずとも船はほどほどに走ったことと上架場所が浦安マリーナと近かい為に船底掃除は
せずに浦安まで回航した。

上架し塗装状態を見ると船底バイオクリンの剥離は無くペラに完璧に繋ぎ止めていた。
防染効果も一部にフジツボが付着していたが新品のペラクリンと同程度の効果があった。
これで三年間はエッジングプライマーの保存と効果が証明された。

さて四年目のペラ塗装は、私の不注意でプライマー添加液の一本がキャップ緩みで蒸発してしま
い空に成っていた。ビンのキャップはきつく締め且つナイロンテープで厳重に封印せねば蒸発して
しまう事が判った。

また、ペラのバイオクリン剥離状態を見ると、年中の潜水掃除をしなかった結果、スクレバーでの
引っかき傷も無い状態だったのでペラクリンの取説に従い塗装面を丁重に研磨しエッジングプラ
イマー層を傷つけず汚染面を取り去りエッジングプライマーを使用しないでバイオクリンを2回塗
って仕上げた。効果は来年の上架で明確になる。楽しみだ。
【四年目中間】 早くも今回上架したペラクリンの結果が出た。
8月上旬、浦安マリーナで上架し前回塗布したエッジングプライマー層を残してバイオクリーンを2回塗
りを行ないその足で保田、勝山、三崎のクルージング三昧を機帆走で8ノットの快速をたのしんだ。

然し、9月21日〜22日にシングルハンドで二度目の保田航したが、艇速は4.8ノットしか出ない。
何と、一ヶ月余で急速な艇速の減少にフジツボの成長期でもあるので疑う余地もなくバイオクリンの期
限切れか?エッジングプライマーの接着不足か?と疑った。
やはり倹約の効果は無かったのか!とガッカリし落ち込んでプライマーを塗り直さなかった事を反省した
が潜って調べる事はしなかった。原因がバイオクリン剥離と決め付けたのである。

10月3日、夢の島マリンフェスタに参加するため夢の島マリーナに回航し潜水船底掃除をした処、、プロ
ペラにフジツボは生育しいなく実に綺麗な状態であった。
犯人は梱包用プロピレン細ベルトがペラに絡まっていてその為にスピードが大幅に落ちた事が判った。
このベルトを撤去後はスピードは元通リ出る様に成った。これで、四年保存の可能性が出てきた。
気分を良くして10月10日から母港回航は保田経由で帰ることにし快適なシングルハンドのクルージング
を楽しんだ。

【五年目】 平成22年7月31日浦安マリーナ上架
プロペラの状態は最悪であった。
前回は補強剤の蒸発でエッジングプライマーを塗らず前年塗ったバイオクリーの上に直接バイオクリンを
塗ったがバイオクリンは残っておらずフジツボが全面にびっしり付着して効果は今まで最悪であった。
やはりエッジングプライマーはバイオクリンをしっかりと接着させバイオクリンの効果を生かしている。
プライマーを塗る意味がはっきりわかった。


【長期保存の要点】 長期保存のポイントは

@日陰、涼しい、乾燥した場所に保管する。
A分割は液計量用具のピペットで分ける。
Bプライマーを使用する時はピペットを使って正確に混合比を守って使用する。
Cビンの蓋を硬く栓をしナイロンテープなどで液漏れを防止するのだが完璧でないのでシリコンシーラ
  ントや蝋で密封する.
 
【共同購入案】
ペラクリンは独占商品なのかデフレのご時世だがまたまた値上が った!一般物価がどんどんと
値下がりしている昨今、マリン用品は値上がりしているのが不思議だ。
消費者の我々が対抗できる手段としてコスト削減は生活の自衛手段として考えたい。

通常2枚ペラの場合、ペラクリンミニの1/4の量で2回塗りが充分に可能です。
特にエッジングプライマーは極薄に塗る必要があ るので1/4もあれば充分間に合います。
防汚剤のバイオクリンも5回分使える量が入っています。

そこで、クラブや友人艇で共同購入をし分け合ってコストダウンを図れぬかと考えた。
4人で一セット購入し分け合えば1/4のコストダウンとなりWeb最安価格 6,610円/4=1,653円
定価購入と比べると約6,000円も倹約できるのである。

共同購入で2枚ペラと、3枚ペラが混在した場合はペラ一枚当りに必要な要量を計算すれば分配
は可能となる。

なお、小分けにはホームセンターで10ccのポリピペットを購入し正確に分割し分け合う事が可能。
その際、今まで使っていたペラクリンの容器を捨てずに使用すると良いし、DIY店の塗料コーナー
でポリ容器が100円以下で購入できる。

この方法のメリットは保存法と違って何と言っても新鮮なペラクリンを塗る 事が出来ることである。



【共同購入結果報告】 平成22年7〜8月に実験した上架用品共同購入の結果を報告します。

1.目的
 @高価格で使用期限限定で半分以上廃棄するペラクリンのコストダウン。
 A共同購入で送料等のコストダウン。
 B上架直後の多忙作業軽減などなど考え同時上架を行なった。

2.購入品と価格
 @【シージェット2g】@8,000円×3艇×2缶 計6缶
  何と30年前の価格で超うれし!容量が2kcから2gに替   わり実質容量増も嬉し。  

 A【ペラクリンJR】@9,222円×1缶、各艇2050円〜2562円
  負担額はペラ翼数+シャフト面積で割り出した。上架後ブラケットを塗る艇、塗らぬ艇があり
  配分計算狂いも。  

 B【シャフトジンク】@1,025円×8個(22,25mm共同額)
  市販価格より割安購入できた。購入先は海遊社、5千円以上送料無料も大きなメリット。

 C【剥離剤、ハケ、ピペット】@約400円/艇
  旧ペラ塗装の密着性が強く剥がすのに毎回苦労するので今年初めて剥離剤を導入した。
  具合はすこぶる良かった。

3.上架 (上架場所は浦安マリーナ)
 @7/17〜18   オードリー        30feet FRPスループ 3枚ペラ
 A7/31〜8/1  オーシャンジョッキー  25feet FRPスループ 2枚ペラ
 B〃   〃   オリーブオイル     30feet FRPスループ 2枚ペラ
 C8/16〜8/17 RichitU        30feet FRPスループ 3枚ペラ 

4.問題点、メリット
 @トータルコストは、2枚ペラのオリーブオイルを例にした。
  シージェット16000円+ペラクリン2049円+ジンク2058円+剥離剤等390円=合計20,497円
   と大幅なコストダウンとなりました。
 AHプライマー強化剤の粘性が高くピペット計量に苦労しました。
 Bバイオクリンは余分に入っているので余ると予測していたので缶からそのままハケに取り塗った。
 Cエッジングプライマーの配分が計算通りに行くか?最後の艇が不足しないか心配でしたが皆さん
   の協力で計算通り余まりました。

 D同時上架はオーシャンジョッキーとオリーブオイルが行なったが、上架直後の船底掃除とペラ塗装
   剥離がに人手不足のオリーブオイルに応援をいただき助かりました。

以上、協力を戴きましたヨット部の皆さん、有難うございます来年も宜しく。



【読者からの情報】 ペラクリンの強化剤の保存に付いて新たな情報を得た。

私と同様に既にペラクリンの複数回使用をされた方が居られ、エッジングプライマーの強化剤を完全に
密封しテープを巻いて保存したのだがそれでも私の場合と同様に蒸発してしまったそうな。

一般に、化成品メーカーでは商品の瓶蓋の密閉には細心の注意を図り行なっ ていると思う。テーピング
しても密閉する事が出来なかったと いう事は実に不可解な状況です。

本来なら商品開発段階でこの様な事態は予測され蒸発を防ぐ対策をした上で販売されるものと思うの
だが、メーカーでも充分な保存対応が出来ないと言う事はペラクリンの能書に書かれている早期使用を
条件とした大きな理由なのかも知れません。

蒸発した「強化剤」は名の示す通り化学反応を強化促進する反 応促進剤と思われる。
事によると瓶の開封時に入った空気中の酸素などと急速に反応したのでは無いだろうか。蒸発し たの
ではなく酸素などの物質と化学変化した可能性も考えられる。

まだその瓶は保存しているので何らかの残渣が有るか調べてみます。
何れにしろペラクリンのコストを下げたいヨットマンは全国に 多数いると思います。皆さんで最善策を考え
るのも有意義か と思います。



 

 

ご感想、ご意見をお待ちします

oliveyz@ybb.ne.jp

 

 

Menuに戻る