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9月9日はかけざんの日2008
9月9日はかけざんの日 なぜなら九九だから! という訳で、九九にちなんで81のかけざん(の一部)をお送りします。 何がでるかな?/つきあってられません 『夏休みの宿題』 夢乃×麻尋 夏休みが終わって、9月1日、二学期の始まり。 夢乃君はこの夏休み中ずっと考えていた。友達の麻尋君の事をずっと考えていた。麻尋君とは中学で一緒になった友達で、それも今年二年生になってから仲良くなった友達で、それなのに夢乃君は麻尋君のことばかり考えるようになって。どうしてこんなに考えるのかと考えに考え抜いて、ようやく夢乃君はわかった。 だから夢乃君はこの9月1日に、一大決心で、その考えた結論を麻尋君に話すことにした。 今日は二学期最初の日だから、学校は午前中で終わりで、部活もお休み。 それで夢乃君は麻尋君に一緒に帰ろうと言った。麻尋君はうん、と頷いた。 夢乃君はそんな麻尋君を見てかわいいと思った。どうしてかわいいと思うのか、それはこの夏休みもずっと考えていたことで、その結論はもう出ている。 昇降口で、麻尋君が靴を履こうとしゃがんだ瞬間、麻尋君の髪がふわりと揺れた。 夢乃君はそんな麻尋君を見てどきどきした。どうしてどきどきするのか、それはこの夏休みもずっと考えていたことで、その結論はもう出ている。 校門で週番の先生に麻尋君は「先生さようなら」と言った。まだ声変わりしていない少し高い声。夢乃君はそんな麻尋君の声を聞いてうっとりとした。どうしてうっとりするのか、それはこの夏休みもずっと考えていたことで、その結論はもう出ている。 だから、帰り道。しばらく歩いてふたりきりになったとき、夢乃君はその結論を麻尋君に言った。 夏休み中ずっと考えていた、夢乃君の「夏休みの宿題」。 「僕、麻尋君の事が好きだ」 麻尋君はかわいくて、麻尋君といるとドキドキして、麻尋君の声にうっとりする。 それは僕が麻尋君を好きだから。 夢乃君はそう続けたかったけれど、言葉は詰まったままだった。まるでその言葉を最後に石になってしまったかのように、じぃと麻尋君を見つめることしかできなくて。 麻尋君はどう思うだろうか。きもちわるいと思うだろうか。僕だってこれが「おかしいこと」なのはわかっている。 でも好きだ、麻尋君が好きなんだ。 夢乃君はそう言ったつもりだったけれど、やっぱり言葉は出てこない。 夢乃君の石化を解いたのは、麻尋君の言葉だった。 「それで?」 「へ?」 「それで、どうしたいの?」 これは返事なのだろうか、夢乃君はわからなかった。けれどもここで答えなかったら、麻尋君が今すぐどこかに行ってしまうような気がして、慌てて自分の中に言葉を探した。 「え、ええっと、じゃあ、じゃあ!今度から部活がないときは一緒に帰ってくれる?」 とっさに出たのはそんな言葉で。夢乃君は自分でもしまったと思った。だって、いつも部活がないときは一緒に帰っているのに。 麻尋君は言った。 「うん。いいよ」 「へ?」 「それから、どうしたいの?」 今のは返事だったのかな?目の前の麻尋君はいつもと変わらないふうで、夢乃君を見つめていた。そのくりんとした目に、答えを促されて、夢乃君はまた慌てて自分の中に言葉を捜した。 「そ…そしたら!手!手繋いでいい?」 「うん」 麻尋君は手を差し出した。夢乃君はそれをぎゅうと握った。握って気づいた。夢乃君の手は汗でべとべとなのに、麻尋君の手はさらりと乾いていて。それが恥ずかしかったけれど、手を離す事ができなかった。 だって、今、麻尋君は自分から手を差し伸べてくれたよ? これは返事?返事だよね?と夢乃君が確認する前に 「それから、どうしたいの?」 またしても、麻尋君からの問いかけ。夢乃君は更に慌てて自分の中に言葉を捜した。ええっと、僕は、僕は……。 麻尋君が言った。 「ここじゃ、いえないこと?」 麻尋君が顔を近づけてきて、かわいいえくぼを浮かべて、にっこりと笑った。 「―――!!!!!!」 夢乃君は文字通り飛び上がった、手も顔も耳も体も、真っ赤になっているのがわかった。 「あ、あの、僕!先に帰るね!」 夢乃君はものすごいイキオイで、走り去っていった。そうしないと、この身体の中の熱いものがどうにかしそうだった。夢乃君はそれがなんだかわからなかったけれど、麻尋君にはわかっていた。 「……ちょっとからかいすぎた、かな」 麻尋君がさらりと呟く。 「僕も好きだよ、って言う暇なかったじゃないか」 夢乃君に握られた手が、今更ながら熱くなってきた。そこからまるで夢乃君の熱がうつったみたいに、顔も耳も体も熱くなってきた。でも、いつも体温が低い麻尋君には、それがなんだかぽかぽかと暖かかった。 夢乃君みたいだ、と思った。 「……」 麻尋君は笑って、きゅ、と手を握った。 きっと明日は「僕も好きだよ」と言おうと思いながら。 ++++++++++ 中学生日記夢乃(変声期後)×麻尋(変声期前)です。ピンパーネル団の夕べから思いつきましたって嘘です99パーセント妄想のなにものでもありません。夢乃君にしても麻尋君にしても「むっさんにはそう見えているんだ」と半笑してもらえればと思います。 この時点はで夢乃×麻尋ですが、麻尋が変声期を越えた暁には逆転するという寸法です(どんなんだ)。 夢乃君は陸上部で麻尋君は帰宅部です(そんな詳細いいから)。 夢乃君の家族構成は「おとめ」の星組87期家族です(だからそんな詳細いいから)。 |