※週刊少年ジャンプ2007年51号52号及び2008年01号のBLEACHのネタバレです。
しかも読んでいないと 意味が分からない書き方です。
※腹黒くサディスティックなギンを許せない人はご遠慮ください。
※ギンらしくかつ正しい関西弁をどうかご意見下さい。
白に捧ぐ赤
白に赤は一番映えると思うんよ。
その点、あんたら兄妹が一番ええわあ、純白やもん。
見た目の話と違うで。
清廉で高潔で誇り高こうて。
一点の染みもない。真っ白や。
お兄様の名前を知った時なんて、
ぴったりや思うて笑うてもうたわ。
訓読みしたら「しろなり」やんか。もう、まんまやね。
おまけに、これまた真っ白な妹はんまで出来て。
一滴も血つながっとらへんのにそっくりや。
ええね。
ええよ、キミら。
真っ赤に染めたなるんや。
繰り返すけど、見た目の話と違うで。
その心をざっくりと抉って、
あふれ出したその赤で染めるんよ。
最高に綺麗や。惚れ惚れするで。
灰色を染めるんも悪なかったけどな。
白にも黒にも染まりきれんで、
他の色を選ぶことも出来んで、
いっつもボクの後ろ、たどたどしく着いて来てた灰色。
罪悪感やら、恐怖やら、自己嫌悪やら、
簡単に傷だらけになっとったなあ。
でも正直、ちょっと簡単過ぎたわ。
銀色を染めるんも楽しいけどな。
ボクみたいなくすんだ色とは違う、
光を鋭く跳ね返す髪の毛の持ち主。
鋭利な切っ先みたいな銀色。
よぉすごい眼ぇして睨まれたわ。慣れとるけど。
ただあれは、上手いこと傷付かへんねん。
赤は赤でも怒るばっかで、それはそれでおもろいんやけど。
それだけに幼馴染ちゃんの赤を被った時は見ものやったわ。
幼馴染ちゃん自身はひまわりみたいに黄色うて、
全然ボクの趣味やなかったんで、
傷つけたん自体はボクの都合やなかったけど。
…紫色はどうしとるやろな。
そういえば、銀色君の部下やったっけ。
一回も染める気なったことないな。
紫に赤て目ぇ痛なるやん。
それに…紫て端から赤混じっとる色やもん。
ま、何にせよ、赤で染めるんなら白が一番や。
妹はんの極刑が決まった時のお兄様とか良かったわあ。
自分で自分をがんじがらめにして、
無表情のまま自分で吐いた赤に染まってはるんやもん。
ちょお突付いただけで、
ますます縄が喰いこんどったわ。
妹はんの方は、双極へ向かうとこへ意地悪しに行った時な。
必死にかわそうとしとったけど、悪いね。
キミのことはたっぷり観察しとったんよ。
息も出来んよう身動きもとれんよう、
確実に絡め取れるように。
思った以上の反応やったわ。
そしてどんなに染まっても、
この兄妹は必死に赤い沼から抜け出して、
また純白に戻ろうとするんや。
アカンよ、そんなん。
また染めたなるやん。
だから飽きひんねん。
ホンマに楽しませてくれる。
さあ、真っ白な兄妹が揃たで。
あ〜、お兄様、かっこええわあ。
まるで白馬の王子様や。
相手は姫やのうて妹やけど。
澄ましたカオしてても無駄やで。
瀕死の妹はん見て、うろたえとるわ。
自分が来る前に妹はんがどんな目に遭うたか、
知りはったらどんな風に染まりよるやろ。
あの時の妹はんも相当やったし、
ボク、楽しゅうて仕方ないわ。
ああ、教えたいなあ。
「ええわあ、妹想いて。感動的やわぁ」
彼女が先にここに来たゆうことは、
絶対お兄様が何か手ぇ回しはったはずや。
自ら敵地に送り出しておいて、
傷付いたのをその目で見ればうろたえる。
支離滅裂やな。普段の彼からは想像も出来ん位や。
妹はんの情に流されよったんやろなあ。
大事な大事な奥さんの忘れ形見やもんなあ?
そら、逆らえんわ。
しっかし、ちょお相手がな。
あのサーモンピンクな生臭坊主、ボク好かんのよね。
あれに勝たれてもつまらんわあ。
おもろい能力やから、
もしかしたらちょっとは余興になるかも知れへんけど。
ま、お兄様が勝つんやろね。
ん?
…何、この子。
…何か場違いな子が兄妹のとこ向かっとる…。
四番隊の鞄背負っとるけど、こんな子おったっけ?
いくら救護要員やゆうて、ヒラやないやろな。
あ、転んだ。とろすぎ。
て言うか何。瞬歩も出来んとここ来とんの?
こんなとこ来て、霊圧だけで潰れるんと違う?
誰が連れて来たんか知らんけど、アタマ沸いとんのやないの?
それにボク、こういう「いかにも」なイジメられっ子って、
興味ないんよね。イジメられ慣れしとる言うんかな。
見た目反応はおもろいんやけど、実は痛覚鈍いんよ。
結構頑丈やったり、立ち直り早かったりするし。
…ん〜、濃緑色?
真っ黒けみたいな圧倒的なもんと違うて、
さり気なく色があるせいで油断するんよ。
夜の森みたいなもんや。
暗いと目立たんから、誰でもイタズラしたなるやないか。
大声出したり、物壊したり。
夜やと静かやから、物音はよう響くんよ。
でも、一瞬やねん。
暗がりに吸い込まれて、消えてまう。
獣同士が喰らいあっとっても、包み込んでまう。
静かな夜の森に、戻ってまう。
赤もよう映えん。
濃いい色に吸い込まれて、目立たんようになってまうんや。
そのくせ、自分の色はしっかり守りよるんよ。
つまらん。趣味やない。
兄妹の許に辿り着けんよう、迷わしてしまおか思たけど、
流石に妹はんがこのまんま失血死ゆうんもなあ。
お兄様もさっくり自分の左足斬ってはるし。
あ〜、ボクって親切。
お、生臭坊主。思ったとおりやりおったな。
お兄様怒らせたわ。怖い怖い。
面白くなりそうや。
…てホンマにこの濃緑色は。
来るなり場を自分色に染めよって。
…あ。ふざけた名前で思い出したわ。四番隊の七席君やねえ。
どっちにしてもここに連れてくるレベルとは思われへんなあ。
しかし…四番隊の七席君言うと、
妹はんを極刑から救いに来た連中と行動してたはずやな。
表向き、人質に捕られたてことになっとったけど、
その実、妹はんに情が移って、自ら瀞霊廷案内したって話。
ふうん。妹はんにとっては命の恩人の一人やねえ…。
この子、自らの力量も省みず志願したんやろか。
それにしたって四番隊隊長はんも、
こんなの連れて来なさるようなトチ狂ったお人とは思いまへんでしたわ。
お〜お、いくら妹はんが小さい言うても、
貧相な身体で必死に運んで…。
お兄様の方は左手まで棄ててはるわ。
そうやねえ、自分の手足に邪魔されとる場合やないもんねえ。
大事な大事な妹はんの一大事やもんねえ。
でも、自己犠牲に酔うとる場合やないんやで?
アカン。
思わずニヤけてもうたわ。
今の、お兄様の顔ときたら。
純白に、赤が染みていく。
妹はんを染める赤に、
お兄様の心まで裂けて、赤く染まっていく。
ああ、綺麗や。
思った以上に傑作や。
なんや、七席君邪魔や思うたけど、
意外にも来てくれて正解やったんね。
妹はんが自害する前にお兄様が止めはって、ホンマに良かったわあ。
お兄様にしてみれば、呼吸するくらい簡単やったろうけど。
ボク、祝福するわ。心から。
生臭坊主。
今際の際まで見苦しい奴やったけど、褒めたるで。
おもろいことしてくれたわ。
兄妹、二人とも純白。
清廉で高潔で誇り高こうて。
特に妹はんは、
何よりも、自分が傷付くことよりも、
誰かが傷付くことが痛いんよねえ。
妹はん、覚えてはるかなあ。
意識ないし、覚えてないかもしれへんな。
ま、どっちでもええねん。
むしろ、ボクの口から教えたげたいわ。
「キミ、自分を助けに来てくれた子を、ざっくり斬ってもうたんやで?」
真っ赤になるやろなあ。
お兄様は、それを恐れとる。
今自分がしでかしたことを知ったら、
妹はんはあっという間に赤い沼の底や。
それを想うただけで、お兄様まで真っ赤っ赤や。
妹はんが死んでもうたら、こんなおもろいことにならへんかったわ。
あ〜、でも救援来てもた。
治すんなら、先に妹はん治してくれへんかな。
そしたら妹はんの意識が戻った後で、
七席君の治療、邪魔したるのに。
それで七席君手遅れで死んでもうたら、
妹はんエライことになるやろねえ。
でも、そう上手いこといかへんなあ。
残念やなあ。
兄妹の前で七席君弄り殺したら、
あの二人どんなカオするやろ。
そこまでしたら流石に叱られるやろし、
そういう風に直接いたぶるんは、趣味やないけどね。
ま、予想より楽しめたわ。
次の機会も、期待してまっせ。
必死に白く生きていくキミら兄妹に、
赤い赤い贈り物をする機会を。
こめんと。
切腹、御免。
何だか、言葉にしてしまうとギンの黒さが安っぽくて頭の悪そうなものに見えてしまいますね。ギンはきっとこんなこと絶対頭の中で言葉にすらしないと思います、本当は。でもこれまでサッパリ理解出来なかったギンをこの方法で解釈すると、あまりにもするっと納得出来てしまったので、形に残さずにいられなくなってしまったのです。そしてギンの視点でゾマリ戦を眺めたら、あまりにも楽しくて、アタマの中でこのまま煮詰めていくと山月自身がサディストになってしまいそうだったのです。それだけは嫌だったんです!私はサドでもマゾでもなーーーい!!
そしてもっと言うなら私は山田花太郎のファンなんだ!!
なのにBLEACHで初めて書いた二次創作が市丸ギンて!!折角、折角頭の中で花太郎の小説を組み立てていたところだったのに!!人様のところでギン小説を読んだ際に、「本当のところ、ギンは花太郎に対し感想を持つだろう」と思ったのが運の尽き。「ギンは花太郎より、朽木兄妹をイジメる方が好きそうだ」なんて方向へ頭が吹っ飛び、あれよあれよと言う間につじつまが合って行って。むしろ、何で今までギンが朽木兄妹に変な執着をしてることに気がつかなかったんだと言うくらい。いかに山月が花太郎以外をちゃんと見てないかが現れていますね。
純白は朽木兄妹、濃緑色は花太郎、灰色はイヅル、銀色は冬獅郎、黄色は雛森、紫色は乱菊、サーモンピンクはゾマリというのは勿論私のイメージしたものですが、どの色が良しとも悪しとも思っていません。花太郎については贔屓目に描写してますが、評価自体は山月の頭の中のギンのものです。ギンは、乱菊に対していたぶったりすることを考えたことがないんだね。ちなみに雛森を「ひまわりみたいな黄色」と言ってますが、ひまわりは太陽を追う花の姿から、敬愛や従順さの象徴とされています。
ギンが何色かは、山月には分かりません。あえて頭の中の彼に尋ねるとこう答えます。
「刃物色、やね。浴びまくった返り血がとっくに黒ずんで、まだらに錆ついてるんよ。きっと」