A.P.Arrow A.P.アロー
(アイテム)
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BCFに出てくる矢。 A.P.とはArmor-Piercingの略のようです。「鎧を貫く」という意味です。armor-piercing arrowは鏃(矢尻)が細く、尖った矢のことで、貫通性に優れる反面、相手の身体に与える損傷も軽微になります。このアイテムはダメージ量より命中率上昇に特化し、追加効果もないので、armor-piercing arrowの特徴をかなり正確に反映しているといえるでしょう。 armor-piercing bulletは同様の性質を持つ銃弾で、日本語で「徹甲弾」といいます。先端が尖っていて、固い金属で覆われています。armor-piercing projectileも「徹甲弾」ですが、こちらは砲弾です。定義はいろいろですが、普通は炸薬などのない、純粋に運動エネルギーで攻撃する発射体をいうようです。 それでarmor-piercing arrowの日本語なのですが、適当な言葉がありません。「征矢(そや)」と呼ばれる戦闘用の矢のうち、「槙葉(まきのは)」、「柳葉(やいば、やなぎば)」、「鳥の舌(とりのした)」といった形状の鏃を持つものが近いかと思います。 以前、「調べてもわからなかったもの」でAlternating Possession Arrowではないかと書いていましたが、wizard様、teralin様の情報により、文章を訂正し、「小ネタ集」に移させていただきました。 |
update: 20010315 |
Blades of Aesir 氷の刃
(アイテム)
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BCF最強の斧。CDSにも登場します。斧であることは、斧スキルで扱うことから推測されます。 「氷の刃」と書くとB級サスペンス映画の題のようですが、これは冷気抵抗があり、アイスボールが撃てるというアイテムの機能から逆算された日本語名でしょう。 Aesirは「エーシル」、英語なら「エーシア」などと読み、オーディンOdinら北欧神話の主役、アースAes, Ass神族の複数形です。しかしアース神族がこのような武器を使うという話は聞きません。氷の属性はアース神族よりも、死者の国ニヴルヘイムNiflheimの住人たちに与えられているようです。 |
update: 20001120 |
Blarney Stone ブラーニーの石
(アイテム)
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KODに登場する石シリーズの一つです。 アイルランド南部のコークCork県に、ブラーニー城という古城があります。この城壁の上にある石the Blarney Stoneにキスすると、弁舌巧みになり、お世辞が上手くなるという言い伝えがあるそうです。筆者は行ったことがないので、この石の大きさや形は知りません。しかし、携行できるほど小さくはないと思います。「お世辞が上手くなるkiss the Blarney Stone」は慣用句になってるので、ブラーニー城のことを知らずに使っている人が多いのでしょう。Wizでは、破壊率75%で運が+1されます。 |
update: 20001120 |
Bushido Blade 武士道ブレード
(アイテム)
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BCFなどに登場する刀です。SFC版では日本語名が「武士道の刀」になっていました。しかし「武士道ブレード」の方が良いと思います。理由を以下に説明します。 Bushido Bladeなどという変な言葉は、映画『武士道ブレード(the Bushido Blade)』(1979)から採ったとしか考えられません。詳しく覚えていませんが、たしか宝刀Bushido Bladeが盗まれた責任をとり、三船敏郎(1920-97)が腹を切る、という話だったと思います。 BCFには他に、ドラゴン・スレイヤーDragon Slayer、ビーストマスターBeastmasterという武器が出てきて、これら3本は映画題名トリオになっています。すなわち、『ドラゴンスレイヤー(Dragonslayer)』(1981)、『ミラクルマスター七つの大冒険(the Beastmaster)』(1982)が元ネタです。公開年代も近接しているので、3本セットで発案されたことは間違いありません。ろくにドラゴンの出てこないBCFになぜドラゴンスレイヤーが必要なのか、という疑問もこれで氷解します。 一方のビーストマスターですが、切った時に眠りを乗せるという性質は、映画の内容を苦し紛れに翻案したものでしょう。日本語名も映画の邦題に合わせて「ミラクルマスター」とする手もなくはないですが、映画の邦題が配給の事情で意訳されたものである上、いずれにせよアイテムの性質がわかりやすい名前とは言えないので、「ビーストマスター」がやはり最良かと思います。 他にBCFには、エクスカリバーExcaliberが『エクスカリバー(Excalibur)』(1981)から、兜Kabutoが『兜(Kabuto)』(1990)からなど、映画題名から採ったかもしれないアイテム名があります。ただしこれらは上に挙げた剣3本ほどの確信はありません。 かつて『ブシドーブレード(Bushido Blade)』(1997)というPS用の格闘ゲーム(?)がありましたが、これも同じ映画から採ったタイトルだと思われます。ただし引用しているのは題だけで、内容は全く関係ありませんでした。言葉の雰囲気が良いから使っただけのことでしょう。 実際、「武士道ブレード」という言葉には我々日本人の心を打つものがあります。おそらく「武士道」なる日本人があまり使わない日本語と、「ブレード」という外来語の組み合わせがいかにもインチキくさくて、「間違った日本観」がストレートに表現されているのがいいんでしょう。そういう意味で、「武士道ブレード」という日本語名は「武士道の刀」に勝ると思います。 |
update: 20010226 |
Cane of Corpus ケイン・オブ・コープス
(アイテム)
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CDSに登場するフェアリー忍者専用の武器です。 corpusとは本来「体」という意味で、生物学用語の「〜体」という形で使われます。他に「〜大全」「元本」といった意味もあるのですが、ここではやはり「死体」の意味でしょう。特に人間の、それも犯罪による他殺体のことを言うのが普通です。英語風に発音すると「コーパス」ですが、元のラテン語「コルプス」との間を取って「コープス」も悪くありません。英語で「コープス」というと普通corpseという単語を思い浮かべるでしょうが、これも「死体」の意味があるからです。 caneはタケやサトウキビ、トウなどの茎状の植物です。竹ヒゴ型のムチ(笞)や、籐製の杖などもcaneと呼ばれます。このアイテムは不確定名が杖staffなのでムチは除外して、とりあえず竹のように中空で節のあるような棒切れだろうと推定できます。 で、人間の死体から採れるパーツでcaneと呼べるものといえば、脊椎しか考えられません。どの種族の誰かは知りませんが、死者の脊椎を加工して作った武器だろうと思われます。だから「背骨の杖」などと訳すとかなり実態を捉えているのですが、全シリーズ中最強の武器の名前にしてはショボ過ぎるので、見出しもカタカナのままにしておきました。 この武器、強い割りには人気がなく、特に日本では全然話題になりません。フェアリーの出る外伝シリーズなどで登場していてもおかしくはないのですが、なぜでしょうか。あまりにも強いので村正ファンの気分を害したか、呪われるのが嫌われたか、CDS自体がそもそも人気がないからなのか、正体がよくわからないからか、わかっても魅力に乏しいからか。…おそらく全部でしょう。 ちなみにこの武器は、ブラインドメイスBlienmeisというNPCを倒すと手に入ります。つまり、この脊椎は彼の脊椎だったのかもしれません。 ところで、この「ブラインドメイス」という表記は奇妙です。英語風に発音するなら「ブリーンメイス」となるはずです。ドイツ語風など他の読み方もあり得ますが、いずれにせよ「ド」の「 d 」の音が入ることはありません。このような奇妙な日本語表記になったのは、訳者が原語Blienmeisの持つ「盲目のネズミblind mouse」っぽい語感を出そうとしたからと思われます。さすがに「ブラインドマウス」と書いてしまうとそのままなので、「ブラインドメイス」に落ち着いたのでしょう。ただ「メイス」はmaceっぽいので良くなかったかもしれません。 Blienmeisは盲目のラツキンRattkinです。ラツキンはネズミっぽい種族ですが、名前からもそのことがわかります。ratはラット、つまりドブネズミなど大型のネズミのこと。-kinとは「小さな〜」という意味の接尾語です。一般の人なら「小羊lambkin」「マネキン(小人)manikin」などの例を挙げるところですが、Wizファンには「トロールの指輪Trollkin Ring」がおなじみでしょう。これはLOLに登場する強力なアイテムですが、ここでいうトロールキンTrollkinがトロールTrollの小さい個体を指しているのか、小さい亜種を指しているのかはわかりません。 |
update: 20010212 |
Blade Cusinart' カシナートの剣
(アイテム)
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これはものすごいネーミングです。 カシナートはWizを代表するオリジナルアイテムです。最近のシナリオではとても強い武器とは呼べないほど没落してますが、それでも旧来のファンの間では、村正、手裏剣と並んで最も愛されている武器の一つでしょう。 それが人気の原因なのか、あるいは結果なのかわかりませんが、Wizファンの間では、この武器の形状に関する有名な議論があります。「これは、剣の先端に高速回転するプロペラ状の刃がある武器だ」という説と、「そんな馬鹿な。これはよく切れるだけの普通の形状の剣だ」という説の間の議論のことです。この議論に決着がつくことはないでしょう。別に決着がつく必要もないと思います。この「高速回転」派と「普通の剣」派の勢力は拮抗しているので、書き手の解釈の違いにより、シナリオごとに形状の変化する武器となっています。それがこの武器の魅力でもあるのです。中級以上のWizファンは、新しいシナリオをプレイするたびに「お、今回は回転する方だな」などとチェックして楽しんでいるわけです。 以下に両派の論拠を挙げて説明しましょう。ちなみに筆者は、どちらかというと「普通の剣」派です。 「高速回転」派の論拠は、他でもありません。ウッドヘッドがそう発言しているからです。また、種明かしをされなくても「カシナートCusinart」の語源が「クイジナートcuisinart」なのは明白です。事実、BCF以後この武器の名前はBlade Cuisinartに改められています。 クイジナートとはフードプロセッサーのことで、米クイジナート社の商標が一般名詞化したものです。日本語では調理用電動カッターとか、チョッパーとか、そんな名前でも呼ばれます。よくテレビ通販で紹介されている、肉をミンチにしたりキャベツを千切りにしたりする機械のことです。おそらくcuisineとartを足して作った言葉でしょう。cuisineはフランス語で「キッチン、料理(法)」を意味し、artは「芸術、技巧、わざ」の意味です。 一方の「普通の剣」派の論拠は、あまり明確ではありません。多分「そんなのカッコ悪い」という気持ちがメインだと思います。敢えて探せば、不確定名がswordであること(剣にしか見えないであろう村正でさえweaponなのに)、ぐらいでしょうか。また、BCFで名前がCuisinartに変わったのですが、swordスキルで扱っています。これも論拠になるかもしれませんが、シナリオ作者ごとに別の武器であると考える方がよいでしょう。 ネーミングの話をしましょう。 まず、なぜ綴りがわざわざCusinart'にしてあるのでしょうか。と大仰にぶち上げておいてなんなのですが、これは多分Cusinartが商標だったので、ちょっともじった新語に代えたのだと思われます。しかし由来はともかく、結果としては、この綴り変えが様々な憶測、解釈を許し、我々の想像力をかきたて、人気を集めることになりました。 次に、この名前のすごいところは、語順が正常でないことです。「カシナートの剣」という意味ならば、Blade of CusinartとかCusinart's Bladeとかいうはずです(もちろん、剣は普通swordなのですが)。しかもCusinartの後に謎のアポストロフィ( ' )が付いているのです。これが意味不明で、Ladies' Room(女子トイレ)を略してLadies'と書いたりする場合以外、言葉の最後にアポストロフィが付くことはありません。たかが記号1つとはいえ、この点はかなり気になるところです。 以上のことを考えると、「カシナートの剣」という訳語ではどうも物足りなく感じてしまいます。ディンギルの「カシナート'」というのが、おそらく妥当な着地点だと思いますが、もう少し飛躍してみてもいいかもしれません。「剣(カシナートの)」「カシナート刃。」「カシナートde刀」とかなんとか。皆さんもいろいろ考えてみましょう。 |
update: 20000624 |