2010/12/4〜5、日本初の「子どものホスピス」として神奈川県大磯町に開設準備中の「海のみえる森」に一家で体験宿泊してきました。ホスピスと言うと、ターミナルケア(終末期ケア)を行う施設を想像してしまいますが、ここは「重い病気や障害と闘う子ども達とその家族が、病院とは違い自然豊かなのびのびとした心と体を休め、生きるちからを育むための一時預かり(ショートステイ、レスパイト)施設」(公式HPより)です。
 2012年予定の正式オープンに向けてノウハウを取得するための、モニター家族として招待していただきました。建物のバリアフリー化改築などはまだでしたが、ボランティアさんによる運営は親切で暖かく、完成レベルに到達しているという感想を持ちました。

12/4(一日目)

お世話になります。
 松戸から大磯は100kmほどです。首都高の渋滞もありましたが、2時間半で着きました。これなら理子にも負担がかかりません。
 ここがお世話になる宿泊棟。大磯の海が良く見える文字通り森の中にあります。元アマダ会長の故江守龍治氏より提供された居宅とのことですが、巨大な三階建てで、二家族以上ゆっくり泊まれる広さ。古いものの木のぬくもりが素晴らしく、作りも強固なので、ほとんど改造は不要かと思いました。
 唯一の望みは、バギーやストレッチャーでも乗れるエレベータですね。
お昼ごはんです
 ちょうどお昼に着いたので、理子グッズを降ろしてセットし、早速ナースさんに理子をお願いして、残り3名は宿泊棟からちょっと山を降りた「おばあちゃんの家」でお昼ご飯にしました。
 メニューは手作りピザとハンバーガーです。お庭にピザ窯があって、焼き立てが食べられて美味しいです。この窯はボランティアさんの手作りらしいです。
美味しいです。
 自分で作ると多少不格好でも美味しいですね。親子で何か体験することそのものが、楽しいものです。
ツリーハウス建設中!
 森の中にツリーハウスを二つ建設中です。優斗、ボランティアさんのお子さんたちと早速登っています。子供には楽しい「秘密基地」ですが、大人もここでゆっくり海でも見ながら読書なんかしても良いと思います。
眺望
 ツリーハウスからの眺めは抜群で、大磯の海がしっかりと見えます。
 かなりしっかりできていて、大人数人が登ってもびくともしません。
理子はと言えば...。
 一方で理子は宿泊棟3階のテラスに出て海を見ています。たくさんのボランティアさんにいろいろと遊んでもらって楽しそう。
 医療スタッフとして、普段診てもらっている「あおぞら診療所新松戸」と「訪問看護ステーションあおぞら」の方たちに松戸から同行してもらっているので安心です。
五感で楽しむ。
 みんながお花を持ってきて香りを楽しませてくれたり、枯葉の袋に手を入れてもらって感触を楽しんだりしています。
見習いセラピードッグ
 ただ今セラピードッグの訓練を受けているバロン(オス2歳)がやってきました。理子をしげしげと観察してます。まだ訓練中ということで行動にムラがあるのがかえって可愛い。
 もう一匹、メイ(メス11カ月)も修行中でした。
盛りだくさんです。
 理子の周りはお花でいっぱい。ついには紅葉の枝まで登場。理子、海を見ながら紅葉狩りまで楽しんでしまいました。
取材を受ける。
 子どものホスピスというコンセプトは珍しく、NHKや共同通信が取材に来ました。きれいに撮ってくれたかな?
 正式オープンに向けては賛同者の寄付も必要なので、うちでよければどんどん報道してもらって、全国の人にこの施設の存在を知ってもらいたいと思います。
サイクリングロード
 両親と優斗は、自転車を3台お借りして、太平洋岸自転車道へ行きました。ここは大磯町の西側、西湘バイパスに沿ってつくられた自転車専用道路で、役場付近から不動川下流付近まで全長約2.5kmのコースを、晴天の海を眺めながら走れば、気分は爽快です。振り向けば江の島が、南側にはには伊豆大島もくっきりと見えて、眺めが最高です。(写真撮り忘れたので、大磯町のHPから借用)
大磯の海
 サイクリングロードの終点で、浜辺に出て見ました。雄大ですね。次は夏に来て地曳網なんかしてみたいです。ちなみに、この辺の海岸は急激に深くなっていて、離岸流が起こる海岸のため遊泳禁止なのだそうです。

飽きません。
 さっさと行こうと思ったら、遊びに熱中している人が一名...。浜の石が平らななので、水切りが面白いように決まります。大きな波で小魚が打ち上げられるのを見るのも楽しく、30分以上遊んでました。
いっちょ前に...。
 事前のインタビューで「テニスがしたい。」と言っていた優斗のリクエストを聞いてもらって、近所のテニスコートを予約しておいていただきました。
 一応2年ほど週一で習っているので、優斗楽しそう。親は普段動いてないので、すぐヘロヘロに。診療所の皆さんに援軍をお願いしました。
猛練習?
 元野球部でスポーツマンのN先生参入でにわかにテニス大会は盛り上がり、結局真っ暗になるまでやってました。今夜はビールが美味いぞ。しかし明日は筋肉痛かな?
大きなお鍋で美味しそう。
 当家の夕食と言えば鍋です(相撲部屋か?)。これまた事前リクエストで、こんな立派なお鍋が準備されてました。囲炉裏端に鎮座したこれを見るだけで美味しそうですが、宮城県蔵王の方から「ありが豚」を頂いたということで、大変おいしいしゃぶしゃぶを楽しめました。ごちそうさまです。
理子も食卓を囲みます。
 大人数で食事をするとにぎやかで楽しいです。理子も呼吸器を装着しながらしっかりと食卓を囲んでいます。スタッフの御子息のR君が、理子にクリスマスカードを5枚も作ってくれました。
お味見。
 しゃぶしゃぶが美味しいので、理子にもスープをひとなめさせてやってます。うーん、いいにおい。理子、口をもごもごして、よだれもつーっと垂らしてました...。
手の込んだ。
 お料理は凝ったものが多く、こんな手を付けるのがもったいない、きれいなものもありました!
星空を見る。
 夜8時、本日最後のサプライズ企画で、地元の天体観測愛好家の人たちがやってきて、テラスで星の説明をしてくれました。ちょうど学校で星座の勉強中で、早見盤も持って来ていた優斗、次々に星の名前を言い当ててました。オリオン座もスバルもバッチリ。仰向けの理子も空はよく見えます。
夜は更けます。
 子どもたちはゲームに興じてます。理子はナースの皆さんにお風呂に入れてもらってスッキリ。お父さんは、普段お話しできない往診車の若手ドライバー達と酒盛りしていい気分。こうして思い思いの夜は更けていきます。

12/5(二日目)

理子おはよう
 家族と離れてナースさんと一晩過した理子です。様子を見に行ったら、ご機嫌な感じです。いつもよりまめにお世話してもらえたからでしょう。
 それにしてもグッズの多さはすごい。酸素マシン、人工呼吸器、加湿器、パルスオキシメータ、吸引機等々。慣れた寝心地になるよう、愛用の体圧分散マットまで持ち込みました。
朝から全開です。
 優斗さん、朝から遊んでます。前日のお料理に出てきたお菓子の家!に生クリームやチョコレートで装飾を楽しんでいるところです。
 理子の方は、紙ねんどで記念の手形を作ってもらいました。
ナイスな展望
 温暖な大磯ということで、みかん園にやってきました。すごい。富士山がどーんと良く見える!理子、寝てる場合じゃないよ!
直滑降
 みかん畑に降りる道はかなりの急勾配。家族だけならあきらめるところですが、今日は診療所の皆さんに護送してもらいました。ゆるゆると降りて行きます。
ビタミンCだ。
 みかんは食べ放題です。木によって微妙に味が異なることを学び、これは!というのを理子に取って味見させてやりました。ふだんからビタミンCを大量摂取中の理子。みかんは美味しいですか?
いっぱい取りました。
 仰向けの理子、空と、みかんが鈴なりになった木の対比を楽しめたと思います。触らせてもらったり、においを嗅がせてもらったりと、今日もいろいろ刺激を受けてます。
楽しかったね。
 非常にサービスの良いみかん園で、お漬物やら手作りこんにゃくやらいただいているうちに、おなかがいっぱいになってしまいます。海のみえる森でもお昼を準備してもらっているので、「豚汁のサービス」は丁重にお断りして、帰ることにしました。理子、楽しかったね。
お世話になりました!
 楽しい時間はあっという間に終わりです。日曜の夕方は渋滞するので、お昼をいただいて、すぐに帰ることにしました。慌ただしくてすみません。
 今回の宿泊では、海のみえる森のたくさんのボランティアスタッフとあおぞら診療所の皆さんのご支援を受けました。おかげで一家四人楽しく過すことができました。本当にありがとうございました。
 こんな重症児でも旅行を楽しめるとわかれば、全国の同じ境遇の御家族は、それだけでも前向きになれるように思います。正式オープンを心待ちしています。

(おしまい)

リンク集

海のみえる森 公式ホームページ
(設立の趣旨や理念が書かれています。)
特定非営利活動法人 生きるちからVIVACE
子ども達へのいのちの授業や、海のみえる森のボランティア育成・ファンドレイジングのお手伝いをしています
VIVACE代表 甲斐裕美のブログ
『いのちの授業』や『子どものホスピス作り』に奔走していらっしゃる甲斐裕美さんのブログです。
大磯町観光協会
あおぞら診療所
理子のかかりつけ。寝たきりで通院困難なお年寄り、人工呼吸器等を自宅で装着されている方(小児を含む)、がんなどの重い病気で自宅で療養されたい方を専門的に診療しています。

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