第23話 :「今、そこにある危機」

<update/2001/11/24>

 

 

俺の会社は、ビルの7Fある。

 会社で“大用”トイレに行く場合、会社のある7Fの

トイレは使わないのである。

 

何故なら、自分的に「落ち着かない」からだ。

 

男子トイレは、“小用”が3つと“大用”が2つある。

“大用”は洋式と和式が隣り合わせであるのだが、

俺は和式派だ。

 

で、仮に和式に入っている時に、他の人に洋式に入られると

どうも、落ち着かないのである。

 

隣同士にあるといっても、入って用を足す体勢では

 

 

向かい合っている事になる。

下図参照

 

 

もちろん、薄い板で遮られているので、

実際に見えてる訳ではないのですが、

 

 

 

「同時進行で、合い向かいになって用を足す」というのは

かなりマヌケな状態になる。

 

しかも和式派の俺の視線の先は、

ちょうど相手方の思いっきり開いた股間の位置に

相当するのである。

 

あり得ない事だが、万が一

真ん中の板が抜き取られて2人が「ご対面」

なんて事になった日にゃ、

そん時のお互いの表情は、今までにした事もないような

想像を絶する表情になる事、請け合いだ。

 

 

じゃぁ、何処でするかというと、1Fにあるトイレ。

 

 

1Fには、警備室の裏に男子トイレと女子トイレがある。

男子トイレは、“小用”2つと“大用”1つ。

 

そう、ここには“大用”が1つしかないのだ。

人の出入りもそんなになく、落ち着いて集中できるのです。

 

 

 

そして、いつもの様に落ち着いて用を足していた時である。

俺の神聖なる儀式の邪魔をする者がいた。

 

 

「コンコン」

 

 

ノックである。

「ドア見りゃわかんだろう〜。赤印になってんだから、

誰か入ってるって事がよぉ〜。」

とか思いながら、ノックを返す。

 

だが、その場から立ち去る気配がないのだ。

ドアの前にまだいるよコイツ…。

 

 

落ち着かない俺

 

 

するとまたノック。さっきよりちょっと強めの。

 

なんなんだよぉ〜こいつ。

そうとうテンパッテんのかぁ?

 

 

そして3回目。

 

 

ドンドンドン

 

 

3回目である。

さすがにキレました。

俺、シカト。

 

おめぇよぉ、他探すとかの頭がネェのかぁ。

 

かなり、ムカついちゃった俺。

でも、

 

 

 

「大用便器の使用をめぐってサラリーマンが相手を刺殺」

てな、マヌケな理由で新聞の社会面に載りたくはない。

 

なもんで、地獄の苦しみを味あわせてやろうと思い、

ゆっくりと終了。

 

流し終えて身なりを整え、まだドアの前にいる奴に

思いっきり不機嫌な顔で出ていってやろうと思ったが、

どんな奴なのかわからない。

 

けど、どんな奴がいようとも、

相手は今にも爆発してしまうという状況なのだ。

こっちに分があるのは明らかである。

 

 

 

ドアを開けた。

 

その瞬間、あり得ない状況下に置かれてしまったのだ!

 

俺はマジでビックリしたね。

というよりもビビッたのだ。

一気に形勢逆転。

 

だって、そこに立っていたのが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女だったのだ。

 

 

当然、男だと思っていたのが女。

しかも若い女が血相変えて立ってる。

大胆不敵にも怒って・・・。

 

 

これね、マジでビビッた。

 

不思議なもんで、男子トイレでこっちは

何も悪い事もしていないし、正当性があるのに

なんかこっちが悪い事したみたいでさ。

 

 

それにしても、相当テンパッテたみたいね。この人。

 

 

 

 

 

でもね、確かにね、

危機的状況だったのはわかる。

 

 

でも、女子トイレが隣にあるでしょ。

なんで、男子トイレに入ってくるのよ。

 

 

ドアノックするの、何故女子トイレでしないのよ。

何故男子トイレなの?

 

 

あんたさぁ

何故、女子トイレに戻って待てなかったの。

 

 

あんたの取ったその行動、

絶対間違ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だって、これが逆だった場合、

場合によっちゃ、逮捕です。

 

img16.gif

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