題名: 小林秀雄賞

件名: 小林秀雄賞
日時: 2017年8月30日 13:33

以前、話題の人文書として紹介した

國分功一郎『中動態の世界――意志と責任の考古学』

が、

小林秀雄賞を受賞しました。

http://www.shinchosha.co.jp/prizes/kobayashisho/


この賞は

「自由な精神と柔軟な知性に基づいて新しい世界像を呈示した作品」

に与えられるそうです。

たしかにこの本は、それに当てはまります。

特に、

〈自由についての新しい見方〉

を読む人は知るでしょう。



(うすうす気づいていたことを

確認させられるといった方がいいかもしれない)



もうひとつ紹介した

『勉強の哲学――来たるべきバカのために』

の著者、千葉雅也さん(哲学者)が、

京大総長の山極壽一さん(ゴリラの研究者)と

「赴綺春秋」誌上で対談しています。



山極さんがこんなことをいっています。



「読書とは著者の世界に浸って楽しむものです。」



たんなる情報源とは違う、ということです。



千葉さんも、

「勉強とは自己破壊だ」といっていて、

つまり、

自分の身体の殻をいったん破って、

相手の中に入っていくことだ、と。



〈こんなもんさ〉

という規定の知識、経験、自分の中にとどまっていては、

〈勉強〉(=学び・変化)は達成されない。



相手の中に入る。

「なんやろ?」と思う。

相手とは、

自分には理解できない存在だから。



そこに、

問いが生まれます。

未知の相手に問われ、

自分自身を問わざるを得ない。



山極さんはこういっています。



「結局、自ら問いを作る訓練をしていないと、

他人の設問に答えるだけになり、

いつまでたっても議論の中心に立つことはできません。」



問いを作る訓練。

これは、

とても大事なことのように思われます。



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國分功一郎『中動態の世界――意志と責任の考古学』

千葉雅也『勉強の哲学――来たるべきバカのために』

は、新刊書コーナーに返っています。



「赴綺春秋」九月号(芥川賞受賞作掲載号)

は、雑誌コーナーにあります。



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