「やおい」って何よ?(☆)

 山月は、「『散文歩道』における『やおい』などの言葉の定義」の中で、「やおい」と言う言葉を独断と偏見で定義しています。これはまるきり山月の個人的な定義で、「散文歩道」以外では通用しません。
 どうしてそんな定義を決めたかと言うと、実は以下のような事情があったから。
 ここまで来た人って、皆「散歩」のゲート前から入ってきたと思うんだけど。そこで山月は「このサイトでは『カップリング』の要素があるコンテンツがあります」って言う事を書いてあります。
 この断り書きを書くときに最初は「『やおい』あります」と書こうと思ったんだけど。そこでふと気がついた。
 「やおい」ってどう言う意味よ?
 「やおい有り」って言われたら、人はどんなものを想像するのよ?
 「やおい有り」と言う説明で完全に意味が通じるの?
 考えてみたら、正直一般的にどう使われてるのかよく分からなかった(汗)。言葉って、意味分からんまま公的な場で使うと痛い目見るんだよね(経験者は語る…)。
 こりゃ、一度きちんと調べてみてから考える必要がありそうだ。
 ので、とりあえず「やおい」って言葉がどういう変遷を辿って今のような使い方をされているのか、山月の知ってる限りの事をまとめてみた。それが以下のような経緯だった。ただし、所詮山月の知識なんて聞きかじりだから穴だらけ。「おかしいぞ」「間違ってるぞ」「足りないぞ」ってことがあったら、山月に教えてやってください。
 まず「やおい」は元々、手塚治虫先生が造った造語。その意味は、「やまなし、おちなし、いみなし」つまり、「構成が悪い物語」イコール「つまらない物語」って言う意味だってのは有名。手塚治虫先生は漫画家だけど、「やまなし、おちなし、いみなし」の物語に人目に触れる価値はないって事は、漫画に限らず小説にしろ映画にしろ通用する事実だよね。
 んで一方、「やおい」っつー名前で世にはびこる前から、男同士を恋人にしちゃう物語を書くのが好きな女の人達がいた。その人達がこの「やおい」って言葉を知って、自分達が出した本に、謙遜と自嘲の意を込めて「やおい漫画」だか「やおい全集」だかってタイトルをつけた。
 それが同類の人達にウケちゃった。理由は何だろね?語感か、それともその自嘲っぷりかね。
 そして「キャプテン翼」とか「セイント星矢」とかで男性キャラ同士をくっつけるパロディ作品が女の人達の間で流行った際に、そういうパロディ作品を「やおい」と呼ぶ風習が広まった。
 だから今でも、「やおい」っつーたら主に既成作品の男性の登場人物を2名が恋人同士になったら、と言うパロディ作品のことを差すようだ。
 で、この「やおい」の流行が高じて、パロディではない、女性向に男性同性愛作品を扱った作品も出回るようになった。そして、そういった商業誌も。その筆頭が雑誌「JUNE」…だと思うんだけど、キャプ翼よりJUNEの創刊の方が早いかも…。
 ま、とにかくそういうオリジナルの男性同性愛作品は「ボーイズラブ」「オリジナルJUNE」と呼ばれるようになった。ただ、「オリジナルJUNE」は実際にある商業誌のタイトルだから、商業誌をジャンルわけする時には使わない。同人誌の場合だけらしい。
 でも最近じゃ、商業誌を含むオリジナルの男性同性愛の物語も「やおい」のうちに含んじゃう傾向もあるみたいなんだよなー。
 これは山月の個人的な意見なんだけどさ、オリジナルとパロディは呼び名を分けた方がいいんじゃないの。だってパロディとオリジナルじゃ、書き手側の意識が違うと思うんだよね。「ボーイズラブは書くけどパロディはやんない」とか、その逆とか。「設定を他から借りてくるかどうか」は書く際にキャラの立て方から変えなくちゃならないし。勿論読み手の意識も違うだろうけど、書き手と比べればあんまり自覚はないと思う。…まあこの話はとりあえず置いといて。
 とりあえず、「やおい」って「女性向の男性同性愛作品」のことなのね。
 でも山月は思うんだけど「やおい」ってのは単に「男性同性愛」だけじゃなくて、「性的描写」があるもののことを示すような気がするんだよね。
 でも、これについては人によって、その範囲が違うらしいんだよね。同人誌の通販コーナーじゃ「やおい有り」ってのは、雑誌によってはHシーンがあるぞって意味だったり、単に男性同士のカップルがあるぞって事だったりするし。「やおいあります」って書いといて、性的描写は禁止ってとこもあるし。実際のとこどうなのよ?
 そういや現在では「やまなし・おちなし・いみなし」の意味はもう失われているから、「やおい」の意味は「ヤる・犯す・イカせる」とか「やめて・お尻が・痛いから」だって説も有るんだってね。やっぱ、「やおい」つーたらもう性的描写を含むってのが当たり前ってなのかな。「やおいは女性向のポルノ」って言いきっちゃう人もいるわけだし。
 山月の周囲にいる人からもちょっと話を聞いてみた。したらやっぱり、「やおいっつーたらHシーン有りってことだしょや」と言う返事が多かった。
 でもまあ、結局人によって定義が違うんだよね。
 じゃあ、つまり、「やおい」の定義ははっきり決まってないってことなんだな?あいまいなんだな?だったら山月が、手持ちの情報からそれらしく言葉の定義をしても、個人的に使う分には誰も文句言わないな?
 結論。「やおい」を『既成の作品の男性キャラ同士を恋人同士に仕立てた、性的表現を含む女性向のパロディ。オリジナルの男性同性愛作品は含まない』と定義する。この定義は、このサイト「散文歩道」の中でのみ通用する。
 まあ、この定義を決めるまで、こんなことが山月の頭の中を延々回ったわけです。
 ちなみに、「『散文歩道』における『やおい』などの言葉の定義」の中で定義されてる他の言葉も、以上のような事に連れて定義しようと決めました。
 で、結局インデックスの注意書きに「やおい」と言う言葉を使わなかったのは、(☆)コンテンツでは性的描写は禁止してるから「やおい」は当てはまらない事、初めての人がまず見る注意書きだから「自分定義」の言葉は使いたくないし、こんな一般的定義のあいまいな言葉は怖いからという事から。ので結局、一般定義も割と固定してて「自分定義」とのズレもあまりない、かつ(☆)コンテンツを表すのに一番適切だと山月が判断した「カップリング」と言う言葉を使う事にしたわけです。
 でもねえ。山月は随分無い頭絞ったつもりだけど、言葉の定義にしろ、インデックスの注意書きにしろ、「これやばいって」っていう失敗をしてると思うんだよね。もしそれに気づいた方、もしくは何ぞ意見の有る方は、山月に教えてくれると嬉しいです。よろしくお願いします。
 言葉ってムツカシイね。ぎゃふん。

山月のはんこ