「魔天道ソナタ」ってご存知?

 山月は基本的になかなかラブストーリーにはまれません。近年はまったラブストーリーといえば、カップリングものが殆どです。恋愛物が嫌いなわけじゃないんだけど、それが主軸にある話にはまった事があんまりないなあ…。
 そんな山月ですが、一つだけ、ものすごく大好きなラブストーリーがあります。「魔天道ソナタ」っていう、「プリンセス」と言う雑誌で連載してた漫画なんだけど。
 内容は、…えーと…どう説明すればいいんだあれは??そうだなあ。ミカエルって言う美少年天使がおりました。彼は幼い頃から「天の蒼(ソラノアオ)」と呼ばれる邪悪な存在に付け狙われておりました。そのミカエルに恋をした悪魔フィラは、ミカエルを不幸な運命から救おうと頑張ります。
 …って、こんな説明でええのかのう。大体間違ってないと思うんだけどなあ。そうですね、かなり濃厚に少女漫画的なラブストーリーであり、ファンタジーなお話であります。
 この漫画、山月が生まれて初めてまともに読んだ漫画にして、山月が初めてはまった漫画でもあります。小学3年生の時、姉の本棚から借りたというのが出会いでした。
 はい、この漫画を良く知っている人は、この話を聞いた時点で「ええっ!?」って言います。「初めて読んで、初めてはまったのがあの漫画!?しかも小学3年生!?…濃ゆい人生やなー…」と。
 そう…かもしれません。天使と悪魔がペアを組んで、現代の地球に降りてきて死者の魂を導くと言う、ファンタジーとしての設定も相当濃いと思います。少年ミカエルと青年フィラの恋物語って言う、当時の少女漫画としてはまだ異色のカップルであったことも、小学3年生が初めてはまるにしてはあんまり普通じゃない漫画だったと思います。
 …ええ。つまり、「ボーイズラブ」なストーリーなんです、「魔天道ソナタ」って。
 山月はこれより濃厚なラブストーリーの漫画は見たこと無いです。
 この2人の思い合う様がいいんですよ。
 フィラがミカエルを想う気持ちの深さは、ミカエルのためなら命さえ惜しまないほど。でもミカエルにしてみれば、そんなフィラの気持ちは嬉しいけれど、このまま自分の運命に巻き込めばフィラを不幸にしてしまうから、憎まれ口ばかり叩いてフィラから離れようとする。
 2人の一挙一動全部お互いのため。幸せになれなくても相手のために身を投げ出せるという愛情。
 至上の恋愛っすね。未だにこの2人は、山月の理想の恋人同士です。そう言う点では男同士だろーと女同士だろーと、関係ありませんね。問題は「そこに愛はあるか」です。いやそんな事言うのは、はじめにはまったのが魔天道ソナタだったために、「恋愛は男女でするものだ」と言う観念が山月の中で育たなかったせいかも知れませんが、それはともかく。
 ただ、この漫画読むたび思うんですが、そこまで愛し合う2人には、とっとと2人で幸せになっていただきたいですね。一つの障害に立ち向かうたびに、いちいち相手を想う気持ちを見せ付けてくれるところがこの漫画の魅力ではありますけど、愛し合ってるのに幸せになれない姿は切なくて仕方ない。でも障害がなくなると話が終わっちゃうんだよなー(困)
 まー、「そんなに好きならとっととくっつけ!!」ってのは、どこのラブストーリーでも言える事ですが、「最初からハッピーエンドの映画なんて、3分あれば終わっちゃうだろ(BYポルノグラフィティ)」なんですよね。人類(特に乙女)は永久にこのジレンマを抱えて、数々のラブストーリーを生み出し、もしくは出会っていくんでしょう。
 そんな中でも、かなり典型的なラブストーリーとして、山月は今でも「魔天道ソナタ」を愛しておるわけです。
 秋田書店刊行、天城小百合作「魔天道ソナタ」全20巻。濃いラブストーリーに飢えてる人は、読んでみてください。

山月のはんこ