【正解】
立樹(79期)×美稀(79期)


さて、ここで突然ですが
ナパームスクエアVD2006 Vol.7979




――一杯の コーヒーから 夢の花咲く こともある

 会社帰りにいつも行く喫茶店に行くと、思ったとおり立樹がいた。
「よお、」
「あ、ちーくんお疲れー」
 思ったとおりも何も、ここは立樹の行きつけで、だからオレもいつも来る訳で。立樹が大好きなコーヒーを、こだわりの焙煎とドリップで出すマスターともすっかり顔なじみだ。黙っていても「いつも」のが出てくるぐらい、オレだって常連になっている。仕事にちょっと疲れたときとか、なんとなく家にまっすぐ帰りたくないときとか、どこか寄りたいけれど飲む気にはなれないときとかよく来る場所だ。で、そうすると必ず立樹がいる訳で。
 カウンターに並んですわり、いつもの軽いおしゃべりをする。
「そう言えば立樹、どうだった?」
「どうだった?って?」
「バカ、今日はバレンタインデーだろ?きっとお前ならチョコのひとつやふたつやみっつやよっつ」
「ああ!だから皆がくれたんだ!」
「皆?」
「うん、今日行った営業先の待合室でね、いつも顔を合わせるおばあちゃんとか掃除のおばちゃんとか、婦長さんとか」
「らしいなぁ、で、その中に本命はあったのか?」
「……」
 なんだその間は。
「まさかお前、営業先の病院で院長夫人と……」
「ちーくん、それ何かの見すぎ」
「あ、そっか」
 自分からそうやって冗談に紛らわしたのは、どうやら最近立樹には好きな人がいるらしいって事に気付いていたからだ。自分で言ってから、しまったと思った。オレはそんな立樹の想いを見守ろうと思っていた。いつか立樹が自分で言ってくるまで。それが友達ってもんだよな、うんうん。
「そういうちーくんは?」
「オレ?オレは義理チョコだけだよ。もー、なんだか知らないけど皆オレにくれるんだぜ?秋園だってくれたぜ?『お返しはいらないから、別に』って。なんなんだよー」
「いや、ちーくんにはあげやすいんだよ」
「なんだよ、それ誉め言葉かよ」
「義理じゃないよ、きっと皆ちーくんの事好きなんだよ」
「……バっ、バカ言うなよ」
「照れてるの?」
「うるせえ!」
 もちろん、「皆が好き」はそういう意味じゃないのはわかっている。でも義理チョコをくれるのだって「好意」のひとつには違いないのだと、立樹がそう気付かせてくれた。なんだか、ちょっと嬉しい気もした。
「ま、だいたい義理チョコだなんて風習がいけないよな、ISO14001やってたって、そんな資源の無駄遣いしちゃ意味無いよなー」
 まだなんとなく照れて、妙に饒舌になる。そこにマスターが口を挟んだ。
「そんな風に、義理チョコ否定論の中で恐縮なのだけれど」
 マスターが、それぞれに小さなトリュフの乗った白い小皿を二つ並べてくれた。
「はい、うちからのバレンタイン、義理チョコですまないけれど、サービス」
 そう言ってマスターはいたずらっぽく笑った。オレは素直にありがとうと言った。
「あ、ちーくん俺のあげるよ、はい」
 立樹がオレに皿を差し出した。あ、そうか立樹はいつもコーヒーを飲むときはブラックで、余計なものは口にしないんだっけ。マスターもそれをわかっているから、別に気にはしていない。じゃあ、オレが遠慮なく。で、ふと何気なく、それこそ冗談で立樹に聞いた。
「なあ、これって『本命』?『義理』?」
「そりゃもちろん」

――二人の胸の ともしびが ちらりほらりと つきました


 つかねーよ!!(byちーくん)


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 事業部視点でしぃちぐ。
 つうかちーくんは立樹さんに会いたくてこの喫茶店に来ているんだと思います(笑)。




 遠回りをさせてすみません、それではどうぞ→かけざんだいすき。