月下氷人

月下氷人が わたしの助けを必要とするならば
わたしは わたしにできる手段で 氷をあたためる
月下氷人に わたしの体温が不要ならば
わたしは 黙ってそこから去ってしまうだろう

そうすることで 氷に包まれた傷を晒さずに済む
未知数の幸福より 予測する不幸が先立ち
わたしは 誰もの拒絶を受け入れてしまう
それを破れるほどの力は わたしには

「ない」

月下氷人が わたしの力を求めて呉れるのならば
わたしは わたしにできる限りに 筆を走らせる
月下氷人に わたしの油彩が不要ならば
わたしは 黙って筆を折り曲げ棄てるだろう

そうすることで わたしは誰も傷付けずに済む
相手を傷付けるのを恐れた振りで 自分を護り
わたしは 嘆きを繕うことで気をに楽できる
その繰り返しの日々を過ごすのは わたしは

「もういやだ」

賽は 自ら投げた
丁半揃目 何が出るか
勝利なし どう転ぶかだけ
恵みを 少しだけ呉れ給え

ただひとつ いまのわたしに 言えること
わたしは あなたを 護りたいだけ
そのために 少し ひねくれてしまうだけ
あなたの応えを待って 今日も 明日も

月下氷人
あなたを待って