3月9日(日)
「登って後悔をするか、登らずに後悔するか…」それがこの週末のテーマでした。

この土日は北アルプス焼岳登山。
天気予報では土曜日は「雪のち曇り、夕方には晴れ」、日曜日は「晴れのち雪」。

焼岳に登る予定の日曜は天気の崩れが早ければ山頂で展望がないかもしれない、土曜は遅い時間には晴れてくる可能性がある。後悔しないためには土日のどちらに登るべきか…

僕のとった選択は「登らずに後悔したくない」であった。
土曜日、朝イチのあずさで松本駅に9:40到着、急いで中の湯へ移動し、11:30に登山を開始。まだ雪の降りしきるなかで登り始めるが、うまくいけば山頂に到着する午後4時頃には晴れてくるかもしれない。そして、なんとか午後6時には中の湯温泉へ戻って来られる算段であった。

今回の寒気による積雪は下部で20cm、上部で40cm。
幸い、山スキーヤーのグループによるトレースがあり比較的楽に登ることができた。
中腹のりんどう平を過ぎ、雪原ゾーンに入っても天候が好天する兆しはなく、山肌がうっすら見える程度。

たまに雲が薄くなって太陽の輪郭が見えることもあるが、それも一瞬…

さらに登って山頂直下ではほぼホワイトアウトの状態となった。
山頂まであと100mというところで、やっと青空が見えてきた!

ヨシ、このまま晴れろ!!
という願いもむなしく…

結局、山頂についてしばらく待っても濃い雲が晴れることはなく、視界は50m程度。
ごく近くの火口壁が見える程度でしかありませんでした。

まあ、だからと言って「登って後悔」したわけではなく、「とりあえず冬の焼岳には登った」という事実は残って、皆さんは満足されたようです。

だけど、煮え切らない気持ちはみんな持っていたでしょう、ええ当然僕もです。





そして、翌・日曜の朝。空はきれいに晴れあがり、穂高の峰がきれいに見渡せる朝です。

但し、この天気は昼を境に一気に急変という予報。「もう疲れたし、今日は登りたくない…」という方がいる中で、さらには登ってもまた真っ白なガスの中かもしれない、という可能性がある中で、「登らないで後悔はしたくない」という僕の一存でなんと2日連続での焼岳登山へと出発したのでした。

やっぱり雪の森には
青空が似合いますねえ〜

中の湯から2時間、りんどう平に着くまで青空と焼岳・穂高の眺めはもってくれました。



昨日はどこをどういうルートで登っていたのか、まったく見当すらつかなかった皆さんも自分たちの昨日トレースを見て、「登った」という事実に満足。

2日連続で昨日の疲れもあり、ここで「降りたい…」というメンバーもいたが、


あなたは本当にそれで後悔しないのか!?

これを乗り越えれば、必ず自分の自信になるはずです!!
などという詐欺まがいの説得をし・・・

一同はさらに上を目指したのでした



だって、この景色ですよ。
そりゃ昨日無駄に登らせてしまったのは私です、責任は痛感してます。
でもここで断念すれば「登らないで後悔」をするかはともかく、心に引っ掛かりを残してしまうことは間違いないですもん。晴れた山頂に登ってもらうことが責任を果たすことに違いない、頭の単純な私にはそれ以外の策は思い浮かびませんでした。

山頂直下の最後の急斜面はスノーシューからアイゼンに履き替えて、昨日はまったく見えなかった景色の中を登って行くと・・・

よかった〜、なんとか視界があるうちに山頂に着けました!



槍穂の稜線には多少の雲がかかっているけど、噴気孔から立ち上る白煙と槍穂の眺めが見えれば、焼岳登山は大成功。これで山頂に着いた時点で視界がなければ、「なんのために2度も登ったんだ!」と僕はきっと火口に突き落とされていたでしょう。

「じゃあ、昨日はなんのために辛い条件の中で登ったんだ!?」ということになりますが、そこは「登って後悔するか、登らずに後悔するか…」なのです。

今回はかなり体育会的な本性をさらけだしてしまいましたが、
皆さん良く2度も登ってくださいました。本当にお疲れさまでした。