「船と国旗と信号旗」                    By Oldsolt  Date: 21.Jan 2005



                                      

  みなさんは「船」という言葉からは果たして何を連想するしょうか?

 船長さん、操舵輪(船のハンドル)、錨、羅針儀、海図、三角定規とデバイダ− 、他には大きな船体とエンジン、

外国の街や港などなど? そうですね! 

えっ!? 六分儀やGPS、インマルサットもですって? あな たは相当な「船通」でいらっしゃる。(^_^)

他にも忘れてはならないものに国旗と信号旗があり、国旗はともかく無線通信が 発達した今日でも信号旗は船で

色々な場合に使われており、両方とも船とは切っ ても切れない仲にあります。

勿論、ヨットといえども例外ではありません。



ではまず国旗の話しから・。


私達日本の国旗、日の丸が旗として掲げられたのはかなり古い時代、約1,300年 も前のことだったらしいのですが、

国を識別する旗として正式に採用されたのは 比較的新しく幕末・明治の頃でした。

そのころ外国の船がたくさん日本の港を訪れるようになって、外国船と区別する 必要から、時の薩摩藩主の進言に

より幕府が日本船に日の丸を掲げさせるように したのが始まりです。 

船に掲げた日の丸を「日本国惣(総)船印」と呼んでいました。

それから時代は明治に変わって、政府は「日本国惣(総)船印」の日の丸を日本 の商船旗として制定し、商船旗に

見習う形で官公庁、そして民間の家々に掲げら れるようになったのです。



 船に国旗を掲げる場合、普通は船尾の旗竿に掲げますが、変わり種として日本丸 や海王丸など帆船の場合、

航海中は最後尾にあるマストの斜めになった部分(こ れをガフといいます)の先端に掲げてあるのを見ることが

出来ます。 また護衛艦などの軍艦では艦首旗竿に掲げ、停泊中を示す旗として用いられます。 ちなみにアメリカ

海軍の艦船は星条旗ではなく、青地に全面の星を白く抜いた旗 を停泊旗としています。



 皆さんは、船に掲げられている国旗はただ単にその船がどの国に所属しているか を表わすだけではなく、

船同士の挨拶や敬礼、哀悼の意を表わす場合にも使われ ることをご存知でしたか?

敬礼を行い、或いは哀悼の意を表わす方の船が相手の船とすれ違う時に国旗を 1/3ほど降ろし、相手船はこれを見

てから同じように降ろし直ぐに元の位置 旗 竿いっぱいまで揚げ戻します。

敬礼をした方の船は、相手船の国旗が元の位置に戻ったのを確かめてから自分の 船の国旗を戻すのです。



また、自分の国に大きな悲しい出来事が起きたときにはやはり国旗を1/3ほど降 ろしっぱなしにしたり、昔は船尾から

大きな国旗を海面にまで垂らして悲しみを 表現しました。 これを「半旗の礼」といって陸上でも船に習って行います。

テロリストに乗っ取られた航空機がビルに突っ込んだ9・11事件の時、アメリカ 国防総省の屋上から特大サイズの

星条旗が下の道路にまで垂れ下げれたのはまだ 記憶に新しいのではないでしょうか。

陸上にある旗竿(フラグ・ポ−ル)では「半旗」の文字通り、ポ−ルの中ほどま でに国旗が降ろされたまま掲げられ

ました。国によっても異なりますが、おおむね一国の元首クラスの要人が亡くなった時に は国旗を半揚(半旗)にして

国中が喪に服します。



船と国旗に話しを戻しましょう。

このように船とは切っても切れない仲にある国旗は、私たち人間に例えれば身だ しなみのようなもの。 欧米の各国

では小さな湖のかわいらしいモ−タ−ボ−トでも船尾にその国の国旗 をはためかせ、さっそうとして走っている姿が

たくさん見られます。

私たちの日本はというとデイズニ−ランドの観光船もそうだし、八景島の遊覧船 だって小さいながらも国旗を揚げて

おり、「船」を意識しているしっかりとした 船主や船長の船には大抵例外なく掲げられているようです。


いささか、長くなりましたので信号旗の話はまたこの次にでも・・。              自称古典的元シ−マン

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