波の調べ


白粋 翼


 


   世界は一体、何を主にしているだろうか。

社会とか国家とか、そんな物もある。よく言われる民

族や血筋も、もとを辿れば一つにならないだろうか。人

間と自然は仲がいいのか、悪いのか。いつも疑問に思う

ことだ。人間は、自然の理をねじ曲げて、今日のセカイ

を成り立たせようとしている。それは人間の見ている偽

りの「セカイ」にすぎず、真の「世界」はどこにあるの

だろうか。意地悪で、傲慢で、底知れぬ恐ろしい物を抱

えているだろうそれ。その原点に帰ろう、元に戻ろう。

どこに帰ればいいのか、分からない。でも、分からない

ことだらけの方が、私は味気があって好きだ。

 個人的には、人間が世界の中心だとは思いたくない。

でも、人間からは、人間にとっての世界を見よう。私は、

見えない世界は『波』のようだと思う。打ち寄せる波は、

気が遠くなるほど切ない。同じことのくり返し。海でう

なる波は、いろんな物を運んでくる。それは刺されると

痛いくらげであったり、どこかから流されたペットボト

ルであったり。本当に、さまざまだ。

広い目で見て、人生そのものが波のようであったとし

よう。この世は因果応報。そして、悪いことがあれば、

必ずいいことがある。不況がずっと続くわけではない。

たまには、いい夢を一人一人に見さしてくれる。たとえ

それが、すぐに終わってしまうものだとしても。宝くじ

を当てて大金持ち。ヤマ勘が当たってテストの高得点を

奪う。そうして、再び不幸の扉をコンコンとたたく。

引いていく波は、自分から離れていってしまう友達、

家族、運勢? 一定の間隔で、打ち寄せ、引いていって

しまい……。またくり返す。でも、不思議と落ち着く。

微妙に先ほどと違う。そう思いこんでいるだけで、何も

変わっていないかもしれない。錯覚を起こして、ただ喜

んでいるだけかもしれない。何もかもが曖昧で、何もか

もが不安定で。必然と偶然の区別が分からないような、

そんな想いがいっぱいで…。「時間がない」と焦り、泣い

たり、怒ったりして過ごした日々が嘘のよう。

 

世界を作った神様がいたとすれば、私はきっと文句を

言うだろう。不公平だ、なぜ人は憎み、殺し合わなけれ

ばならない、と。きれいごとかもしれないが、それでは

あまりにも人間が愚かだ。どれもこれも、周りにいる人

間は似ているようで似ていない。波打つ速さも、人によ

って感じ方が違う。めまぐるしく変わる運命に翻弄され

た方が、のんびり過ごせる時間が貴いと思える。そうし

て進化していく姿を、そっと世界は見ているんじゃない

だろうか。

 


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