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【正解】 夢輝(78期)×百花(80期) さて、ここで突然ですが ナパームスクエアVD2006 Vol.7880 そんな異国の風習は知らないけれど。その異国の食べ物も知らないけれど。 この街では何の足しにもならないがらくたばかり売る物売りの老婆を、いつものように冷やかしながら、そのがらくたばかりの中に色とりどりの安っぽい銀紙で包まれた子供の指のような形をしたものに目が留まった。これで、食べ物なのだという。おや、気に入ったかい?それはあんたに必要だ、かの国ではね、今日はこれを好いた男にやる日なんだよ。 老婆はいつも言う「それはあんたに必要だ」。なんて陳腐な売り文句。 けれども、なぜかそれが気になって、女は老婆からそれを購った。こんなものが別に必要だと思ったんじゃない。ただ、気になっただけだ。 いつものように男は夜と共にやってきた。 女はその食べ物を男に与えた。男も珍しそうにそれを見ていた。そしてその包みを剥いた。 「あ」 熱で溶けるものなのだと知った。男の指が褐色に染まっている。外気に触れた血の色の、一番どす黒く染まった部分の色にも似ていた。気持ち悪い。 気持ち悪いだろう、と女は男の手をとりその褐色を舐め取った。その色に反して、とても甘い。不思議な香りと、甘さ。女の唇が男の指を深く咥える。 「……旨いか?」 そう男は聞いて、その手のひらを女の頬になすりつけた。女の頬が褐色に染まって、そして男がそれを舐めた。舐めて、女と同じように意外だという顔をした。 甘い。女が男の手を舐めとり、男が女の頬を舐めとる。そして交わした唇は、互いに残るの甘さを懐かしむように、貪りあった。 「それで、これは、何なんだ?」 ひとときののち、男が聞いた。その異国の食べ物の名前を聞いていなかった事に女は気づく。その名前すら知らないのだから、その異国の風習を語る必要はないと思った。 男は残っていたその食べ物を口にした。 「気に入った?」 「ああ」 「そう、ならそれでいいわ」 「……そうだな」 女は男の口から、再びその甘さを味わった。 ++++++++++ 捏百魔都視点でバレンタインデー(ええ?)。 最初は夢百(ビバテラ視点)にしようかと思ってました、ええだって魔都でバレンタインデーなんてありえないじゃん!……人間、やればできますね(やらないほうがよかったんじゃ?)(笑)。 |