青磁_即興電Pの「或る詩謡い人形の記録」シリーズが面白いので考察してみました。 2009/03/16 全曲アレンジメドレーが投稿されたので、下の方に追加しました。 あと、『夕刻の夫婦』に出てくる剣士KAIKOは隻眼だと思っていたら、そうとも限らないみたいなので直しました。 |
全編通して、詩謡い人形が主(言葉遣いから見て幼いらしい)に物語を聞かせている形式で謡われています。 一つ一つ独立した物語としても楽しめるのですが、やはり全編関連する物語として観たときに、 相関関係を抑えるのに一筋縄ではいかないところが魅力的な作品です。 まあ、本編見てない人ここに来てないと思いますが、本編見てから読んでくださいね。タイトルから元動画に行けますから。 まず、発表順にポイントを列挙していきます。 イラストについては、青磁_即興電Pがピアプロでモチーフにしたキャラクターを明記してましたので、それで呼びます。 その次に、全曲アレンジメドレーの歌詞から補足点を挙げています。 |
【KAITOオリジ】或る詩謡い人形の記録『雪菫の少女』 | ||
イラスト | 女性形詩謡い人形(以下KAIKO)。 | |
あらすじ | ねじをまいて、物語をせがむ言葉に、人形が応えて語り始める。 「愛する人」のためだけに剣を振る「名将」と呼ばれた少女。 手を血に染めながら武勲を重ねたが、たった一度の過ちにより投獄される。 獄中で気がふれたように独り言を呟き続ける彼女は、「魔女」と呼ばれるようになった。 看守達は「魔女」の声を止めにいく。彼女の名前が語られる前に話は打ち切られる。 |
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考 察 | 「愛する人」は誰か、何故投獄されたのか。謎は多いのですが、まだ考察する材料がありません。 | |
【KAITOオリジ】或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』 | ||
イラスト | KAIKO、男性形詩謡い人形(以下KAITO)と、言霊使いの双子(兄はレン、妹はリン)。 | |
あらすじ | 呪われた詩なので人形以外は謡ってはいけないという前置きから始まる。 双子(兄と妹)の魔術師がいる。双子は呪力を半分づつ持っている。 妹は呪力を独り占めするために兄の死を願い、それを実際に口にもする。 兄は悲しんだが、妹の願いを叶えるために自ら命を絶つ。 しかし、兄が己の片目を抉った時、何故か妹まで隻眼となってしまった。 |
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考 察 | タイトルの「言霊使い」というキーワードや、 詩自体が呪われていて謡ってはいけないものであるという語りから、 発言が引き起こした悲劇を語っていると推定される。 妹は兄の死を願っていると兄に告げ、それは実現する。 兄の「君の中で往き続けるよ、永遠にね」という発言は、 隻眼という形で、兄の死の象徴が妹の身に刻み込まれ、実現したとも解釈できる。 何故妹が隻眼となったのかは定かでない。 |
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【KAITOオリジ】或る詩謡い人形の記録『夕刻の夫婦』 | ||
イラスト | KAITO。科学者(シロイト)とその妻(MEIKO)。「対なる子供たち」。 「王の盲信者」 |
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あらすじ | 白い肌・白い髪の科学者と赤い髪・赤い瞳の妻、 「対なる子供たち」の一家は貧しいが幸せに暮らしていた。 しかし科学者は、恵まれた才能を凶行に使わざるを得ず嘆く。 王に大量殺戮兵器を作れと命じられた科学者は、夜中に家族を連れて逃げだす。 王の盲信者(剣士KAIKO)が追ってきて、科学者の両腕と妻の両眼を奪い、子供たちを連れ去る。 科学者は何もかも奪われたことを恨み、魔物のような腕をつけ、 無差別に人の腕と眼を奪うようになった。 「全てを奪った祖国を滅ぼし」た後も、夫婦は子供たちを探して今でも徘徊している。 |
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考 察 | 「対なる子供たち」=『言霊使いの呪い』の双子、 「王の盲信者」=『雪菫の少女』の「名将→魔女」の可能性があるがどちらも確証なし。 前者のイラストは隻眼KAIKO、後者のイラストはリンっぽいので可能性は低い。 当たり前だが「王の盲信者」と「対なる子供たち」は絶対に別人なので、「王の盲信者」=『言霊使いの呪い』の妹、 もしくは「対なる子供たち」=『言霊使いの呪い』の双子のどちらかしか成立しない。 (KAIKOの隻眼は勘違いだったようなので上記の考察は取り消し) |
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【KAITOオリジ】或る詩謡い人形の記録『賢帝の愛顧』 | ||
イラスト | KAITO。歌姫(ミク)。王(男装ミク)。腹心の少女(剣士KAIKO |
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あらすじ | 平和を愛する賢帝と呼ばれた王(男装ミク)は、余命短い歌姫(ミク)に恋をして豹変。 歌姫を生き永らえさせる術を探して、周辺の国々を侵略する。 腹心の少女(剣士KAIKO)が諌めても止められない。王を止めるため、歌姫は「永遠の眠り」を与えられる。 箱の中で眠る歌姫を見て失意の底にいる王の首に、魔物が爪をたてた。 王は傷を負って、死に際に「彼女」へ「先に行くよ」と声をかける。 |
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考 察 | 「腹心の少女」=『夕刻の夫婦』の「王の盲信者」、イラストの一致から八割方確定。 王を殺した「魔物」=『夕刻の夫婦』の科学者、これについては『夕刻の夫婦』の中で 「全てを奪った祖国を滅ぼし」という記述があることから、これも八割方確定。 王が「先に行くよ」と告げた「彼女」が誰なのかはこの作品だけだとほぼ不明。 王が死に際にわざわざ告げるほどの相手としては歌姫しか考えられないが、 歌姫が死んでいるなら「先に行く」では矛盾する。 歌姫の眠りは「永遠の眠り」としか表現されていないので、歌姫は死んでいない可能性がある。 歌姫が死んでいると仮定した場合、「彼女」=「腹心の少女」の可能性も一応ある。 |
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【KAITOオリジ】或る詩謡い人形の記録『終焉の歌姫』 | ||
イラスト | KAIKO。隻眼の魔女(リン)。美しい娘(ミク)。 | |
あらすじ | 冒頭で人形が語る。自分たちは昔実在した謡う魔術師をモデルに作られた失敗作だが、 モデルは身を滅ぼすほどの力を持っていたと。 昔、魔物におびえて暮らしていた頃。 隻眼の魔女と、かつては至上の歌姫と呼ばれた美しい娘が共に暮らしていた。 娘の歌は死を招くというので、村人が娘に歌で魔物を殺せと迫った。 魔女は「手を汚すのは私だけでいい」と、魔物に立ち向かった。 娘は「古城で眠っていた私を」家族にしてくれた魔女を守るために歌った。 娘の歌に気をとられ、魔女は魔物に身を裂かれ、最期の力を振り絞って魔物ごと谷へ身を投げる。 「呪い掛けたのは誰の詩?」「貴方のいない世界呪い謡う」「(全て終わってしまえばいい)」 「(私は終焉の歌姫)」「針の谷で三日三晩聞こえた声は」「あら?」ここで話は打ち切られる。 |
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考 察 | 「隻眼の魔女」=『言霊使いの呪い』の妹なのは、イラストの一致から八割方確定。 故に、「隻眼の魔女」=『夕刻の夫婦』の「対なる子供たち」の片割れである可能性が発生。 「美しい娘」=『賢帝の愛顧』の「歌姫」なのは、イラストの一致と「至上の歌姫と呼ばれた」という記述から確定。 娘は「古城で眠っていた」ので、『賢帝の愛顧』で「歌姫」は死んでいなかったということになり、 王が死に際に語りかけた「彼女」は「歌姫」にほぼ確定。 「永遠の眠り」が何だったのかについては、情報がないので妄想するしかない。 歌姫は人形だったという説もあるが、人形のモデルについては「歌う魔術師」と記述されているだけで、 人形かどうかは語られていない。 『雪菫の少女』でのイラストがKAIKOしかないのは、KAIKOが「名将→魔女」の剣士KAIKOを モデルとして作られたものだからとも解釈できるが確証はない。 「魔物」=『賢帝の愛顧』の王を殺した「魔物」=『夕刻の夫婦』の魔物のような腕を持った「科学者」、 これで矛盾は発生しないが確証はない。 「魔物」=「科学者」、「魔女」=「対なる子供たち」の片割れだとすると、魔女は父親を殺したと言うことになる。 ちなみに「三日三晩聞こえた声は」「あら?」で打ち切られるのは、主が眠ってしまったか何かのためか? シリーズは主が物語をせがむところから始まり、聞き手がいなくなったところで終わったようだ。 |
総 括 | 以上のポイントから、無駄が少なくて矛盾のない順番に挿話を並べると、以下のとおりになります。 | ||||||||||||||||
1:『雪菫の少女』 | 王に仕える名将(剣士KAIKO)がいた。 | ||||||||||||||||
2:『賢帝の愛顧』 | 賢帝だったとある王(男装ミク)が、余命少ない歌姫(ミク)に恋をして豹変。 彼女を生き永らえさせる方法を求めて周辺の国々を侵略し始める。 |
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3:『夕刻の夫婦』 | 王は侵略のため、科学者(シロイト)に大量殺戮兵器を作れと命じるが拒否される。 王の盲信者(剣士KAIKO)は逃げ出した科学者一家を追い詰め、科学者の腕と妻(MEIKO)の眼を奪い、 「対なる子供たち」を連れ去る。科学者は全てを恨み、魔物に身を落として人々を襲い、子供たちを捜し始める。 |
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4:『賢帝の愛顧』 | 腹心の諫言も聞き入れない王を止めるため、歌姫に「永遠の眠り」がもたらされた。しかし王は悲嘆に暮れる。 | ||||||||||||||||
5:『賢帝の愛顧』 『夕刻の夫婦』 |
王は魔物によって殺され、国は滅ぶ。 | ||||||||||||||||
6:『言霊使いの呪い』 | 一方、親元から連れ去られた「対なる子供たち」は成長した。 呪力を分かち合った双子の兄(レン)と妹(リン)。妹は呪力を独り占めしたいと兄に告げる。 兄はそれを聞き入れて己の片目を抉るが、何故か妹まで隻眼になってしまう。 |
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7:『終焉の歌姫』 | 隻眼となった双子の妹は、魔女と呼ばれるようになった。 ある日古城で眠り続けていた歌姫を見つけ出し、共に静かに暮らすようになる。 しかし、魔女は魔物を倒すために身を捨て、歌姫は家族を失う。 |
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妄想ポイント | 「対なる子供たち」はなんで呪力を持っていて、どうして妹は呪力を独り占めしたいと言ったんでしょうか。 剣士KAIKOは 投獄された剣士KAIKOはその後獄死してしまったんでしょうか。 なんで歌姫は余命少なかったんでしょうか。歌姫の「永遠の眠り」とはなんだったんでしょうか。 古城になるまで眠り続けても「娘」のままだったのは、何か特殊な眠りだったからでしょうか。 王が死んだ後国は 魔女が魔物を殺したとして、科学者の妻はどうなったんでしょうか。 これらの物語を引き継いで、語り部の人形を作ったのは一体どういう人なんでしょうか。 |
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ヨミ屋の妄想 | 上記を踏まえまして。 最後に謡われた『終焉の歌姫』の中で、このシリーズの主題にあたるらしい「呪い掛けたのは誰の詩?」という 質問が投げかけられ、ずっと世界を呪う歌がコーラスとして流れてます。作中には「死を招く」とか「言霊使い」とか 「魔女」といったキーワードに関連する人が多く出てきますのが、とりわけ「世界を呪う理由」を持っているのは、 剣士KAIKO(王の盲信者だの腹心の少女だの色んな表現されてるんで以下これで行きます)、 利己によって双子の兄を失った「魔女」、王に過剰な愛顧を受けた「歌姫」の3人です。 剣士KAIKOの「愛する人」については明記されてませんが、「王の盲信者」と呼ばれてますから多分王でしょう。 権力も名声も求めず、王に一心に仕えましたが、王の心は剣士KAIKOには向かず、荒れる国を見かねて諫言するも 聞き入れられず。 傷つけたせいかもしれません。 投獄された理由は、科学者一家をとり逃したためか、歌姫を眠らせるために手を下したためかもしれません。 王は最後まで隻眼KAIKOに心を向けることなく、歌姫に「先に行くよ」と告げて世を去りました。 彼女は、牢獄の中で月や太陽に許しを請い謡いつつ、手を血に染めても報われなかった自分の運命を呪っていたのかも。 わずかづつでも4編に出番がある分、妄想の余地の大きい人物です。 「魔女」ですが、作中2回の身内殺しをしたことになります。1人目は呪力を分け合った兄、2人目は魔物に身を落とした科学者、つまり父です。 兄には直接手を下してませんし、魔物を父と気付いていた可能性は低いでしょうけど。 兄の死に直面して泣き出した彼女は、それまで身内を失う辛さを知らなかったように見えます。 幼少時に父母の元から連れ去られ、血縁者は兄一人。肉親より呪力が欲しいと願うような状況で育ったんでしょうか。 しかし、兄を死なせた罪悪感を抱えていた彼女は、歌姫を家族として迎えて暮らすことで、孤独を癒していた。 もう家族を傷つけることは出来ないと思ったんでしょうが、その結果歌姫から家族(魔女自身)を奪うことになりました。 魔物が父だと気が付いていたなら、ますます救われない話です。 彼女の場合、兄を失った瞬間から愚かな自分を含めた世を全て呪っていてもおかしくないでしょうね。 「歌姫」は、過剰な王の愛顧を受けたわけですが、それに対して彼女がどう思っていたのかは作中に一度も描かれていません。 しかし、例えやりすぎだから止めて欲しいと思っても、芸を売り物にする人間は権力者の寵愛を受けなければ生きられませんから、 口出しできなかったと考えられます。「彼女の歌は死を招く」というのは、王を惑わせた悪女と彼女を罵って世間が流した噂だったの かもしれません。そんな中で彼女が幸せだったとは思えませんから、何か「永遠の眠り」につく薬でも差し出されて「王を止めるためです」 と言われたら、自分から飲みかねませんね。彼女が目覚めたときには全ては過去になっていて、魔女がようやく彼女に静かな暮らしを与えてくれた。 歌姫にとって魔女がこの世の全てと言っても過言ではない状況だと思います。ようやく得た安らぎを目の前で奪い去られた歌姫の気持ちこそ 「貴方のいない世界呪い謡う」「(全て終わってしまえばいい)」「(私は終焉の歌姫)」という歌詞そのままだと思われます。 主要な3人について書きましたが、「貴方のいない世界呪い謡う」人物はまだいます。 賢帝も、死の直前に愛する人を失っています。 科学者の妻は、夫と共に徘徊していたはずですが、我が子が夫を殺すその場にいたかもしれません。見えてませんけどね。 賢帝が起こした争いはたくさんの命を奪っているはずですから、表舞台に出てこないだけで身内を失った民衆もいる。 これを語る人形を作った人は、千一夜物語のシェラザードのように、 語ることで何かの悲劇を止めたいと願っていた人なのかもしれませんね。 |
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蛇 足 | 一応、イラストはミスリード用かもと極端に疑ってかかる妄想もありだと思います。 詩謡い人形が後世に昔話として語っているという設定である以上、登場人物の外見が正しいとは限らないかもしれない。 イラストを一切信用しなかった場合に生まれる別の筋書きとしては以下のとおり。
これはこれで楽しい妄想が出来ますよ。兄を亡くすことで自分の愚かさを知った少女は、王に仕えることで心の穴を埋めようとします。 しかし王の乱心によって科学者一家を追い立てたりと自分も手を汚すことになり、荒廃していく国に耐えられず歌姫を眠らせます。 彼女が牢から出られたのは、監獄で自分の行いを悔い、呪って過ごす様子を看守が気味悪がって、こっそり彼女を 追い出してしまったからです。やがて魔女と呼ばれるようになった彼女は、廃墟と化したかつての城で歌姫を目覚めさせ、 償いのように静かな暮らしを与えたのですが、そこへやってきたのはかつての自分の蛮行が生んだ魔物。 決着を着けずにのうのうと暮らすことが出来なかった彼女ですが、身を捨てることで今度は歌姫から大切な人を奪うという 過ちを犯してしまいます。その結果は歌姫の歌となって世界を滅びに向かわせてしまうわけです。 |
【KAITOオリジナル】或る詩謡い人形の記録【全曲アレンジメドレー】 | ||
イラスト | 総出演ですが新しい要素は無いようです。 | |
歌 詞 | ※造語のみのとこは割愛しました。 「古より伝わる物語/歪に繋ぎあわされた/人形に記録された 存在しない 架空の物語」 賢帝の愛顧 「ささやかな恋をした王/“私は唯生きていてほしかった”/最愛の人 たった一人の人 /鏡に映った王の姿に/彼女は唯涙する」 「絶望と焦りは人を変化させる/高貴な者も、ささやかな者も /王も歌姫も/それは平等であり/対等となる…」 雪菫の少女 「古の魔物はただの仲良き夫婦だった」 「ただほんの少しだけ…/知性に長けていたというだけで」 「何故血の途を作った…」 夕刻の夫婦 「奪われた 最愛の者たち」 「私達は求める…」 言霊使いの呪い 「“君の為ならなんだって出来るよ”」 「“片割れの君”」 「“そう…これは歪んだ恋”」 「複雑に絡んだ願いは決して交わる事なく/平行に彷徨う/ここに真偽は問われない」 「“私の為に死んでくださらない?”/“私の片割れの君”/“そう…これは私の虚言”」 「“君の為ならなんだって出来るよ”/“片割れの君”/“たとえ偽りであっても”」 「少女はただ傍にいて欲しかった」 「暗い世界から解き放ってくれた/優しい魔女」 「彼女の為なら何でも出来たのに」 「彼女はなにも求めなかった…」 「たとえ この世が 滅ぼう とも/たとえ 貴方が いなく とも」 「いつか再び戻れるなら」 「貴方は何処に行ってしまったの?」 「私は 貴方を 探している」 「貴方が 流した 血の跡は…」 「貴方の 行き 場所を 示している?」 「貴方は何処に行ってしまったの?」 「私は 貴方を 探している」 「貴方が 流した 血の跡は…」 「貴方の 行き 場所を 示している?」 「私は 歌う 貴方の 為に 永久に」 「私は 流す 大粒の 涙を」 「こんなこと償いにもならなくても…」 「当事者達には気づかない/些細なすれ違い」 |
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妄 想 | 歌詞は上記のとおり断片的なんで、考察というよりは妄想・感想成分が多くなりました。お気をつけください。 のっけからまた謎かけです。「歪に繋ぎあわされた」が「人形」にかかるのか「物語」にかかるのか、 「物語」にかかるなら、真実から遠ざかっているということか、語られている人間関係自体がこじれているということなのか。 全部包含すると解釈するべきでしょうか。 メドレーの順序は『賢帝の愛顧』→『雪菫の少女』→『夕刻の夫婦』→『言霊使いの呪い』→『終焉の歌姫』でした。 これが時系列順ということでしょうか。『終焉の歌姫』だけテロップなかったみたいですが、内容見たら間違いない ようですし、全編の総括的な役割を担っているために、あえてそうしてるように見えます。 あと、ちらほらと、本編のみでは曖昧だった登場人物の心情が散りばめられてましたね。 王が豹変した理由は、「恋ゆえ」に尽きるようですが、歌姫は王の豹変を悲しんでいた様子。 ただ、「鏡に映った王の姿に」はどう解釈すべきでしょうね。イラストで、歌姫がミク、王が男装ミクだったので、 血縁関係があったんでしょうか。この二人も双子だったりして。 『雪菫の少女』はほとんど訳無しの造語でした。ベースのメロディかな。 「何故血の途を作った…」は、剣士KAIKOの自責の念と 『夕刻の夫婦』の恨みの声を兼ねている様子。 夫婦は、子供たちとの幸福な暮らしを取り戻したかった。 後に魔女(=「対なる子供たち」の片割れ)の元へ魔物(=「科学者」)が現れたのは、 皮肉な必然ということになります。 『言霊使いの呪い』は、個人的に「ああ、こういうことかあ」と思いました。鈍かった…。 双子は禁忌の相思相愛だったようで。普通に結ばれることは出来ないから、 残酷な発言で無邪気に愛を試した妹と、戯れと知っていて叶えてしまった兄。 挿絵のためもあり、妹が自分の発言を悔やみ、兄の「君の中で生き続ける」という発言に苛まれる様子が ありあり思い浮かぶのですが、まさしく呪いの如し。 『終焉の歌姫』では、本編でもあった歌詞が出てきました。 「貴方は何処に行ってしまったの?」「私は 貴方を 探している」 「貴方が 流した 血の跡は…」「貴方の 行き 場所を 示している?」 で、同歌詞の挿絵には歌姫の他に魔女とKAIKOがいます。 歌姫の謡っている「貴方」は魔女のこと、「血の跡」は本編で魔女が見た魔女自身の「血の途」でしょう。 「三日三晩聞こえた声」が途切れたあと、歌姫は魔女の血の跡を追ったのでしょうか。それとも…。 「こんなこと償いにもならなくても…」という詞と共に魔女のアップがフラッシュしてます。 魔女にとっての「貴方」は自分が死なせてしまった最愛の双子の兄でしょうね。 「貴方が 流した 血の跡」を追うために、彼女は兄と同じように自分の目を抉ったのかも。 「こんなこと」とは、歌姫に穏やかな暮らしを与えたことでしょうか。 「当事者達には気づかない/些細なすれ違い」という歌詞と共にフラッシュするKAIKOのアップ。 語り手らしい第三者の立ち位置からの言葉なのですが、イラストが剣士KAIKOかKAIKOか区別しにくい。 ん〜…語り手の人形(KAITO・KAIKO)と同じ姿をしてるのは剣士KAIKOだけなので気になるところ。 これは、人形を作ったのは誰かという謎に対するヒント? 物語の中ではっきり最期を語られていない人物は、剣士KAIKOと歌姫と科学者の妻の3名。 人形と容姿が似ていて、牢獄の中で歌う様子を「魔女」と例えられた剣士KAIKO。 人形が冒頭でモデルの存在を明かした『終焉の歌姫』で登場し、歌で身を滅ぼしたとも言える歌姫。 『終焉の歌姫』で魔物と共に行動していたと思われるのに所在不明な科学者の妻。 ちなみに妻が夫と同業者だったら人形作る技術もあったかも…。 「私は 歌う 貴方の 為に 永久に」 この歌詞を見ると、永久に歌ってもらうためなら、誰が人形作りに関っててもおかしくないと思います。 ああ、やっぱり答えが出ない部分満載なのでした。 |