『子供』


子供の相手は苦手だ。
勝負が挑めないからだ。
勝敗が分かってる相手に、
誰が本気になれるものか。
腹が立つ。

俺と目があっただけでこそこそ逃げるゴロツキもいるってのに。
俺を金に化ける首としか見てない輩もいるってのに。
子供と言う生き物は、
吹けば飛びそうな体で、真っすぐ俺を睨んで、
きゃんきゃん喚きたてたりする。
おどおどとした態度をしながらも、
俺を気遣ったりする。
気味が悪い。

殺気を含んだ目とか、
企みを隠した言葉とか、
そういうものを向けてくる相手なら、
適当に排除する気にもなる。
だが子供という生き物は。
あまりに真っすぐ走ってくるもんだから、
こっちが避けてやらなくてはならないような気がする。
たちが悪い。

子供が転ぶのを見た。
無性にいらいらしてきて目をそらすと、
あいつがからかうように言った。
「どうしたらいいのか分からないんだろ」
何のことだと答えたら、
ごまかすなよと、あいつが笑った。
「助け起こしてやりゃあいいんだよ」
手を貸したくらいで壊れるほど、
子供ってもんはヤワじゃないんだと、
からから笑った。
妙にばつが悪かった。

やっぱり子供は苦手だ。
勝負が挑めない。
勝敗は分かっているのだ、
俺の負けだと。
本気で負けてやるのは、
性に合わないというのに。

まったく、腹が立つ。

山月のはんこ


   こめんと
 サラマンダーです。
 「サラマンダーが優しいとは意外だ」という人と、「いや、あいつは絶対子供好きだ」という人に意見が分かれるみたいですが、私の中の彼はこんなイメージなのです。彼、可愛いっすよね、この不器用さが。