運動の主な成果と取り組んでいる問題など


 
賃金・労働条件改善要求
2002年度の例)
T. 本給の大幅引き上げと格差是正


1. 賃金に関するもの

(1)本給を平均で35,000円以上引き上げること。政府・政法連等の不当な規制を排し、当労組の要求に沿って自主交渉・自主決着すること。このため賃上げ等の財源確保に特段の努力をすること。
(2)賃金体系を改め賃金表を一本化すること。当面次のように改善を行うこと。
@ 同年齢における7級(大卒モデル)との格差を5級で5%以内とすること。
A「枯れススキ」状態を是正すること。
B 8級の間差額を他級並とすること。
(3)初任給については、「従来の経緯」を尊重し、国家公務員を「額・率」ともに上回ること。また初任給の付則扱いを改めること。
(4)臨時職員の賃金は、高卒初任給相当の月給制とし、経験年数に応じて増額すること。また事業所間格差をなくすこと。
(5)常用職員の賃金は4級並みとし、そのための財源を確保すること。
(6)全職員の現員現給表を労組に提示すること。


2. 国民の負託に応えられる原子力研究所とするために

(1)学歴、雇用形態、性別および思想信条等による賃金差別をやめること。
(2)人事考課における各段階の評価内容を本人に通知し、透明性を確保すること。また評価の責任を明らかにすること。
(3)長年にわたる不利益処遇者の回復をはかるため、救済機関としての位置づけと権限を保証させた労使折半の個別交渉機関として、「救済協議会(仮称)」を設置すること。
(4)創造的研究に不可欠な批判的視点と独創性・活力を確保するために、原発講師・思想・信条・性別・労組活動等を職務の業績・能力の評価に持ち込むことを止め、これまでの不当な差別を完全に回復すること。
(5)旧動燃の再処理関連施設の爆発事故やJCO臨界事故等一連の原子力施設での事故は、原子力は安全の確立された技術ではないことを国民の前に明らかにした。過去に安全な原子力の研究開発を求めて勇気ある発言等をして、原研当局から不当処分を受けたままの者が何人かいる。彼らに対する不当処分を撤回し、完全な本人の名誉回復を図ること。
(6)原研での事故等に関連して行われた過去の処分について見直しを行い、処分を受けた者の名誉回復を図ること。


3. 昇給・昇格に関するもの

(1)職務職階による昇任と昇格の分離を行うこと。
@ 高卒の在級年数を次の通りとすること。
1級:4年、 2級:3年、 3級:3年、 4級:4年
5級:5年、 6級:6年、 7級:7年
A 当面、在級年数の長い「枯れすすき滞留者」について、現在の「昇格必要在級年数」の基準とは別に5級57号以上の在級者を直近上位級へ昇格させることを定める「最長在級年数」制度を導入すること。
(2)経歴換算等により不利益をうけている職員の本給を直ちに同年齢者と同等とすること。当面1年につき1号給の回復措置を取るよう制度化すること。
(3)特殊勤務者および常用職員の処遇を改善し、昇給昇格を高卒一般職員と同等にすること。
(4)職員の定期昇給は、勤続年数5年毎に1号加算し、5号とすること。
(5)全職員の昇給月を4月1日とすること。


4. その他

(1)原研における最低賃金を高卒初任給とし、これ以下の労働条件は改善すること。
(2)休職扱いとなった長期疾病者の本給と家族手当は全額支給すること。


U. 諸手当の引き上げと新設について

(1)家族手当:配偶者には2万円、配偶者以外の扶養者には1万円、但し、配偶者のいない場合の第一扶養者には2万円とすること。
(2)通勤手当:公共交通機関により通勤する者には全額を支給すること。自動車等により通勤している者については、原研における勤務実態の特殊性から、自動車等の維持費・燃料費などの経費を適正に考慮した額を支給すること。また、現行の距離の刻みを1km毎に改めること。徒歩で通勤する者についても、自動車通勤に準じて支給すること。
(3)住居手当:借間・借家居住者に支給する住居手当については5万円までは全額支給すること。持家者には一律5万円を支給すること。
(4)単身赴任手当:本給の30%とすること。また毎週帰省できる交通費を支給すること。
(5)都市手当:給与月額の12%(東京)、10%(横浜)、3%(柏)とすること。
(6)超勤手当:超過勤務手当の乗率を100分の150とすること。また、休日に勤務する場合の手当の乗率を100分の200とすること。
(7)深夜勤務手当:算定時間を午後10時から午前6時までの拘束時間とし、乗率は100分の50とすること。
(8)交替勤務手当:一回あたり本給の2%とすること。但し、休日(土、日、祝祭日)に勤務する場合はこれを4%とすること。
(9)原子炉運転要員手当:原子炉の運転業務に従事するものに原子炉運転要員手当を新設すること。手当額は、運転班長は本給の15%、班長代理は本給の12%、運転要員は本給の10%とすること。
(10)放射線業務手当:本給の5%とすること。課長代理・副主任研究員層も支給対象とすること。また該当職場に配属された新入職員については配属当初より支給すること。
(11)非常事故防護活動手当:非常事故防護活動に関して以下の手当を支給すること。
@ 防護隊・消防隊の隊員手当は本給の2%とすること。
A 訓練・待機手当は、一回あたり5千円とすること。
B 出動手当は、管理区域内活動で5万円、管理区域外活動で2万円とすること。
C 所外における事故の支援活動も同様の扱いとすること。
(12)緊急呼出手当:一回あたり昼は5千円、夜は6千円とすること。なお、ガソリン券などの現物支給を改め、現金で支給すること。
(13)危険手当:危険手当を新設し、高所作業や有害業務に従事する者に支給すること。手当額は一回あたり本給の1%とすること。
(14)特殊勤務手当:特殊勤務手当並びに代勤手当を新設し、警備職員などの特勤者に勤務に応じ て支給すること。これらの手当額は本給の10%とすること。
(15)管理職員特別勤務手当:課長代理職の職員が超過勤務を行う場合は、超過勤務手当又は管理 職員特別勤務手当を支給すること。
(16)期末手当:別途要求する。
(17)その他:発明考案に関する報償金等を増額・改善すること。


V. 時間短縮・休日増及び健康管理等について

(1)労働時間を週35時間とすること。
(2)土曜日が祝日と重なった場合は振替休日を設けること。
(3)年次休暇の繰越し枠を40日まで拡大すること。
(4)年次休暇について、半日利用制度を設けること。
(5)特殊勤務者の労働時間、休日について、一般職員と同等になるよう改善を図ること。
(6) 夏期休暇を10日とし就業規程に明記すること。内3日間は一斉休日(お盆休み)とすること。
(7)メーデー(5月1日)を休日とすること。
(8)原子力の日(10月26日)を休日とすること。
(9)原研の創立記念日(6月15日)を休日とすること。
(10) 出産休暇を産前産後10週間とすること。その他、母性保護に関する諸制度を拡充すること。
(11)育児休業制度を実効性あるものにするため、休業期間中の所得補償、代替要員配置等の改善を行うこと。また育児時間を1日2回それぞれ実質1時間として、就業規定に明記すること。
(12) 職員が成人病にかかった場合の休職規程の扱いは、結核患者の場合と同等の扱いとすること。
(13)介護休暇制度を実効性あるものにするため、休業期間中の所得補償、代替要員配置等の改善を行うこと。家族の病気等における看護・介護休暇を2週間以内は有給で設けること。
(14)病気欠勤を取得したことをもって人事考課の不利益扱いはしないこと。
(15)病気欠勤の取り扱いを「病気休暇制度」に改正し、病気休暇の日数計算、昇給延伸措置の改善を図ること。
(16)人間ドック、脳ドックの再検査・精密検査時にも希望者に特別休暇と費用を付与すること。
(17)病気の早期発見や突然死防止のため、現行健康診断制度の見直しと改善を早急に行うこと。 また職員診療所の充実や定期健康診断「成人病検診」を6ヶ月毎に実施するか、2回目の検 診を希望する者には、全額補償するなどの健康管理を充実させるための施策を積極的に講じ ること。また、対化学薬品用健診等を含めた新たな健診項目を追加すること。
(18)課長代理職者層の時間外勤務の実態を調査し、働かせすぎを是正すること。
(19)在職死亡遺族の生活を保障するため、死亡前日の賃金を直近上位級へ格上げした後、8号給加算を行う措置を講ずるとともに、遺児を対象に満18歳の年度末までの期間において、遺児年金を支給する制度を発足させること。また研究所住宅の貸与者については、遺族の希望に応じ貸与期間を延長すること。なお組合員遺族にあっては、遺族の希望に応じ就職斡旋・在職死亡者の労災適用等について労組と協議すること。
(20)長期勤続者(10年・20年・30年・35年・40年)に対応するリフレッシュ休暇(10日・20日・30日・35日・40日)制度を拡充すること。これを臨時職員にも適用すること。
(21)臨時職員の有給休暇及びその他の休暇休業制度を職員並とすること。
(22)健康維持及び職場環境改善のため、職場の合意を得られるような形で分煙化を進め、喫煙場所や換気装置の設置等の必要な施策をとること。


W. 配置転換・出向について

(1)配置転換及び出向については、本人及び労働組合と協議し、同意を得て行うことを主旨とした内容の協定を締結すること。
(2)事業所間移動を伴う配置転換及び出向については、実施予定日の2カ月前に以下の事項を本人及び労働組合に提示すること。
@ 実施時期と期間 A 職場と職種 B 勤務内容 C 労働条件 D 出向時は復帰後の職場と勤務内容
(3)出向・配転に伴う住宅等の確保は、本人の意向を十分尊重して研究所の責任において行うこと。
(4)出向先と原研での休暇制度等が相違する場合、本人に不利益が生じないように十分配慮すること。
(5)2年以上の単身赴任は解消し、原則として行わないこと。
(6)単身赴任者は休日の翌日の午前中の勤務を免除すること。


X. 定年延長・継続雇用制度・再就職について

(1)定年を65歳とすること。また60歳までの定期昇給を行うこと。
(2)定年が65歳になるまでは、本人の希望により65歳までの業務委嘱制度を確立すること。
@ 希望者全員を継続雇用し、継続雇用者数に相当する定員増を行うこと。なお、継続雇用期間は、当面年金支給開始年齢まで保証すること。
A 継続雇用者の待遇は、本給は一律で月額38万円以上、一時金・諸手当は正職員と同様とすること。また、病気欠勤・休職等の諸労働条件は正職員に準ずること。
B 継続雇用者の身分等は全ての者が同一であること。職務内容・勤務地は本人の希望を尊重し、職務経験を十分活かせるものであること。また、短時間勤務制度を導入すること。
(3)退職日は定年年齢に達した年度末とすること。
(4)退職金の限度額を69カ月とすることとし、とりあえず今年度は63.5カ月とすること。また臨時職員の退職金制度を新設すること。
(5)給与規程第15条第3号(定年)または同第5号(20年以上勤続)に該当する組合員層退職者の特別昇給は直近上位の級に格付けした後、8号給加算すること。
(6)退職予定者全員に再就職の援助を公正に行うこと。再就職斡旋先のリストを全予定者に公表し退職準備の有給休暇を30日付与すること。


Y. 交替勤務等について

   原研における交替勤務者のほとんどは試験研究用原子炉の運転員である。運転員の能力と知識の向上は、原子力施設の安全を確保するための必須条件であるとともに、運転管理の強化は国民の強い要請でもある。商業用原子力発電所では、運転員の能力段階に応じた教育・訓練の強化と運転責任者(当直長)等への資格制度の導入が図られ、また教育・訓練の機会を保証するために、運転体制は6班3交替制度が取り入れられている。
こうした視点から、原研の直勤務体制を抜本的に見直し、現在の原子力発電所の運転管理を研究して運転管理の改善と強化を図るとともに、直勤務体制の抜本的な見直しを行うため、当面以下のようにすること。
(1)職場の安全と交替勤務者の健康を守るため、以下の点につき、改善すること。
@ 年間総労働時間数を日勤者より一割以上少なくすること。
A 二日目のV直の翌日の「休」を「明け」とするように、現行の勤務割基準を改めること。
B 3交替勤務の引継ぎ時間は30分とすること。
C 交替勤務に定年制を導入すること。
(2)点検直勤務および2交替勤務従事者の住宅費は3交替勤務者と同等とすること。
(3)代直者は十分な人員を確保し、日勤者に過重な負担をかけないこと。また代直者の住宅費は交替勤務者と同等とすること。
(4)交替勤務者の能力開発、技術向上を図るよう研修・教育訓練等の体制を整え、定期的に参加できるようにすること。
(5)原子炉施設等の運転業務の安易な下請け化は行わないこと。


Z. 研究所のあり方と研究環境の整備について

(1)原研の運営は、創立時の国会で確認されたように平和利用三原則を定めた原子力基本法に基づき、研究者の自治性と研究の自由が損なわれないように留意し政治的中立性や公共性を保つこと。
(2)研究者が研究活動に没頭できるような研究環境を造りあげることが、創造性あふれる研究所にしていくための第一歩であり、国民に支持された原子力開発を進める上で重要な課題であると位置づけ、このための必要な施策をとること。特に十分なスペースの確保、煩雑な事務手続きの簡素化、海外研究者等の受け入れ体制の整備等を進め、本来の研究業務に専念できる環境を実現すること。
(3)研究所の予算、研究計画及び事業計画等の立案及び実施にあたっては、これらの内容を早期に明らかにするとともに職員の意見を十分尊重すること。
(4)任期付き研究員については、本人の希望があれば職員に採用すること。
(5)人員増などについて、以下の改善をおこなうこと。
@ 定員の一律削減措置を止めるよう国に働きかけ、職場の実態等に見合った人員増と配置を 行うこと。
A 職員の採用にあたっては、全国公募とし民主的に行うこと。
B 常用職員・臨時職員を正職員とすること。
C 安易な下請け化は行わないこと。
(6)軍事研究には参加しない旨を内外に公表すること。また「真の平和利用は核兵器が廃絶されてこそ実現可能」とする考え方に基づき、研究所は核兵器廃絶の実現に積極的に貢献すること。またPKO協力法に基づく原研職員の派遣要請には断固反対し、危険な紛争地域に職員を送らないことを内外に明らかにすること。
(7)核物質防護は平和利用三原則・基本的人権・研究者の自主性と研究の自由などを損なわないことに留意して行うこと。防護施設の変更は、研究環境と労働条件の変更にあたるので、労組と協議し合意の上行うこと。
(8)現行の研究員に対する処遇及び主任・副主任登用制度を、研究所にふさわしい処遇・制度とするためのあり方について、労組と協議すること。
(9)人当研究費のような研究者が自由に使える予算を大幅に増額すること。また、研究環境や施 設並びに装置の維持管理を悪化させるような予算削減は、おこなわないこと。
(10)発言・発表の自由を保証するため、以下の改善を行うこと。
@ 外部投稿票は届出制にすること。
A 学会等での発表を保証するためにl、学会費、学会発表費、予行集代、旅費等の必要な諸経費は全額研究所負担とすること。
B 外部からの講師依頼があった場合には、不当な介入を行わないこと。
(11)国内留学制度を新設すること。また国外留学制度を充実させ、公正な運用を行うこと。
(12)地域・職場の安全のために、以下の改善を行うこと。
@ 職場で自由に発言できる雰囲気は、安全確保や事故防止のための前提条件である。そのような職場作りを研究所として促進すること。
A JCO臨界事故、阪神大震災の教訓に鑑み、防災対策等を含めた労使合同の安全総点検に取り組むこと。
B 施設の建設時、老朽化対策時、解体時は作業員の安全を第1とし、安全対策のために当初 から十分な予算、人員、工事日程を確保すること。


[. 正常な労使関係の確立について

(1)「P・P和解」協定の精神に則り、正常な労使関係の確立と正当な労働組合活動を保障すること。
(2)正常な労使関係の確立のため、現場職制、事務長等による労組への加入妨害、脱退強要を一切行わないこと。
(3)労働組合活動を保障するため、組合休暇協定を締結すること。
(4)労使間で合意し協定化したものは全て研究所の規程等に明記すること。
(5)新入職員の教育研修プログラムの中に労組の講議時間を新設すること。
(6)労組主催の集会会場の貸与は労組の要求に沿った形で貸与すること。
(7)高崎、那珂支部に組合事務所を貸与すること。


\. その他

(1)厚生年金、厚生年金基金、雇用保険、健康保険の負担割合を、労働者3、使用者7とすること。
(2)一部現金受給、口座数増など給与振込制度の改善を行うこと。
(3)特勤者の勤務時間の短縮、休日増を行うまでの間、1時間あたりの給与額の算出に用いる勤務時間は、一般職員と同じ時間数として取り扱うこと。
(4)警備の外部委託は行わないこと。
(5)住宅の入居基準を緩和すること。


以 上

 


topへ戻る