題名: 続きが読みたい本がいつもあるしあわせを

2020/01/10

図書館―本の森も新しい年を迎えました。

朝から、
自習する三年生の静かな熱度に包まれています。

冬休み、
どんな本を読みましたか。

「はい、○○の本をたくさん読みました」

そんなふうに答えられるひとは、
しあわせですね。

ことしも
続きが読みたい本がいつもあるしあわせを。

新刊ニュースも配付されます。
ぜひ、参考にしてください。

返却もお忘れなく。

休み前から、
待っている人が、じつは、います。


―――――

今朝の朝日新聞「天声人語」。

「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」の脚本家
上原正三さんが亡くなったというお話。

ウルトラマンシリーズ、見たことあるでしょうか?

「…なかでも「怪獣使いと少年」の回は、
 異色作として語り継がれている
 「あいつは宇宙人だ」とうわさされた少年が、
 壮絶ないじめにあう話である。
 まちの人たちから気味悪がられ、
 ついには暴徒と化した大人たちに襲われてしまう。」

この着想の背景には、
関東大震災のとき、
デマにあおられて引き起こされた、
あの虐殺事件があるといいます。

「『人のなかには、
いつそういう風に変わるかわからない面がある』。
そのことを物語にしたかったと上原さんは後に語っている。」

上原正三さんは沖縄出身でした。

「ウルトラシリーズの脚本家には
同じ沖縄出身の故・金城(きんじょう)哲夫さんもいて、
胯躙(じゅうりん)される故郷の姿がにじむ作品がある。」

あの、南海から何度も東京に回帰するゴジラは、
太平洋で亡くなった戦死者の亡霊だと論じた人もいます。

怪獣もの、特撮ものに
込められている歴史的社会的意味は、
もしかしたら、
より深く人々の心に届くのかもしれません。

「82歳で生涯を閉じた上原さんは、
最後まで表現者であり続けた。
晩年の小説『キジムナーkids』では、
戦中戦後の沖縄が少年の目を通して描かれている。」


『キジムナーkids』、
北野の図書館にあります。


◆上原正三『キジムナーkids』【913/U19/1】