10月25日(日)


今日は白馬・小谷へ。
標高1800mの栂池自然園はすっかり紅葉も終わってました。
天気もイマイチで、白馬三山が姿を見せたのはこの一瞬だけ。

いやいや、今日は山を眺めに行ってたわけではなくて、
「樹木が語るAvalanchi Path 探訪会」という勉強会。



つまり木の形を見て、過去の雪崩被害を知ろうというものです。

普通、「木が密生している所は雪崩の危険がないところ」と思ってます。
逆に言えば、「木が生えていないような斜面は雪崩の危険が高い」

例えば、この木。
これは栂池高原のゴンドラリフトを下りてロープウェイへ向かうところ。
栂池のゴンドラやロープウェイを使った人は多いと思います。
平坦な場所だし、木も生い茂ってるしここで雪崩があったとは思いません、普通。


手前から何本もの木(オオシラビソ)がほぼ同じ高さの場所から幹が二股に分かれてる。
これが一本だけの現象ならなんらかの外的要因で折れて、その後また幹が伸びてきたと考えられますが、このへん一帯はほとんどの木がこの高さで二股に分かれ、そこから幹の伸ばしています。これはまさしくこのあたりを過去において大きな雪崩が襲った証拠。
それも50年とか100年スパンでの話です。


                         こういうこと

実際に15年前に白馬乗鞍岳の山頂から自然園を経由してスキー場のゲレンデのほんの50mほど脇まで高低差900m、長さ3kmにも及ぶ大雪崩が発生していて、その雪崩が樹林を破壊していった跡地の見学もしました。


午後は猿倉へ。



この猿倉荘のすぐ横の森も先生が言うには雪崩の匂いがプンプンするらしい。
なかなか信じられない我々に先生はすぐ近くの真新しい雪崩の跡を教えてくれた。

そこは8年前に高低差800mほどの雪崩が起きて、沢筋を流下した雪崩が高さ50mほどの土手も乗り越えて白馬館のヘリポートの建物を粉々に壊したうえ、さらに数百mも下流まで残骸を流した跡。

過去においてはそれよりさらに大きな雪崩がこの猿倉荘のあたりを襲ったという。
一同、納得。

まあ、なんていうか、ただ人的被害がないからニュースにならないだけで人間が抗うことのできない大きな雪崩はごく身近に起きてるってことがわかりました。

この驚きは他の参加者も同じ。
参加者はほとんどが地元の山岳ガイドやスキー場関係者など雪との係わりが深い人。
雪の怖さ・破壊力を知っている人間でさえ驚くことが、僕の拙い説明で都会に住む一般の方にはたぶん想像さえできないと思います。



こんなきれいで穏やかな森も過去における雪崩の痕跡がそこかしこに・・・

うまくまとめられませんが、驚きの一日でした。