第 1話 : 「恐怖の80メートル、そしてトドメ」

<update/2001/2/5>

 

あれはまだ、私が小学3年生か4年生くらいの時でした。

当時通っていた小学校では、学校でう○こをすると

「やぁ〜い!う○こ人間だぁ!」と罵られる

風習がありました。(昭和47年前後)

 

 その日の放課後(まだ2時か3時くらい)、

帰ろうとした私は便意をもよおしました。

 

しかしその時には

「学校でするくらいなら、家まで我慢しよう。」と

決意し学校をあとにしました。

 

 学校から家までは、当時の私で歩いて約15分くらいかかる

距離だったと記憶しています。

 

 

 思えば、

この判断が恐怖体験の始まりでした。

 

 

学校を出た私は、歩く体勢を保ちつつ

襲い掛かる便意の波に耐えながら、家路へと急ぎました。

 

これから待ち受けている

快楽と絶望いう名の瞬間を知らずに・・・。

 

しかし、ついにその時はやってきたのです。

家まであと80メートルと迫り、

「あの角を曲がればすぐに家だ!」と

自分を励ましていた時です。

 

苦痛がすでに極限に達していた私は、

こぶしを握り締めなんとか家までは我慢しようと

思っていたのですが、やはりそこは小学生。

我慢の限界はたかが知れています。

 

そして決断しました。

「この苦痛から逃れよう。」

 

 次の瞬間、私は開放されたのです・・・。

 

そう、羞恥心と絶望感と罪悪感の中で生まれた、

恍惚的で開放感に満ちた快楽を得たのです。

・・・しかも歩いたままで。

 

但しそれも束の間、代償というものがついてきました。

お気に入りの“グンゼ子供パンツ”に

物理的に収まりきらなくなったペースト状の

太ももをつたってあふれ流れたのです。

 

そして体操着のゴムが入った裾まで伝わったのです。

は、まるで生き物のように、

妙な体勢を保ちつつ歩き続ける

私の足を流れたのです。

 

 あの生温かさは、今でも忘れません。

 

でも「家はもうすぐだ!」

と気持ちを切り替えて歩き続けました。

 

大きな罠が待ち受けているのも知らないで・・・。

 

もう家の玄関が見えて家に入ろうとしたまさにその時、

 

「あらっ、健ちゃん今帰ったのぉ?」

 

というもうコントみたいな大迷惑な声。

 

私の実家は事業を営んでおり

その事務員であるオバちゃんが声をかけてきたのです。

そして最悪な瞬間を向えたのです。

 

なんとっ!

 

何も知らないそのオバちゃんは、私を見つけるや

 

抱っこ

 

したのですっ!

小学生である私のプライドが、

脆くも崩れ落ちた瞬間です。

 

あとは、圧縮・浸透という物理的法則を知った

の成すがままでありました。

 

健地蔵が、

 

「快楽」

 

「絶望」

 

「諦め」

 

を知った年でした。

 

ふぅ〜、怖い怖い。

 

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