第16話 :「初めてのハワイ」

<update/2001/9/24>

 

何年も前の話ですが、私が会社の上司と二人で

ハワイに行った時の出来事である。

 

ある媒体社の招待で、まぁ出張扱いで遊びに

行ったのですが、添乗員はいない、たった二人の

ハワイ出張である。

 

しかし、現地での最低限のアテンドは約束はされており、

ホテルも上位ランクのホテル。

要は、「自由に遊んで下さい。」というお心ざしなのである。

 

成田空港で、4泊6日の日程で行くハワイ旅行の

行程と必要なチケット・クーポンを受け取り、

ハワイのイメージとは程遠い50代の上司と、

初めてハワイに行く私との旅は始まったのです。

 

珍道中になろうとは思わずに・・・。

 因みに二人とも英語はOUTである。

しかも上司は「君に任せるから」状態である事を

付け加えておく。

 

 

マーヴェラスその1

 

ホノルル空港に着き、成田空港で積み込んだ

自分の荷物を受け取るため、回転していてバックが出てくる所で

自分の手荷物が出てくるのを待っている時でした。

 

しばらくすると、私のバッグが出てきて、他の乗客も

一人減り、二人減り、と次々とその場を後にし、

そして誰もいなくなったのです。

 

俺達を抜かして。

 

上司のバックが出てこないのである。

「おかしい。なんで出てこないんだ?」

と、お互いオタオタしていた時である。

 

その時、私があるものを見つけたのである。

 

全く違う片隅に、一つのバックが捨ててあるように

横たわっているのを。

しかも、「2泊3日」で温泉旅行に行くようなバック。

 

 

「あれ、なんスかねぇ」と私。

「あれだよッ!俺のバック!」と上司。

 

おもちゃの鍵みたいなのが壊され、

捨ててあるに等しい置き方をされたバック。

結局、貴重品も入っていなく実質的な被害はなかったのだが、

初めてハワイに来ていきなりそんな事に合ったのは、

ビックリである。

 

が、

 

 

ハワイに「2泊3日」で

温泉旅行に行くようなバックで来る

上司にもビックリである。

 

 

何とか、空港を出る事が出来た二人は、

心配顔で我々の名前が書かれたパネルを持って待っていた

現地スタッフ(日系人)に会うことが出来たのである。

 

一通り事の顛末を話した後、

お決まりの「レイ」を首に掛けてもらい、

今日から最初に2日間泊まるリゾートホテルへと

連れて行ってもらおうと、用意してある車へと案内されてビックリ。

 

 

なんと、純白のリムズゥィンである。

 

 

東京駅から成田空港まで行く「リムジンバス」じゃないですよ。

 

キャデラックの1.5〜2倍位の長さがある、

ハリウッド俳優がアカデミー賞授賞式に乗って来るような車。

 

俺は初めてだよ、車の中に「J」の字に

ソファがある車に乗ったのは。

もう、「レイ」を二人とも首に掛けたまま、「オノボリさん」状態。

 

 ホノルルの高速を、ひと時のVIP気分を味わいながら

高級リゾートホテルへと向かったのである。

 

着きました。

もう、島の「こっからここまでが俺ん家」状態の

「イヒラニ・リゾート・ホテル」

 

 金持ちそうな外人ばっかりだよ。

 

我々はホテルのフロントでクーポンを渡し、サインをし、

 オドオドしながらホテルのボーイに案内されるがまま、

今日から泊まる部屋へと案内された。

 

 

マーヴェラスその2

 

部屋へと案内されて入った瞬間、

 

「素晴らしい!こんな部屋へ泊まれるのか!」

という位、広く素敵な部屋なのである。

 

感激に浸りながら、やけによそよそしいボーイに

ぎこちなく1$チップを渡す。

 

 ボーイが意味深な笑みを浮かべ

「Have a good time」みたいな事を言って

部屋を後にした。

 

 

上司に「凄いッスね。この部屋」

とか言いながらも、一つ気になっていた事があるのである。

ベッドが、そう、

2つのダブルベッドが、くっ付いて

部屋の真ん中にあるのである。

 

 

まぁ、これだけの部屋だから他にベッドルームが

あるだろうと思い、探がしてみるものの、

 

 

無い。

 

 

俺は、しばし考えた。

これはどう言う事なんだ?

 

俺もそれなりの修羅場や経験を積んできたつもりさ。

そんな俺は、一瞬で気がついたよ。

 

 

 

 

こ、これは、

「新婚さん」or「夫婦」仕様の部屋だぜ。」

って。

 

 

何てコッタ!どういうコッタ?

 

俺はすぐさま、フロントでチェックインした時に

控えでもらった書類を確認して愕然としたのである。

 

 

名前(仮名)が、

思いっきり、こうタイピングされていたのである。

 

 

 

Welcome to

 

Mr.Hiroyuki Takemoto

Mrs.kenjizou Takada

 

 

 

えっ?

 

 

Mr & Mrs?

 

 

夫婦?

 

 

 

確かにさぁ、日本人の名前、ローマ字で見ただけじゃ

外人は、男か女かわかんないよなぁ。

旅行代理店どうなってんだよ!?

 

 

とか思いながら、思い出したよあのボーイ。

どうりであのボーイ、妙によそよそしくて

チラチラ気にして俺らを見てて、感じ悪いと思ったよ!

 

 

そりゃそうだよな!

 

Mr&Mrsが来ると思って、

完璧にLOVE・LOVEベットメイキングして

おもてなしをしようと待っていたところ

 

 

 

 

男同士のジャップが来たのである。

しかも、苗字が違うMr&Mrsという男同士が。

 

 

 

 

あのボーイ、

 

チップを稼ごうと、

 

 

これからおもてなしをし、

 

 

気に入られ様と待っていたが、

 

 

苗字の違うMr&Mrsが

 

 

実は男同士だったのである。

 

 

という事は、

ボーイは、こう思ったに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、なんて文化の違いがあるんだろう」

 

 

 

 

「こいつら二人・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不倫してるホモだ」

 

 

勿論、その後すぐにフロントへ行き

日本人のスタッフを呼び、説明し、

ベッドを離してもらったのは、言うまでも無い。

 

余談ですが、

3・4泊目のワイキキのホテルでは、

「親子」だったよ。

 

後日談だが、

ハワイの

「イヒラニ・リゾート・ホテルでバカンスを楽しむ

森高千里のプライベートショット」

を載せた写真週刊誌があったが、

 

その日、俺らも泊まってたよ。

 

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