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<update/2003/08/10>

 

 

 

まぁ、自分がイニシアチブを取って物事を進めていたと思っていたのに、

ふと気付くと、「実は自分が、相手の手の平の上で踊ってた」なんて奴に限って、

自分は大丈夫だと思ってんだよね。

 

 

 

 

先日、打ち合わせをするために、とあるチェーン展開している

喫茶店に夕方入ったのだが、

打ち合わせをしていると暫らくして、

スーツ着た中年のサラリーマンと若いおねぇちゃんが入って来た。

 

別に入店してくる客をいちいち観察しているわけじゃないが、

まぁ「キャバクラに同伴出勤でもするんだろう」と思いながらいたら

その二人が、俺の後ろのテーブルに座った。

 

 

打ち合わせをしていると、後ろの二人の会話が、

だんだん俺の耳にも入ってくるようになった。

 

別に聞き耳を立てていた訳じゃないのだが、

だんだんおねぇちゃんのテンションが上がってきて、

でかい声で話すもんだから、嫌がおうにも聞えてくるのだ。

 

大阪出身と思われ関西弁でまくし立てるその娘、

やっぱり「キャバ嬢」

 

しかし、相手の男は同伴出勤のサラリーマンではなく

会話の内容から後ろの二人、

「キャバクラの店長」と「その店のキャバ嬢」

 

どうも、店のキャバ嬢が店長に出勤前に相談というか文句を言うために

喫茶店に入って来たのである。

 

その内容は、こう言うことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自分の客を

汚いやり方で店の他の娘に取られた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふふふふふっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

面白れぇ。

面白れぇよ、この話。

 

 

俺もキャバクラには行くが、

彼女達の「本音」や「キャバ嬢同士のドロドロした裏舞台」なんて

そうそう聞けるもんじゃない。

 

 

当然、

打ち合わせどころじゃ〜ありません。

 

 

早々と打ち合わせは切り上げて、聞き耳を立てる事に。

 

 

話の内容を掻い摘んで書く前に、

知らない人のために、専門用語というか、

これから出てくる言葉を簡単に説明しよう。

指名客

そう、これがホステスさんの給料を左右する客の事。

客は、お目当ての嬢と飲むために、「指名料」なるものを飲み代とは別に払い

入店するのだ。

自分を指名する客が多ければ多いほど良いわけで、店内でも忙しくなるわけだ。

客は、一つのルールとして(勿論その娘目当てで行くわけだから当然と言えば

当然だが。)一度指名したら、他の娘を指名するのはルール違反となる。

指名客を多く取ればそれだけ自分の給料も上がるわけだから、ホステスさんは

自分のやり方で固定客を取ろうとするわけである。

同伴出勤

これは、自分の指名客を繋ぎ止めておく為や、自分の指名客にしたいがために、

客に「自分は特別な存在さ」と疑似恋愛を体験させるものだ。

出勤前に、その客とデートっぽく飯を食ったりして、その客を連れて店に出勤する。

これも、給料のポイントに関わってくる一つである。

アフター

これは、自分の給料のポイントにはならないが、

自分の指名客や指名を取る為に、飲みに行ったその日の店がハネた後、

お客と店外で待ち合わせて親近感を図ると言う作戦である。

また休日に映画等、デートっぽい事をして客に疑似恋愛を体験させる方法もある。

ただ、どの客ともやると言う事ではないので、ある意味客も勘違いする可能性は大。

ヘルプ

自分の指名客を沢山持っているキャバ嬢は当然、

同時間帯に自分を指名するお客がかち合う場合もあるわけで、

そんな時には、別々の指名客から呼ばれているわけだから、

数十分毎に、自分の指名客の所に接待しなに行かなきゃいけない事となる。

例えば俺がA嬢をお気に入りで「A嬢いる?」ってな事で指名して入店したとしよう。

A嬢が俺を接待する為に隣の席に付くわな。

でも程なくして、別の客がA嬢を指名したとしよう。当然A嬢はそっちのテーブルにも

接待しに行かなきゃならない訳だから、俺のテーブルから

そっちのテーブルに呼ばれて行くという時間帯が存在してくる訳だ。

勿論、こっちも「指名料」という金を払っているので、数十分するその嬢も

俺の席に戻って来る訳だが、指名した嬢が他の席へ行っているという事は、

俺は、一人で飲む事となる。

でも店側も「客が一人で飲む」という事をさせないために、

その時、指名が入っていない嬢を、時間を持たせるために

俺の席に付かせて間を持たせるのである。

 こう言う時に席に付くのを「ヘルプ」と言う。

 その他

基本的に、A嬢を指名して入った俺のヘルプに付いた際、

俺の事を自分の客にしようとするのは、ご法度である。

じゃぁ、どうやって新しい客を掴むかと言うと、

指名無しで入ってきた客の席に付いた時や、指名有りで入った俺が連れてきた

指名無しではじめてきた連中の席に付いた時がチャンスと言う事になる。

 

 

 でだ、話を戻すが、

喫茶店で俺の席の後ろに座った嬢が、どうやって自分の客を取られたか、

掻い摘んで書こう。

 

 

俺の後ろで話している彼女を「A嬢」、

そこにはいないが、彼女に卑怯と罵られている、

その彼女の客を取った方を「B嬢」としよう。

 

A嬢は関西弁で喋っていたので関西弁で書くが、

俺は関東人なので「多分こんな感じ」というニュアンスで書くので、

「関西弁じゃそんな言い方しねぇ〜よ」とか言う関西の方の突っ込みは無しで。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日、A嬢の上得意な指名客が当然自分を指名して入店したのだが、

他にも指名客が入っていたらしく、その時にB嬢がヘルプとして

その席に付いたらしい。

 

ところが(後でわかったらしい)、その客がB嬢を気に入ったらしく

自分の携帯番号とメルアドを書いた名刺をB嬢に渡したのだ。

 

A嬢の上得意とするその客から、そんな物を受け取ったB嬢は、

「ラッキー!」と思ったらしく、その後その客と連絡を取り合い、

休日のアフターで、密かに会ってボーリングとかしたらしい。

 

 

 

で、まんまとA嬢の客を取っちゃったらしいのだ。

 

 

 

 

その客が次に店に来た時にB嬢を指名したので、

閉店後、A嬢がB嬢に問いただして発覚したらしい。

 

 

ところがB嬢に「あっ、ごっ〜めんねぇ〜」

てな、チョームカツク言い方で返されたらしい。

ある意味、ルール違反を犯したのにも関わらずだ。

 

そこで、A嬢の怒りが爆発したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「筋、通せやぁ!」

 

 

喫茶店で店長に捲くし立てるA嬢。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あたしの指名客のヘルプに付いた時、

客からそんな名刺貰ったらなぁ、そりゃその場じゃ受け取るわなぁ。

だって、受け取らなきゃお客に失礼やんか。」

 

おう、そりゃそうだ。(俺の心の声)

 

「だったらなぁ、B嬢も何故それを私に言わへんの?」

「あんた(A嬢)の客からこんなん(名刺)貰って、

今度アフター誘われてんけど、行ってえぇかな?」とか。

 

「何故、そんな筋も通さへんと、影でこそこそやって、

あたしの客、取ってんねん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「汚いやん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少しでも多くの指名客を取りたいのは解る。」

「客が心変わりして、他の子を指名するのも解る。」

 

「客なんて、そんなもんやん!」

「水商売なんて、そんなもんやん!」

 

「でな、自分の客が多ければ、自分の給料も上がる。」

「だから、人の指名客を盗ろうなんて当たり前やんか。

 

「でもな、それをやる時には、筋を通すもんやろ。」

 

 

「あたしは今まで、大阪でそうやってきたんやで。」

 

 

 

 

 

 

 

「それが、ルールやろ?」

 

 

 

 

 

「それが、筋やろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それが、

仁義やろっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのなぁ、店長。

指名客取るって事がどれだけ大変な事か、わかってんの?」

 

「一人、客盗られたら、

また私、最初っから、

 

新しい客と、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恋愛営業せなあかんやん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なに?

 

 

 

 

 

 

 

 

「恋愛営業」

って?

 

すぐに解ったよ、その隠語。

 

「同伴出勤」「アフター」「メール」等で、

客を恋人気分にさせといて、

「貴方は特別な人だから。」

と思わせといて、

 

全ては、自分の客に対する「営業」

 

 

実は、

 

 

客は、その嬢の

「手の平の上で踊らされている」

のにも気付かない、

 

 

 

 

 

 

「もしかしたら、俺ってこの嬢にとって特別な存在?」

ってな勘違いをしちまって、踊っちゃてる訳だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が、たまに行くキャバクラがある。

 

 

お気に入りの嬢も指名する。

 

 

その嬢から、メールも来る。

 

アフターもした事がある。

 

 

 

 

 

 

 

わかっちゃいるけど、またその店に飲みに行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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