サラワク・コラム
〜サラワクで考えたこと・感じたこと・気づいたこと と 写真〜


【 9 2010.02.23 】 「植物から取れる塩」
植物から取れる塩
サラワクにはとても珍しい塩がある。植物から採る塩である。普通、植物と塩は相性が悪い。植物に塩水をやると脱水を起こして枯れてしまう。その植物からなぜ塩が採れるのか。キーワードは「マングローブ」である。

マングローブという植物は存在しない。マングローブとは、海水と淡水が交じり合うところに生息する植物の総称で世界中に約80種類が知られ、日本にも7種類が生息している。マングローブは相性の悪いはずの塩水に浸っているが、どのように対応しているのだろうか。塩分をシャットアウトする、取り入れた塩分を排出する、などいくつかのしくみが解明されている。マングローブの一種である「ニッパヤシ」は水分とともに取り込んだ塩分をその植物体に蓄積していく性質がある。サラワクの人々はこのことをよく知っていて、ニッパヤシから塩分を取り出す方法を編み出したのである。その方法とは、まずニッパヤシを切り出し、燃やす。そうするとニッパやしに含まれている塩分を含んだ灰が残る。この灰に水を加え、塩分を溶かし、それを漉した後に煮詰めると、塩が取れるというものである。こうしてできた塩はミネラルが豊富に含まれ、うまみのある塩になる。何より植物から取れる塩などは、世界中探してもないのではないだろうか。規制緩和でいろんな塩が売られていてちょっとした塩ブームの日本で、この塩を売ることができないかと考えている。



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