〜 ゆなゆなたん@に捧げる〜

 第26話 :「完全無欠の酔滸伝」

<update/2001/12/24>

 

 

クリスマスイブの夜に、こんなくだらないページをUPしている俺の事は無視して、

「折角だからX’masネタでいこう」と思ったのだが、

世の中の浮かれた流行と同化したくないので、敢えて違うネタで書いちゃいます。

 

 

いつも思うのだが、「警察官」「警備員」の制服は良く似ている。

しかし、似ていても全く違う権限を持っている。

 

貴方には、こんな経験はないだろうか。

 

雨の夜、車を運転している時、前方の交差点近くに、「警察官」と思われる

制服を着た人間が立っている。

帽子に制服、夜間でもライトに反射する、身体につけた蛍光ベルト。

「警察官だ」と思い、無理な交差点への進入を避け、

安全に信号機の前に停まってその人を良く見ると、

工事現場で車の誘導をしている「警備員」だった。なんて事。

 

「警備員」を「警察官」と間違っちゃうという事は、

その逆もあるって事だよな。

 

でも、それ間違っちゃった時には、後の祭り。

運が悪かったでは、済まされず、

自分の判断の甘さを思い知る事になる。

 

 

 

特に酔っぱらっている時には・・・。

 

 

 

 

以前俺は、会社の連中と飲みに行き、最終的に

後輩と2人である街へと繰り出していった。

 

 

午前3時。

完全無欠の酔っ払い状態の「俺」と「クールな後輩」

 

 

店から人気もいなくなった道を、タクシーに乗ろうと歩いている時、

俺は「尿意」をもよおしてしまった。

 

男なら誰でも経験はあるだろっ「立ちション」

 

 

後輩に「悪りぃ、ちょっと俺ションベン」と言い、くわえ煙草で

ちょうど良い具合に目の前にあった壁に用を足し始めたその時である。

 

俺の背後・左右を取り囲む誰かの気配があった。

 

 

 

「んっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、用を足し始めて一瞬で、

3人の警察官に囲まれていたのだ。

 

 

「やべっ」と俺。

 

 

確かにね、立ちションは軽犯罪だよね。

でもね、酔っ払いのサラリーマンが用を足している最中に

何も3人の警察官で囲まなくてもさ。この威圧的な態度は、なんなんだよ。

蛇に睨まれた、酔っぱらった蛙状態の俺。

 

 

用を足し終えた俺に警察官の1人がこう言った。

「ちょっと署まで来てくれる」

 

 

「おいおい、たかが立ちションくらいでなんだよ、あぁ。」と思い、

くわえていた煙草を道に捨て靴で消そうと思ったが、

これをやったら、かなり挑発的な行為にうつり、

軽犯罪を犯してしまった俺には、かなり不利になる。

 

 

完全無欠の酔っ払い状態の俺でも、この辺の判断はついた。

逆切れして、くだまいた日にゃ、1日お泊りになる事だってあり、

行き過ぎりゃ、逮捕だ

 

 

ここは、素直に従うのが賢明である。

 

 

俺は、持っていた吸いかけの煙草を、

遠巻きにクールに見ていた後輩に「持ってて」と言い手渡した。

 

 

そして、俺は派出所まで行く羽目になったのだが、

その派出所に着くのに3秒とかからなかった。

 

 

 

だって俺、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その派出所の壁に

立ちションしていたのである。

 

 

そりゃそうだ。警察官が怒るのも無理はない。

これはねぇ、

「くわえていた煙草を道に捨て靴で消す」なんてもんじゃない。

 

もう国家権力への「挑戦?」「侮辱?」それとも、「ちっちゃいテロ?」

 

 

俺は、一気に酔いが醒めたね。マジで。

 

 

派出所で座らされて、

 

 

免許提出させられて犯罪暦調べられてる、俺。

巡査部長みたいな年配の警察官に説教される、俺。

良識は有るけどちょっと気が緩んだと必死に釈明している、俺。

何とかお咎めなしで穏便に済まそうとして低姿勢でいる、俺。

 

 

 

 

 

遠巻きに俺の煙草もって派出所内を覗いているクールな、後輩。

 

 

 

 

 

俺は、この時は流石に「やってもうた!」と思ったね。

まぁ、運が悪かったと言えばそうだが、失敗したよ。

 

 

そんなかんだで、犯罪暦もなし、犯罪性もなし、抵抗もなし、

という事で、無罪放免となったわけだが、

 

後輩と別れた帰りのタクシーの中で、この20年以上も思い出さなかった

こんな詩が何故か俺の頭の中を駆けめぐった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運が良いとか悪いとか

人は時々、口にするけど

そういう事って、確かにあると

あなたを見てて、そう思う。

 

「無縁坂」(さだまさし)より

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