|
【正解】 壮(82期)×山科(85期) さて、ここで突然ですが ナパームスクエアVD2006 Vol.8285 2月14日。 今日はバレンタインデー。 でも素直に渡すのはなんか悔しい。 驚かしてやろうと、こっそりデスクの机の引出しに入れておいた。 特大のチョコレート、真っ赤なリボンでくるんと飾られたチョコレート。 少しはびっくりするかしら? ところがデスクはその日に限って机の引出しを一切あけなかった。いつもなら「あーあれどこいったぁ?」と机の上にある探し物に気づかないで引出しをガタガタやっているのに。いつも引き出しにはめいっぱいものが入っているから、すぐにあかなくなってやっぱり引出しをガタガタやっているのに。時々、歌を歌いながら引き出しをガタガタ開け閉めしてリズムを取っているのに。「♪デスクのデスクの引き出しは〜」……作詞・作曲デスク……。ちなみに歌詞はいつも一緒だけれど、メロディーはいつも違うデタラメだ。 そんなデスクなのに、今日に限って引出しを一切開けなかった。まさか気づかれた?いやそんなはずは……。 終業近くになって、あたしは耐え切れずに 「デスク!デスクの引き出し空けてください!」 「?俺には引き出しついてないけれどなぁ……」 「つまんないボケはいいですから!」 ああ、もう。どうでもよくなってきた。こんなんだったら普通に渡せばよかった。なんだかこれじゃあ「恥ずかしくて渡せなかったから引き出しに隠したの」とも取れちゃうと今更ながら気づいた。ああ、もう、どうでもいい……あたしは視線をぷいっと余所にむけた。耳だけはデスクの反応をうかがいつつ。 「うわー!!」 とりあえずデスクは驚いてくれた。でも 「こんなの食えねー!!」 「デスクひどい!」 こんなのだなんて、食えないだなんて、そんなわたしだってちょっとはデスクのこと……泣きそうになる気持ちを隠してデスクに向き直ったら、デスクの手には不思議な物体が握られていた。 「見ろよコレ!すげーなー!」 よく見ると、それはデスクが数週間前にお昼に残して引き出しに入れっぱなしにしていたパン……だった。いろとりどりの、カビだらけ。デスクが開けた引出しは、チョコレートを入れた引出しじゃなかった。 「なあ、ジル、これ明日のスクープだな!写真!」 「デスクのバカー!!」 ちょうど終業のチャイムが鳴った。 あたしはデスクの一番上の引き出しを開けるとチョコレートを取り出して、そのまま家に帰った。 デスクのバカ、もう何もあげないんだから。 ++++++++++ 「霧のミラノ(壮シナバイブル)」より。 最終的に「デスクの(俺の)引出しはいつだってジルの為にあいているから」と言わせたいんですが!が!が!(無理だよ)。 |