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【気泡が入ったプラスチモ(仏)】
フランスの代表的なマリン用品メーカーのこれまた代表的なコンテスト100である。
センスの良いデザインと価格の安さから使用する艇も多いと思う。
永年液漏れもなく頑張っていたが蒸発し始めると急速に液漏れが進んでしまった。
一般に備わっている空気留めが無く至ってシンプルな作りでこれが低コストを実現している様だ。
機能的に空気留めがあるセストレの方が重量もあり液の蒸発が少なく優れている様に思えたがフランス製品に見られるシンプルさが良いのかもしれない。
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プラスチモコンテストの液補充口である。
補充口のネジの周りは液漏れ防止に固めのシール材で覆われ蒸発を防いでいる。
このシール材は硬度が硬く先の尖ったピック等でそぎ落とせるので完全にそぎ落とし液注入ネジを露出させる。
液注入ネジにはゴム製のパッキンが有るが経年変化でもろく成ってい外した際にボロボロに割れてしまった。ヨーロッパ製品はゴムが弱い傾向がある。
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ネジを外すとコンパス液補充口が開くので分析用サンプル液を取り出せる。
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液の採取にはパソコンプリンターの補充用のインク空瓶を良く洗って使用した。
この瓶には注射器針の様な細い注入管が付いていて液の採取や補充液注入に誠に具合がよろしい。
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採取したコンパス液の性状を調べる検査液で身近なものを標本とし集めた。
【親水性】
@エチルアルコール、A焼酎 ^^v
【親油性】
@サラダ油、
【揮発油】
@ケロシン(灯油)、ペイントうすめ液
コンパスから注出したサンプル液を少量ずつ検体液に入れ分離しない液を探し出す。
最適と思われるミシン油が手元に無かったのでここには無いが有れば最有力な検体と思われる。 |
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プラスチモ、セストレス共にエチルアルコールなどの親水性の試験液には完全に分離して混ざらなかった。
又、味も臭いも揮発油の様な刺激味臭いで甘みも無かったのでエチルアルコールとエチレングリコールでは無いと判断した。
プラスチモの液は樟脳の様な強い刺激臭があり味も揮発油独特の刺激があり低粘度で火を近づけて着火しなかった。
セストレスの方は刺激臭は無かったが低粘度でスピンドル油(ミシン油)と比べも低粘度だった。
以上の事から補充する液は
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@親油性。
A粘度指数Vs5程度の軸受油。
Bゴムを劣化しない植物油が好ましい。
C透明度の高いもの。
D凝固点の低いもの。
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以上の条件から粘度は高いが安全性を配慮しサラダ油を採用する事にした。最も適しているのは低粘度の軸受油と推測する。
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補充液注入口を上にして、先ほどのスポイド瓶にサラダ油を詰めて注入するのだが、若干空気を残す事が必要に思う。
何故なら気温が高くなると液膨張し空気溜まりが無いと筐体内部の圧力が異常に高くなり破損する恐れがある。
粘度は高いがしばらくコンパスを回しかき混ぜると液は混合し混ざり合う。
注入口の止めネジを締めシリコンシーラントを回りに塗り固めて止める。
シリコーンシーラントは一昼夜放置すれば硬化し補充口を塞いでくれる。
セストレスには空気溜まりが付いていてコンパスを逆さまにして空気を空気溜まりに入れると空気は無くなる。 |
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船体に取付けたプラスティモ・コンテスト。
プラスティモには空気溜まりが無く若干の空気が残るが外見上ではカバーに隠れ空気は見えなくなる。
分解して初めて構造を知る事となったが、シンプルで重量も軽く一見チープな感じがすのが如何にもフランス製である。
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セストレスコンパス
船体に取り付けたセストレス。
外見から見て実に地味でプラスチモの華やかさは微塵も無い見栄えのしないコンパスであった。
が、分解してみ初めて判るまごうかたない質実剛健なイギリス製品である。
圧力調整に必要な空気はコンパスを逆さにすると空気溜まりに収まって外見上からは空気は全く見えない。
また、使用するネジ関係も全てに精密ネジを使用しフランス製のタッピングネジとは違い数度の分解に耐える高質感を感じた。 |