過去の遺物


白粋翼


 





 

 初めて出会った時は、思わずポカンと口を開け言葉を

失った。それは大部分(?)黄緑色で覆われ、色が落ち

た所から黒ずんだ金属がのぞいている。一室に、人数分

がずらりと並んでいた。

私は、何かの間違いではないかと思った…。

(な、なんじゃこりゃあっ!)

 と、これはオーバーだが様々はショックで呆然として

いた。机とイスが、仲良しこよしでくっついている。記

憶の淵では、受験の際、ピッカピカの机とイスが迎えて

くれた。机の中はもちろん空で、イスの座り心地が丁度

よい。知らない人々に囲まれて、緊張していた。国語の

試験の前、数学の試験のためにさしを出していると、「こ

れは使わないでしょう?」と試験監督の先生に笑いなが

ら言われた――…それは、どうやら三年の教室だったら

しい。

 そんなこんなで、私は目の前にあり、かつ今から座ろ

うとしている得体のしれない物体=机イスに、なぜか「許

すまじ」と敵意を抱いたのである。

 

 私をそれとは、とことん相性が悪かった。最初に座っ

たそれは、机の中の幅が大きく、手をつっこんで資料集

をだそうとすると横からボタボタをこぼれ落ちた。ああ、

国語、数学、その他いろいろが落ちてゆく…。授業中に

派手な音をたてて教科書が落ちる姿は、滑稽だった。

 机とイスの間が決まっているため、中学からの癖でイ

スをひこうとすると…。机と共に前の人のイスに直撃! 

不機嫌そうに振り向かれ、首をすくめて謝るのがオチだ。

下唇をぎゅっと噛みしめ、八つ当たりで机イスを力任せ

に蹴ってやった。しかし、自分の足が痛くなるだけだっ

た。机イスが、せせら笑うかのように甲高い金属音が聞

こえた。

 机の中の幅が狭いものと、広いものがある。おそらく、

たいていの人が広い方を望んで、机イスを席替えの時に

交換していることもある。置き勉できるからだろう。私

はとことん刃向かって、狭いものを使うようにしている。

そして、机イスを頭ごなしに嫌っている私は、置き勉を

全てロッカーにぶち込んでいる。入れすぎにはご注意を。

たまに、一番上のロッカーを使用している人の私物に被

害を受けることがある。開けた瞬間に、中身が落下。頭

に当たって、ぷっつんしそうになった。その前に、目の

前が一瞬真っ暗になった。結局は、人の頭にふってきた

物を外に向けて思いっきり投げてやった。(その物は友達

の物だったので、冗談半分でだった…はず)腕力がなか

ったのが残念だ。本当に痛いので、(特に本の角に当たる

と)、注意して下さい。

 

 生野高校に集う人々は、それをどう思っているのだろ

うか?

 

机イスは前脚に足をかけられるから、そこらへんは離

れているものよりのよいのではないか―― 

なかったら前の人の足や、鞄を蹴ったりしてしまう―

― 

素朴すぎるが、長所はあるらしい。私はほんのちょっ

とだけ、机イスを見直した。授業の始まりもしくは終わ

りに、立つことは立つがイスを引くという動作がなくな

った。その代わり、右に出るか、左に出るかは始めの内

は戸惑う。慣れてしまえばどうってことはないかもしれ

ないが、私はそれに好感があまり持てない。掃除を真面

目にきちんとするならば、しづらい。持ち上げるのには、

机+イスの分で重い。席の移動ができない。などなど、

短所はいくらでもでてきそうだが、その辺は目をつむっ

て。

 

……大丈夫さ。要は慣れだよ、慣れ

 

そう思いつつ、口元は引きつっているし、冷や汗たら

〜り。

 第一印象がよろしくなかったそれは、まだ私に馴染ん

でいないらしい。                               

 


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