サラワク・コラム 〜サラワクで考えたこと・感じたこと・気づいたこと と 写真〜 |
【2010.11.07】「森の中の空港」
クアラルンプール新国際空港は、1998年にオープンしたのでまだ10年たっていない空港だ。先日亡くなった黒川紀章氏が設計に携わっている。彼のコンセプトはマレーシアのイメージを打ち出した「森の中の空港」である。出発ロビーを見上げると、巨大な三角形が天井を形づくり、円錐形の柱がそれを支えている。まるで「巨大なヤシ」がその葉を広げているようだ。
しかし私は「星空の中の空港」というイメージを持っている。もしこの空港に夜に訪れる機会があるなら、出発ロビーに注目してほしい。まず天井の照明。照明がわざとランダムに配置されている。しかもよく見てみるとひとつひとつの照明の色が異なっている。両側のガラスは鏡のように、それらの照明を反射している。さらに床はぴかぴかに磨き上げられ、照明を映し出す。まるで星空の中にいるような感覚におちいる。
この空港にまだ日の高いうちに到着すると、周囲は緑が一面に広がっている。さすが熱帯雨林の国だ、と思うが、よくその緑を見てみると、たった一種類の植物による「不自然な緑」であることに気がつく。この緑の正体は「アブラヤシ」という植物である。私たちが年間平均して一人当たり約4キログラムも消費している「パーム油」のもとになる植物である。この植物が大きな問題を引き起こしていることはあまり知られていない。「パーム油」は「見えない油」だからだ。この空港は「アブラヤシの中の空港」ともいえるのだ。パーム油については別の機会に。
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