星守る犬

わたしの前世が星ならば
君は見守る犬であってほしかった
あるじを待つ喜びと哀しみ
されど願いはとわに叶わない
それでもわたしは君に待ってほしかった
もう少し
本当に些細な時間が作れるまで

君は永遠について話した
それは無限の永続ではなく一個の空間だと
わたしはわかりもしないでうなずいてた
それが君の最後の言葉だった

それからわたしは星になり
君は犬になった

君は待ち続けた
わたしを わたしの持つ永遠を
けれどわたしは約束の地に行かなかった
日常を庇護し
余りに非日常を唾棄していたから

今こそ謝ろう
君を待たせてしまったことを
君を孤独地獄に陥れてしまったことを
今さらの延命措置や自己弁護はしない
君はわたしのむくろを舐め
動かない箱のなかで空を見ている
夜の空を
漆黒にぽつりと浮かぶ小さい星を

哀しい?
でも君は泣かない
むしろ泣けない
現実を受け入れられず
真実を知らず
それも理解できない
たたひたすら、冷たくなったあるじのむくろをあたためている

冬になり
君も衰弱し
黄泉の扉が見えるようになった
ゆっくりと開かれた絹ばりの扉からは
わたしが出てきた
恥ずかしそうに微笑みながら
君はしっぽを振り、嬉しそうに、ひとつ大きく吠えた
それが最後の君の声だった
そしてわたしたちは声を失くした

星が輝いている
小さな星と、それに従うもっと小さな星
流星にまじらず動かず仲よくたたずんでいる
でも、とても幸せそうに

そうしてわたしと君は
やっと永遠を手に入れた
もう離ればなれになることはない
わたしはずっと、君のあるじで
君はずっと、わたしの唯一の友
ともに宙を駆け、夜間飛行の旅に出よう
流星となって希いをかなえよう

ねえ

これからは
ずっと
いっしょだよ