虚空はるかに
〜平澤仁 ヴァイオリン・リサイタル

〜大推薦の大宣伝広告〜

「ヒナステラ」で紹介した平澤仁氏のCDが、2000年12月1日にとうとう発売された!
 そこで今回は、彼のファーストCDを徹底紹介! 何せ僕は、そのご本人に「どう料理してもいいよ」と言われたも同然の状態なので、つまりオフィシャルなのである。さあ、ビシバシ宣伝するぞぉ。

 まずは、オビの推薦文(以下傍線内)を引用させて頂こう。


 平澤さんの、みずみずしく豊かな感性が、今回あますところなく、このCDの中におさめられています。ドヴォルザークの民族調あふれる小品、スヴェンセンの甘美なメロディー、カデンツァの華々しい技巧に思わず目を見張る、ヒナステラ。スタイルの全く異なる作品を自在に弾き分けるセンスの良さが光ります。そして、ブラームス。何て美しい音色でしょう。しかも全体としては、一切デフォルメを排した、内省的な演奏が、心に切々と語りかけてきます。(ピアニスト長尾洋史氏の名サポートも特筆すべき。)
 −ライナーノートより−

指揮者 大野和士


 そうなのである。
 あの「ヒナステラ」が、ここに収録されているのだ!
 そのうえ大野氏といえば、若手大指揮者なのだそうだ。氏がエマーソン、レイク&パーマー(以下EL&P)を知っているかどうかは解らんが、知らなくても、いや、というよりも知らないのに、その若手大指揮者を納得させてしまう凄腕なのである。ちこっとプログレ聴いただけで「僕ちんはヴァイオリンにはうるさいよん、むふふ」とかホザいちゃってる人には、ぜひとも聴いて頂きたい。
 ビビるぞ。
 何せクラシックの影響を受けたプログレ、その影響を受けたクラシックなのだから。進化に進化が加味されているのだぞ。すごくないわけがない。
 喩えば、その一例。
 ヒナステラの解説を見てみよう。
「(前略)……なお終わり近くにも記譜されたカデンツァが置かれているが、このCD録音では演奏者の平澤仁によるカデンツァが弾かれている」
 終わり近くの平澤仁によるカデンツァ、
 このフレーズ、要チェックです。
 その終盤部分には「ピアノコンチェルト第1番 第4楽章」のテーマが挟まれている……いや、もっと解りやすく言い換えよう。
 EL&Pの「トッカータ」の冒頭を、さりげなく挟んでいるのだ!
 このCDを最初に聴いた時はパソコンで作業をしながらだったのだけれども、ヒナステラの「パンペアーナ」でそのフレーズが演奏された途端、それが曲の流れに結構自然と組み込まれてるのに、カラダが正直に反応しましたからね。全身の動きが止まって、おもむろに「ニヤリ」ですよ。そのうえ僕は、EL&Pも持ってるばかりでそんなに聴いておらず、実は曲名と音が一致しないも同然な状態だったのです(当時)。なのに「ニヤリ」ですからね。素晴らしき哉、音楽の力。
 でも聴き直すと、やはり自然な流れ。そこがすごい。EL&Pを感じさせるのはEL&Pの力かも知れないが、それが自然に聴けるのは、まったくもって平澤氏の力だ。このCDを買ったどれだけの人が「ニヤリ」となるんだろう? 興味深い。
 しかもリサイタルの際の演奏でも、そのスタイルのまま演奏しているのだという噂だ。おおっ、こいつぁすごいぜ。ロックじゃないか!
 と、実は僕は、その発売記念リサイタルを見る機会があったのに、みすみす逃してしまったのだな。何せヴァイオリン奏者だったある観客が「すげえ!」と言ったきり絶句してしまうほど。んでもって、それはなあんと、かのHMV渋谷店で行われ、入場無料だったのだそうだ。うああ、ますます惜しいことをした。くそう、次の機会はきっと見に行くぞ。
 んでも、やはり枠はクラシックです。飛び出しそうだが、クラシックなのです。だからこそ、ドヴォルザークの小品集は幻想的に。ブラームスは飽くまで美しく。ヒナステラは前述のように勇壮に、かつ物悲しく……そして最後は、スヴェンセンの美しい調べで幕を閉じる。
 おおう、
 美しい。
 そのひとことで、マジで充分である。これ以上クラシック素人の僕なんぞが語ったらボロが出るばかりであるが、そのひとことに尽きるのだ。
 これらの楽曲の中には、僕は別の人や楽団の演奏なんかで聴いたことのあるものもあった。ドヴォルザークである。しかぁし、そんなものより数段コイツは美しいし、幻想的だし、勇壮だぞ。エンドルフィンが嫌でも出るぞ。こんなにロック魂を持ったクラシックもなかなかないぞ。
 しかもよぉく考えてみると、どの曲も平澤氏のヴァイオリンと、長尾氏のピアノだけで構成されているんだな。ふたつしか楽器がないと、シンフォニックとか騙ったシンセなどで誤魔化せないクラシックなんかは、スカスカになってしまいがちだ。だのに、まったくもってスカスカじゃない。寧ろヴァイオリンだけでも重厚でさえある。それに徹底的にサポートに回るピアノ……この調和が、また巧妙でいい。ヘッドフォンで聴くと、これがまた素晴らしい。音と音が絡み合って、昇り詰める気分である。または、溶ろけてしまいそうになる。
 これはだな……クラシック大好きな方にはもちろんのこと、寧ろ、プログレばっか聴いててそのルーツのひとつであるクラシックをちぃとも聴いてない方の「クラシック入門」にもうってつけかも知れない。意外と、クラシック聴かない自称プログレッシャーっているからね。そうそう、無論プログレもクラシックも二刀流の方にはなおのことお勧めですよ。
 だって、繰り返すが、
「クラシックに影響を受けたプログレに影響を受けたクラシック」
 なのだぞ、コレは。ややこしい話だが、そうなのだ。
 そう、それはジョン・ウェットンがポップからプログレに入り、そしてそこでの実績をもってしてまたポップに回帰したかのような……完成された気品がある。クラシックばかり聴いてる人には真似できない完成度が。
 誉め過ぎ? 僕が騙してると思ってる?
 何を言うか。僕はこのCDを入手して以来、同じ日に買ったCDをすべて放っぽらかしてコレばっかリピートで聴いているのだぞ。クラシックは睡眠のための音楽なんかじゃないんだぞ。「癒し」だとかいう都合のいい売り文句なんぞ、コイツには当て嵌まらんぞ! 癒されようと思って聴いてみやがれ! ヒナステラのパンペアーナがあなたを襲うぜ!

 よっしゃ、ついでだから2001年1月12日の朝日新聞は芸能欄「クラシック視聴室」、そこに掲載されたアルバム評も引用させて頂いてしまおう。


熱い思いを内に秘めながら落ち着いた大人の言葉で語ってくれる。派手さを抑えて、素直で丁寧な音で弾き込んだ1枚。曲ごとの音色変化も楽しい。

河野克典


 そう、
「丁寧」に「弾き込ん」でいるのだ。そんでもって「楽しい」のに「落ち着い」ている。だが「熱い思い」をひしひしと感じてしまい、こっちも熱くなってしまうのだよ!

 と、たっぷり宣伝したところで、最後にトドメのCD紹介。ほぼオフィシャルの応援なんで大々的に画像を載せちゃいます。


<収録曲>

A.Dvorak:Romantic Pieces op.75
ドヴォルザーク:4つのロマンティックな小品 作品75
(1) 1. Allegro moderato 3:02
(2) 2. Allegro meastoso 2:44
(3) 3. Allegro appassionato 2:23
(4) 4. Larghetto 8:51
J.Brahms:Sonata for Violin and Piano op.78
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト長調 作品78
(5) I. Vivace ma non troppo 10:57
(6) II. Adagio 7:47
(7) III. Allegro molto moderato 9:10
A.Ginastera:Pampeana No.1(Rhapsody for Violin and Piano)
(8) ヒナステラ:ヴァイオリンとピアノのための狂詩曲<パンペアーナ>第1番 9:57
J.Svensen:Romance op.26
(9) スヴェンセン:ロマンス 作品26 6:59

(2000年3月7日〜8日,三鷹市芸術文化センターに於ける録音セッション)

品番:WWCC-7380
製作:ライヴノーツ
発売元:ナミ・レコードCo.,Ltd.
税込定価2,835円(税抜価格2,700円)

さあ、品番をメモして今すぐ買いに行こう! もし見当たらなかったらすぐさま注文だぁ!


 普段は、ジャケットのように穏やかな平澤氏も、演奏中はまるで別人! そう、さながら鬼神の如き演奏になるのだ! それがこの裏ジャケ。

 だからこそ、僕は彼を「パガニーニ平澤」と呼ぶことにした。そう、鬼神と謳われたパガニーニである。彼こそは「現代のパガニーニ」であるのだ!
 過言であろうか?
 それは、あなたがこのCDを聴いてみてから判断して頂きたい。買う価値はあるぜ。
 僕は今後も平澤仁氏を応援しますぜ。マジで!