2011/7/29〜8/1、神奈川県大磯町に開設準備中の「海のみえる森」に二度目の体験宿泊をしてきました。今回は夏なので大磯の景色も前回とずいぶん異なりました。優斗は地曳網や磯遊びなど海をメインにした遊びを堪能しました。海森側のテーマは2泊以上の利用者への対応ということで、ボランティアさんの交代などがシミュレーションされました。利用者にとっては1泊と2泊は大違いで、1泊だと「慌ただしく到着し荷物を降ろして、翌日はまた積み込んで出発」となりますが、2拍だと二日目がまる一日、とてもゆっくりできます。理子のケアから解放され、それでいて気になる時はいつでも様子を見られるという環境はすばらしく、心身ともたいへん休まります。
 今回も様々なイベントを準備していただきました。患児の受け入れは慣れてきているし、施設的にもツリーハウスが完成するなど、オープンへ向けて着実に準備が進んでいるようです。
スタッフ、ボランティアの皆さん、楽しい旅をありがとうございました。

7/30(一日目)

今回の定位置
 建物は広いのですが、意外にも患児をどの部屋でケアするかで悩んだそうです。前回は2階の個室でしたが、今回はリビングルームの窓際にベッドを置く試みがなされました。
 これが大正解で、理子はここに寝ている多くの時間、目を左側に動かして(家ではまっすぐ上しか見ない)森の風景を見ていました。気軽に顔を見に来れるので、スタッフにも好評でした。理子はにぎやかな雰囲気が好きなので、みんなの話し声が聞こえてよかったと思います。
ツリーハウス完成
 事務棟の横に3基目のツリーハウスが完成していました。この一基は特に立派です。位置的には他より低いものの、ハウスの高さで稼いであり、登ると、きっちりと大磯の海が見渡せます。
 韓流スター イ・ソジンさんの寄付金で出来たそうで、完成式典にはご本人が来日し、取材や追っかけのファンも来て賑やかだったそうです。
今年もピザを作りました
 夏の湘南でしかも土曜ということで、渋滞を警戒して松戸の家をなんと朝6時に出発。10時前に着き、理子に負担もかからず正解でした。1時間遅い出発なら2時間遅い到着だったと思います。
 朝早かったせいか、お腹がすきました。さっそく「おばあちゃんの家」の庭で昼食にしました。理子は宿泊棟で過しましたが、みんなのために早速「晴れ女パワー」を駆使して小雨を上がらせ、予定通り庭先の昼食と縁台の休憩を楽しませてくれました。ピザ窯で焼くピザは、手作りで不格好でもおいしさは格別です。
ながしそうめん
 前年別のご家族の体験宿泊時に竹の伐採からやったという、ロングな割竹が登場。夏の定番流しそうめんを楽しみました。こうやって食べると、冷麦がとても美味しくなります。優斗くん、人生初の流しそうめんで、なんか大げさに待ちかまえておりました...。
いきなりですか?
 今回は海に行くので服や靴の替えは準備していましたが、いきなり庭の池に靴のまま飛び込むのはやめてほしいですね...。もう5年生なんですけど。小魚を捕まえて喜んでます。
険しい表情
 今回スタッフサイドで討議されたのが理子の入浴方法だったそうです。理子の体のサイズが大きくなったので、改装前の浴槽はちょっと狭く、介護用のビニール浴槽が調達されていました。
 うちからは眺めの良い3Fのテラスで人生初の露天風呂にしてやってくださいとお願いしていました。昼食後の雨のため室内の場所を探していたところ、またもや急に雨があがって薄日までさしてきたので、予定決行。裸のまま慣れない担架で大人数に運ばれると、理子は見たこともないような険しい表情になり、こちらが驚きました。
露天風呂です
 ボランティアやナースの皆さんに全身を洗ってもらうと、入浴だと分かり、とたんに表情がとろけてました。いい景色ですね。入浴+森林浴という趣です。マイナスイオンも浴びましたか?
他の子供たちは
 出ました!Wiiでマリオ三昧。どさくさにまぎれて時間制限を無視してました。4人がかりでクッパを倒したそうです。
(理子のベッドから見る風景です。)
医療系ボランティア登場
 今回から医療系ボランティアとして現役の看護師さんや看護学生さんが参加してくれていました。あおぞらから理子の受け持ちナースさんも出張してもらっていたので、なんと4人看護体制。こりゃ、理子ちゃん贅沢ですね。
御馳走が並びます
 調理ボランティアの方々もプロ揃いで、20人分の食事を段取り良く作ってくれます。
 初日の夕食は地元で獲れた新鮮なアジを使ったお寿司、チキンの有馬煮など盛りだくさん。
 二日目の夕ご飯は4種のカレーバイキング、三日目の朝食に特製冷汁など、美味しいものばかりで、三日間の食生活は最高でありました。
デザートタイム
 家にいるときと同様、理子も食事にはバギーに乗って参加します。
 デザートのフルーツ入りアイスの味を楽しんでます。写真を撮るため、二サジ目をあげたところ、するっとおなかまで流れたらしく、びっくりの表情(お風呂に続き本日2回目)になりました。
ナイトコンサート
 20時、ご近所に住むYさん親子による弦楽ミニコンサートの開催です。またまたこの時間は雨があがって、星空は見えなかったけど、キャンドルライトの灯りだけで幻想的な雰囲気。当家親子は最前列に陣取って聴かせてもらいました。チェロの良い音は、耳だけでなく全身に空気の振動が伝わる感じ。音楽授業大好きの理子、楽しめたと思います。

アンコール
 予定外のアンコールに、曲を選んでもらってます。即興で理子の良く聞いているジブリの曲「君をのせて」や「さんぽ」を演奏してくれました。理子大満足。
記念に一枚
 コンサートの後は、演奏者とロビー?で記念撮影が定番ですね。当家全員パジャマ姿なのがカッコ悪いですが...。
 素晴らしい演奏を、ありがとうございました。
格好だけです
 優斗が特別サービスでチェロの即席レッスンを受けてます。悲鳴のような音を出すのでは恐れましたが、たった1音だけでしたが、いい音が出ました。
 今日イベントはこれにて終了。明日早いので、子供は寝ます。
(父親は、交代の先生登場で理子の面倒のお役から解放されたあおぞらのE先生と、冷たいビールで二次会をしました。)

7/31(二日目)

空飛ぶ理子
 早朝土砂降りの雨の音で目を覚ましました。メインイベントの地曳網は中止かと思いきや、出発時刻の朝6時過ぎに急回復。いざ出発しました。山を下りればすぐ大磯の浜です。今日はビーチでの移動があるので男性ボランティアが動員されました。足場の悪いビーチではバギーごと持ち上げてもらってます。ちょっとお嬢さん、待遇が良すぎますよ。
セレブ風
 なんと薄日まで射してきて、理子、パラソルの下で得意のサングラス姿になってます。気温も低くて快適でした。(快晴だったら暑すぎて最後まで居られなかったと思います。)
全力で引け引け!
 思っていたよりずっと遠くまで網をしかけておくのですね。総勢約30人が二手に分かれ、がんばって引いてます。
もう少し!
 いよいよ網の先端が見えてきました!どのくらいかかっているのか、皆の朝御飯が贅沢な漁師料理になるか、おにぎりのみになるかがかかっており、人々はかなり真剣です!
やったぜ!大漁!
 うおお、すごくたくさんかかっている!写真だとバタバタ跳ねているのが伝わらないのが残念。
 アジやサバですね。まん丸いのはフグです。
サメの赤ちゃん
 なんとサメの赤ちゃんがかかってました。小さくても立派なサメの姿をしており、ちょっと感動です。子供らがすぐに逃がしてやり、元気に海に戻って行きました。
ゆうに全員分あります
大きなバケツで2杯分取れてました。前日30名の団体客がトライしたときには3匹しかかからなかったと言うので、本当に大漁です。
 食べきれずに持ち帰ったアジは、あおぞらの往診車ドライバーYさんの見事な包丁さばき&料理テクにより、美味しい「なめろう」に調理され、二日目から交代のドクターやスタッフにも振る舞われました。
出生魚だよ
 釣果を理子にも見せてやりました。これはブリの幼魚ワカシですね。出世魚だ。縁起がいいね。
プレゼント
 子供たちが理子に渡そうと、きれいな貝殻や石をたくさん探してくれました。手渡してもらってます。お土産に持って帰ろう。
波打ち際まで
 獲れた魚が料理される間、理子に波の音を聞かせてやろうと、また大人数のお世話になって、波打ち際まで降りて来ました。
 よく聞こえるね。こんなに間近に海に迫ったのは、2歳の沖縄旅行以来、実に6年ぶりです!
覚醒してますね
 海を見つめてますが、なんとしっかりした表情でしょう。こんないい顔は久々に見ました。目も耳も意識も、この時ばかりは鮮明だったのではないかと思います。
みんなと来た海
 たくさんの人にお世話してもらいながら、一緒に海を眺めます。理子、幸せをかみしめているかのようですね。
一家揃いました
 一家で記念写真。重症児を連れて旅行できる喜びとありがたさは、当事者でないとわからないものがあります。他のがんばるご家族にもぜひ来てほしいと思います。
みなさんありがとうございます
 続いて、海森スタッフ、ボランティアさん、セラピードックのお二人、あおぞら診療所のみなさんと記念写真。ビーチでは、これだけの人のお世話になりました。すごいね、理子。
豪快、漁師料理
 理子がまったりと海を眺めている間、基地では漁師さんが、獲れた魚を慣れた手つきでお刺身や天麩羅に料理しています。
朝ごはん、整いました
 たきたてのご飯とアツアツのお味噌汁も出来ました。張り切って網を引いたあとでお腹がすいたところに、なんともいい匂いです。
まだ見習い中ですが
 セラピードックのバロン(白)、メイ(黒)も理子に付き合って、早朝のビーチまでやって来ました。主として子供たちのお相手です。
 今回の旅行中も愛嬌ある仕草で、十分「癒して」くれましたね。
バージョンアップ
 二日目は早めのお風呂にして、お昼前に入ってしまうことにしました。昨日と同じ露天風呂セットですが、おや今日は入浴剤が入ってますね。ますます温泉気分です。
慣れました。余裕です。
 二日目のお風呂は、運ばれる時から前日とは別人のようにリラックスしています。きちんと学習するのに感心しました。今日も極楽を楽しみました。
思い思いの休日。
 理子が海森でのんびりと過ごす間、両親は大磯の市街地を散歩しました。お土産物を買うのに勤しんでしまいましたが、歴史ある佇まいの町には、お洒落なカフェなどがあって、もう少し時間があればゆっくり寄ってみたいところでした。お土産は駅前の地場屋ほっこり、パンの蔵、名店の井上蒲鉾店などで買いました。
 優斗はと言うと、スタッフのお子さんたちと大磯の海で磯遊び。カニや小エビ、ハゼなどを捕まえ、昼ごはん前になって、やっと帰ってきました。
海の生き物を見せる
 優斗、さっそく持ち帰った海の生き物を理子に見せてます。一晩観察して、明日の朝、海に戻す予定です。
前半チーム、帰還します。
 一日目〜2日目の午前を担当したあおぞら診療所の看護チームが松戸に帰ります。また往診や訪看でお願いしま〜す。PTのNさんは午後のマッサージまで見届けるということでちょっと滞在延長。「ふだん時間を掛けられないから。」と入念に手足を整えてくれました。
作品ができました。
 午後のこどもたち、今日はゲームをやめて、朝理子がもらった貝や石を使って、こんな作品を作りました。自分たちの手形も入っています。真ん中のグーを握っているのは理子の手ですね。
アロマオイルをリクエストする
 午後3時から、理子二日目のお楽しみ企画、ゾーンセラピーの時間です。ゾーンセラピーとは「心と体に本来備わった「自然治癒能力」を高める為の新しい総合的療法「体調や心の状態は、体のゾーンに表れる」という考え方 から、そのゾーンを刺激して健康を促進させようという方法。 投影されるゾーンは全身に及びますが、特に心身機能を忠実に写し出す縮図としての「足の裏ゾーン」に注目いたしました。」というものです。(日本ゾーンセラピー協会HPより)
 理子、先生に気を送って、準備された48種のアロマオイルの中から、一番のお気に入りを知らせてます。
驚異の手技
 理子に施術しているのは、自由が丘のサロンアンピール主宰鈴木きよみ先生です。わざわざ大磯まで足を運んでくれました。1時間にわたり、両足、両手を押したりさすったりすると、理子はとろけモードに突入。夕食時にだっこしたときに、全身の関節が柔らかく動くので、すごく驚きました。
先生ありがとう
 家でもマッサージしてあげてくださいと、今日使ったオイルをきれいな瓶に詰めてプレゼントしてもらいました。またテクニックが解説された先生の著書、オリジナル指圧棒などもいただきました。とてもうれしいです。
セラピストさんたちです。
 今回お弟子のセラピストさん4名も随行しており、理子のほか、親や海森スタッフ、あおぞらの医療者全員が施術を受けて、疲れを取ってもらいました。
 なるほど、上手にさすれば、それだけでも気分いいのですね。帰ったら、素人ながら理子にもやってあげようと思う両親でした。

そう言えば、このマッサージの間だけ、外は雨が土砂降りでした。
花火をしました
 今回の旅行は大磯の花火大会の日に合わせたのですが、震災で被災された方々への配慮等の理由で今年は中止でした。その代わり、子供たちにはテラスで手持ちの花火で遊んでもらいました。
理子も見てます。
 理子も外に出そうかと思いましたが、火の粉が飛んだら危ないし、煙いので、室内からガラス越しに見せてやりました。
 理子、しっかり見ています。

8/1(三日目)

アオバト観察
 この季節湘南の海にはアオバトがやってきます。特に大磯町には集団飛来するので有名で、昨年11月に町の鳥にも制定されています。海に来るのは海水を飲みに来るためで、毎日丹沢の山から飛んでくるのだそうです。
 この日、朝7時前に父子とボランティアさんで町営プール横の岸壁に出かけました。探鳥会の人がアオバトの生態を、資料を使ってとてもわかりやすく解説してくれました。
目の前の岩礁に!
 説明に聞き入っていると、ついにアオバトの群れが飛来。すぐ目の前を飛んで岩礁に降り、水を飲んで行きました。確かに普通のハトとまったく色が違う!コンパクトカメラ一台しか持っていなかったのが悔やまれます。デジタルズームを目いっぱい駆使して、なんとか一枚取りました。
望遠鏡でじっくりと
 
探鳥会の人がすばやく望遠鏡のピントを合わせて優斗に見せてくれました。感激。結局30分ちょっとの間に、3つの群がやってきてのべ20羽ほど見ることができました。
 この日は晴天でした。この鳥の観察ばかりは、鳥のきれいに見える晴天に限ります。理子、また天気を調整してくれたね。ありがとう。
すっかりお気に入り
 朝食をいただいてから、海森スタッフの方々と談話をして、今回の感想を述べたり、今後のアイディア出しなどをさせてもらいました。大人の会話中、理子はと言えば、少し傾斜を付けたベッドで、最後まで外の森の景色を眺めてました。よほど気に入ったみたいです。
皆さんお世話になりました
 帰りも渋滞を警戒して、10時に出発です。宿泊棟前で皆さんと記念写真を撮りました。前半チームを合わせると、今回お世話になったスタッフ、ボランティアさん、医療チームは総勢なんと40名にもなります。皆さん、誠にもってありがとうございました。おかげさまで、とても思い出深い旅になりました。

正式オープンしたら、ぜひまた利用させていただきたいと思っています。

(おしまい)

リンク集

海のみえる森 公式ホームページ
(設立の趣旨や理念が書かれています。)
特定非営利活動法人 生きるちからVIVACE
子ども達へのいのちの授業や、海のみえる森のボランティア育成・ファンドレイジングのお手伝いをしています
VIVACE代表 甲斐裕美のブログ
『いのちの授業』や『子どものホスピス作り』に奔走していらっしゃる甲斐裕美さんのブログです。
あおぞら診療所
理子のかかりつけ。寝たきりで通院困難なお年寄り、人工呼吸器等を自宅で装着されている方(小児を含む)、がんなどの重い病気で自宅で療養されたい方を専門的に診療しています。
サロン アンピール
ゾーンセラピーは、自由が丘で17年間、6万人以上の足を見つめ続けたアンピールが生み出したもの。体質改善をしながら、体と心の元気を生み出すゾーンセラピーは、自由が丘、本厚木、軽井沢、箱根のサロンで体験可能。
湘南大磯 パンの蔵
駅前にあるパン屋さん。洋菓子屋さんのようにきれいにショーケースに収まっていました。見た目だけでなく、味も最高クラスです。
井上蒲鉾店
伝統の味をつくり続けて百余年 かまぼこ はんぺん さつまあげが美味しい大磯 井上蒲鉾店。大磯土産の決定版ですね。
こまたん
アオバトならこのサイト こまたん

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