眼鏡の曇りを気にする君へ

君が飼い手のない野良猫なら
僕はその主になってあげよう
それでも子分のようにするのではなく
家族として 友として 愛人として

棄てる人がいなければいいのに
みんな自分の都合を押し付ける
それでも 君を拾えるなら
僕は宝石を棄ててでも拾ってやる

百花繚乱の桜に隠れて人知れず首を落とす椿は
君に似てる 根本的に、人を信じられない君
それなら僕は 君の庭師になる
椿を愛でて、安心させ、落ちる瞬間まで看取ってあげよう

迷惑でなければ、だけどね
結局は、そういうことさ

ごねんね こんなに主張して
だけど僕の君に対する想いは、本当なんだ
嘘を偽りとばかり、決めなくていい
そんなポーズばかりの人生、僕は慣れっこさ

君も
そういう人だろう?
わかるんだ
なんとなくだけどね

コーヒーでも飲もうじゃないか
そしてゆっくり、話し合おう
そうすることで、君は打ち明けられない闇を晒け出せるし
僕は君を、あらためて信じることができる

君の眼鏡にたまったほこりを
僕は常に、吹き落としていてあげよう
それが僕に、できるせめてのことなんだから
泣かないで? 笑ってみせて。

笑ったね
いいね
魅力的だよ
僕は君に逢うために、毎日あの場所へ訪れているのさ

どんなに魅惑的な露出狂より
どんなに魅惑的な撫子より
どんなに魅惑的な記号より
君こそが、どんなにも、魅惑的だよ。

ああそうさ
僕は君に

……

また、笑顔で逢えるといいね。
今はそうとしか、言えないのさ

眼鏡の曇りを気にする君へ
捧げるこの歌は
誰もうたってくれないけど
僕だけは、咽喉を嗄らしてでも叫びつづける。