平成元年版 学習指導要領
第10 書道I
1 目標
書道の諸活動を通して、書写能力を高め、表現と鑑賞の基礎的な能力と態度を育てるとともに、書を愛好する心情を養う。
2 内容
A 表現
表現に関して、次の事項を指導する。
(1) 漢字の書
ア 主な用具・用材とその扱い方
イ 基本的な用筆・運筆による点画や線質の表し方
ウ 字形の構成、全体の構成
エ 臨書の意義と初歩的な創作
オ 意図に基づく表現の構想とその達成
(2) 仮名の書
ア 主な用具・用材とその扱い方
イ 基本的な用筆・運筆による線質の表し方
ウ 単体、平易な連綿と全体の構成
エ 臨書の意義と初歩的な創作
オ 意図に基づく表現の構想とその達成
(3) 漢字仮名交じりの書
ア 主な用具・用材とその扱い方
イ 漢字と仮名の調和に適した線質、字形、文字の大きさ及び全体の構成
ウ 目的や用途に即した形式と表し方
エ 意図に基づく表現の構想とその達成
B 鑑賞
鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア 書の美の直観的把握
イ 書の美を構成する基本的要素の把握
ウ 身辺の書への関心、日常生活における書の効用
エ 漢字の書体、仮名の成立
3 内容の取扱い
(1) 内容のA及びBの指導に当たっては、相互の関連を図るように配慮するものとする。
(2)
内容のAの指導に当たっては、漢字は楷書及び行書とし、仮名は平仮名及び平易な変体仮名とする。なお、生徒の特性、地域や学校の実態を考慮して、平易な隷書及び篆刻を加えることもできる。
(3)
内容のAの(1)及び(2)については、臨書及び創作を通して指導するものとする。また、(3)については、日常生活における目的や用途に応じて硬筆も取り上げるものとする。
(4)
内容のAの(1)のオ、(2)のオ及び(3)のエについては、表現の構想から完成の喜びに至る過程の指導を通して、主体的に追求する態度の育成にも配慮するものとする。
第11 書道II
1 目標
書道の諸活動を通して、創造的な表現の能力と鑑賞の能力を伸ばすとともに、書の理論や伝統を理解させ、書を愛好する心情を育てる。
2 内容
A 表現
表現に関して、次の事項を指導する。
(1) 漢字の書
ア 用具・用材の用い方の工夫、墨色の生かし方
イ 書体や書風に即した用筆・運筆による点画や線質の表し方
ウ 表現形式に応じた字形の構成、全体の構成
エ 臨書と創作との関連
オ 感興や意図に応じた素材の選定、表現の構想と吟味及び達成
(2) 仮名の書
ア 用具・用材の用い方の工夫、墨色の生かし方
イ 連綿や散らし書きによる全体の構成
ウ 臨書と創作との関連
エ 感興や意図に応じた素材の選定、表現の構想と吟味及び達成
(3) 漢字仮名交じりの書
ア 用具・用材の用い方の工夫、墨色の生かし方
イ 漢字と仮名の調和、形式に応じた全体の構成
ウ 名筆の鑑賞に基づく表現の工夫
エ 感興や意図に応じた素材の選定、表現の構想と吟味及び達成
B 鑑賞
鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア 書の美の直観的把握、諸要素の分析的把握
イ 書の美と時代、風土、筆者の個性などとの関連
ウ 表現形式と表現効果
エ 書の変遷、書の現代的意義
3 内容の取扱い
(1) 内容のA及びBの指導に当たっては、相互の関連を図るよう配慮するものとする。
(2)
内容のAの指導に当たっては、漢字は楷書、行書、草書、隷書及び篆書とし、仮名は平仮名及び変体仮名とする。また、篆刻も指導するものとし、刻字を加えることもできる。
(3) 内容のAの(1)及び(2)については、臨書及び創作を通して指導するものとする。
(4) 内容のAのうち、(2)又は(3)については、生徒の特性、地域や学校の実態を考慮して、いずれかを選択して扱うことができる。
(5)
内容のAの(1)のオ、(2)のエ及び(3)のエについては、素材の選定から完成の喜びに至る過程の指導を通して、主体的に追求する態度の育成にも配慮するものとする。
第12 書道III
1 目標
書道の諸活動を通して、個性豊かな表現の能力と鑑賞の能力を高めるとともに、書の文化と伝統を尊重する態度を育てる。
2 内容
A 表現
表現に関して、次の事項を指導する。
(1) 漢字の書
ア 臨書による書の伝統の理解と書体の特色を生かした表現への深化
イ 主体的な構想に基づく創造的、個性的な表現への集中と達成
(2) 仮名の書
ア 臨書による仮名の書の伝統の理解と表現への深化
イ 我が国の書の特色を生かした創造的、個性的な表現への集中と達成
(3) 漢字仮名交じりの書
ア 素材に即した効果的な表現、日常生活に生かす工夫
イ 漢字と仮名を調和させた創造的、個性的な表現への集中と達成
B 鑑賞
鑑賞に関して、次の事項を指導する。
ア 書の美の多様性と作品の特徴
イ 書と文化とのかかわり
ウ 書論による書の理解と鑑賞の深化
3 内容の取扱い
(1)
内容のA及びBの指導に当たっては、生徒の特性、地域や学校の実態を考慮して、(1)、(2)又は(3)のうちいずれかを選択して扱うことができる。また、臨書又は創作のいずれかを目的に応じて重点的に扱うこともできる。
(2)
書についての総合的な理解や技能を高め、主体的な学習態度を育てるため、必要に応じて、適切な課題を設定して学習することができる機会を設けるよう配慮するものとする。

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