日本原子力研究開発機構の発足にあたって
平成 17 年 10 月 3 日(2005年)
日本原子力研究開発機構労働組合
( 旧 日本原子力研究所労働組合 )
中央執行委員長 岩井 孝
特殊法人"改革"の一環として、『日本原子力研究所』 及び 『核燃料サイクル開発機構』 が廃止・統合され、新たに『日本原子力研究開発機構』が平成17年10月1 日に発足しました。
私達は、新法人の発足にあたり、組合規約を改正し、組合名を 『日本原子力研究開発機構労働組合』 に変更しました。略称はこれまでどおり、『原研労、原研労組』 を使用いたします。
日本の原子力において、基礎研究から応用まで幅広い分野を網羅するとともに、人材育成、安全行政の支援、安全性研究などを担ってきた原研と、高速炉・再処理・高レベル廃棄物という核燃料サイクルの実用化のための事業に特化されてきたサイクル機構では、事業の性格が大きく異なり、それぞれの職場の文化も違っています。この統合は、そうした事業の性格や文化の違いを全く無視し、日本の原子力の研究開発において何が優先されるのかという政策論議もないままに、閣議決定されたものでした。
日本の原子力平和利用においては、原発の安全問題や核燃料サイクル実用化の是非が国民的な課題になっています。私達は、これまでも、原子力の抱える困難を率直に認識し、安全性の向上をはじめとする研究課題に積極的に取り組むことが、公的機関として国民の負託に応えるものであると主張し、運動を進めてきました。行政改革の名のもとに、ここ数年来、原研の予算と人員の削減が強行されてきましたが、この統合を期に一層の削減が押し付けられようとしています。また、短期的な「成果」が強調されるあまり、地道な基礎研究や時間のかかる研究開発が軽視されようとしています。基礎研究や安全研究関連の縮小も危惧されます。この統合に関連する課題について、統合の論議や国会審議などを通して、労働組合として内外で積極的な問題提起や政策提起を行ってきました。
私達、原研労組は、これまで以上に、原子力の抱える深刻な問題を正面から受け止め、安全問題をはじめとして内外に積極的に発言し、運動を進めます。また、新法人が本当に民主的で国民の負託に応える組織となるよう、チェック機能を果たすとともに、提言活動を行っていく決意です。
雇用や処遇をめぐる問題でも、原研に働く臨時職員を含めた職員の雇用を確保させることができました。しかし、統合後の処遇はいまだ明確にはなっていません。定年退職の年度末一本化という長年の要求は、統合のあおりで今年度の実現ができなくなりました。手当などでも、当局の現在の提案のままでは切り下げになる職員が出てきます。統合後の様々な処遇の問題には、今後とも全力で取り組んでいきます。
私達は、今後は、新法人全体を視野に入れ、組合員のみなんと力を合わせ、職場全体の世論形成を図りながら、運動を進めて行きます。組合員のみなさん、新法人の職員のみなさん、原研労組に対する一層のご支援とご協力をお願いいたします。