第61話:「カモメが飛んだ日」
<update/2003/12/07>
まぁ、何でも借りたもんは返すのが世の常である。
でも逃げ切ろうなんて甘い考え起して、返さない奴がいるから追っかける奴もいる訳だ。
返さない奴が悪いのは当たり前で、結局はその甘い考えを起した事を
社会的な制裁によって、後悔する事になる。
今の世の中、消費者金融なんてものも市民権を得て、
消費者が気軽に手を出せるようになってきちまってる。
しかし行き過ぎたやつらは結局、
社会的な信用と人生無くす事の代償と引き換えに
「破産宣告」という「自由」を選んじまう訳だ。
でも、最近良く聞く「闇金融」なんてものにも
手を出しちゃうテンパッタ方々が世の中たくさんいるが、
その「闇金融業」の方々は、そんな自由人だろうが関係ない訳で、
逃げ惑う子羊達を、強烈な悪臭を放ちながら追う事となる。
逃げ場を失った子羊達に残された選択肢は、ただ一つ。
最悪な結果で社会面に乗る事。
消費者を安心させる為にCMをバンバン流し、
「ひとりで、でき太!」
なんてやってるから、勘違いしちゃうんだろうけど。
で、
最初に言っておくが、この話は俺が、
「25歳くらい」
の出来事だと言う事を断っておく。
当時、彼女がいなかった「健全なる日本男児の俺。」
当然、寂しいながら「健全なる日本男児」としては、
「健全なる日本男児」として清々堂々と、
「成人向け過激活動写真」をレンタルしてきては、
「日々、勉強」せにゃいかん。
勿論、いろんな意味で
「健全なる日本男児」として、
「一人で、できた。」
勿論、レンタルビデオ屋から借りてきたわけだから、
レンタル期限内に返さなきゃ延滞金を取られることになる。
レンタルビデオの延滞金なんちゅーものは、
「もしも、あなたが期限内に返してくれてれば、
次に借りたい人が借りられたはずだ。
でも、
あなたが返さなかった為に、次に借りようと思った人が借りられず、
もしも、あなたが期限内に返却していれば、
次の人が借りられ、そのレンタル料金が店に支払われる筈だった。
だから、返却せずに店に不利益をもたらしたあんたが、
その分肩代わりしろ」
ってな意味合いのものだと俺は勝手に判断している。
全くもって、
「正論です。」
でもその正論を「覆そうと」した男がいる。
「俺」
ある日、借りてきたビデオの返却期限を過ぎてしまった。
まぁ最初のうちは、「明日返そう」とか毎日思うのだが、
なかなか返しに行けず、数週間がたち、
アパートの留守電にも店から「確認の電話」が入り始め、
バックレてたら、
そのうち「お願い葉書」まで着ちまった。
そこで、
俺の心の中の大半を占める悪魔が囁き始めるのだ。
「このまま、バックレるてみるけ?」
その頃、「レンタルビデオの延滞金」を巡っての裁判とかあったりして、
1年(?)だったかな、バックレきった奴の時効が成立しちゃったりしてた。
しかし、
この催促の「留守電」や「葉書」に一度でも反応して
先方に連絡入れようものなら、
その時点で「返す意志があった」と見なされ俺にとって不利になる。
(実際法的にそうなのかどうかは知らんが、その頃はそう思ってただけですので)
延滞料金もまだ大した事がなかったため、
「逃げ切ろう」などという甘い考えが浮かんだのである。
そう、所詮、甘い考え。
この子羊が逃げ場を失うのに、数日も掛からなかった。
そのレンタルビデオ屋が、思ってもいない反撃に出たのである。
そのレンタルビデオ屋、
怒りを込めた直筆の「督促状」を
「FAX」で送りつけてきやがった。
「会社に」
たまたま、そのFAXを見つけたのが後輩だった為、
そいつが懐に忍ばせて、そっと俺に教えてくれてから
社内的に公にならずに済んだものの、
イテェ。
こいつあぁ、イテェぞ。
何がイテェかって、
別にレンタルビデオ屋からFAXで会社に
直筆の督促状が送られてきた事なんかじゃねぇ。
(勿論、すぐさま延滞金とビデオを返したのは言うまでもない。)
ご丁寧にもその督促状に、
俺の借りたビデオ4本の
「タイトル」
まで記入されてたもんだから、
そのビデオタイトルから推測される、
俺の趣向が、
その後輩にバレたのが、
イテェ。
「その日、カモメが飛んだ」
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