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常 用 漢 字 表

 前書き

  1. この表は,法令,公用文書,新聞,雑誌,放送など,一般の社会生活において,現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すものである。

  2. この表は,科学,技術,芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。

  3. この表は,固有名詞を対象とするものではない。

  4. この表は,過去の著作や文書における漢字使用を否定するものではない。

  5. この表の運用に当たっては,個々の事情に応じて適切な考慮を加える余地のあるものである。

 

表の見方及び使い方

  1. この表は,「本表」及び「付表」から成る。

  2. 「本表」には,字種1945字を掲げ,字体,音訓,語例等を併せ示した。

  3. 漢字欄には,字種と字体を示した。字種は字音によって五十音順に並べた。同音の場合はおおむね字画の少ないものを先にした。字音を取り上げていないものは字訓によった。

  4. 字体は文字の骨組みであるが,便宜上,明朝体活字のうちの一種を例に用いて現代の通用字体を示した(「(付)字体についての解説」参照)。

  5. 括弧に入れて添えたものは,いわゆる康熙(き)字典体の活字である。これは明治以来行われてきた活字の字体とのつながりを示すために添えたものであるが,著しい差異のないものは省いた。

  6. 音訓欄には,音訓を示した。字音は片仮名で,字訓は平仮名で示した。一字下げで示した音訓は,特別なもの又は用法のごく狭いものである。

  7. 派生の関係にあって同じ漢字を使用する習慣のある次のような類は,適宜,音訓欄又は例欄に主なものを示した。

けむる煙る

けむり煙

けむい煙い,煙たい,煙たがる

 

わける分ける

わかれる分かれる

わかる分かる

わかつ分かつ

なお,次のような類は,名詞としてだけ用いるものである。

しるし印

こおり氷

 

  1. 例欄には,語例を示した。これは,音訓使用の目安としてその使用例の一部を示したものである。

  2. 例欄の語のうち,副詞的用法又は接続詞的用法として使うものであって紛らわしいものには,特に〔副〕又は〔接〕という記号を付けた。

  3. 他の字又は語と結び付く場合に音韻上の変化を起こす次のような類は,音訓欄又は備考欄に示しておいたが,すべての例を尽くしているわけではない。

納得(ナットク)格子(コウシ)

手綱(タヅナ)金物(カナモノ)

音頭(オンド)夫婦(フウフ)

順応(ジュンノウ)因縁(インネン)

春雨(ハルサメ)

 

  1. 備考欄には,個々の音訓の使用に当たって留意すべき事項を記したほか,異字同訓のあるものを適宜←→で示し,また,付表にある語でその漢字を含んでいるものを注記した。

  2. 「付表」には,いわゆる当て字や熟字訓など,主として一字一字の音訓として挙げにくいものを語の形で掲げ,便宜上,その読み方を平仮名で示し,五十音順に並べた。

 

(付) 字体についての解説

1 明朝体活字のデザインについて

 常用漢字表では,個々の漢字の字体(文字の骨組み)を,明朝体活字のうちの一種を例に用いて示した。現在,一般に使用されている各種の明朝体活字(写真植字を含む。)には,同じ字でありながら,微細なところで形の相違の見られるものがある。しかし,それらの相違は,いずれも活字設計上の表現の差,すなわち,デザインの違いに属する事柄であって,字体の違いではないと考えられるものである。つまり,それらの相違は,字体の上からは全く問題にする必要のないものである。以下,分類して例を示す。

(略)

 

2 明朝体活字と筆写の楷(かい)書との関係について

 常用漢字表では,個々の漢字の字体(文字の骨組み)を,明朝体活字のうちの一種を例に用いて示した。このことは,これによって筆写の楷(かい)書における書き方の習慣を改めようとするものではない。字体としては同じであっても,明朝体活字(写真植字を含む。)の形と筆写の楷書の形との間には,いろいろな点で違いがある。それらは,印刷上と手書き上のそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差と見るべきものである。以下,分類して例を示す。

(略)

   昭和56年10月1日告示