ヒロキ.A
〜ゲーム・サントラを超えた「アート」作品〜
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菊田裕樹 『聖剣伝説2 シークレット・オブ・マナ』 スーパーファミコン対応ゲーム「聖剣伝説2」のサウンドトラックから、そのオリジナル音源をもとに、作曲者の菊田裕樹氏本人がリメイクしたコンセプト・アルバム。 森の空気感あふれる効果音を織りまぜたアンビエント・トラックから、アタック感の強い効果音をリズムに見立てシーケンスを組み立てたスピード感あふれるトラックまで、オリジナルとは違うアプローチのユニークな楽曲の数々を楽しませてくれる。 |
無人島にCD1枚だけ、しかも2枚組だったら片方だけ持っていって暮らせだと。なんて理不尽な仕事だ。だけど終わったらたんまり報酬貰えるんだからやってやろうか。幸い必要な生活用品は依頼者側が全部島にそろえてくれているそうだからまだ苦ではなかろう。
で、私が選んだのは『聖剣伝説2 シークレット・オブ・マナ』という作品。「シークレット・オブ・マナ」という曲1曲のみで構成された、49分26秒の意欲作だ。動物や植物が風に揺れてざわめく音から始まり、70年前後を思い起こさせるハードなベースとパーカッションが鳴り響く。幻想の世界への旅立ちだ。決してドラッグをヤッてる奴が描くようなファンタジーではない。これまたハードなギターソロにキング・クリムゾンばりの変拍子が炸裂。更に電話のダイヤル音や呼び出し音、レジスターの音などが活躍するのだが、これらが不思議と「暗さ」や「ファンタジーの領域からの逸脱」を感じさせず、深い深い音宇宙を紡ぎ出す一助となっているのだ。
幻想への旅も終着に近づき、最初の自然のざわめきの音が聴こえてきた。ああ、現実の世界に戻ってきたんだな。この感覚はまるで町外れの森から別世界へトリップする「千と千尋の神隠し」や、「ドラゴンクエスト」などの少年が世界を救う旅に出るRPGを自分自身が実体験したかのようだ。
終わった。私は黙って拍手した。スタンディングオベーション。これはまさに「アート」だ。49分26秒という曲を退屈させず、飽きさせずにリスナーに聴かせる菊田裕樹氏を始めとしたスタッフの手腕は『ウマグマ』〜『狂気』の頃のピンク・フロイドとひけを取らない。
私はこの作品を必ず1日1回、長年愛用しているCDラジカセで聴いた。せっかくの無人島生活なのでヘッドフォンを付けずの最大音量で。何度聴いても喝采の拍手をしてしまう。何日経ったかわからないが迎えの船が来た。ふぅー。
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ひろき.えー 事情により大学を中退した19歳男子。レッド・ツェッペリンやディープ・パープル、クイーンなどを聴いていたが高校3年よりプログレを「プログレッシヴ・ロック」という響きの誘惑から買いあさるようになり、4大バンドの代表作から一気に攻める。その一方でオジー期のブラック・サバスなどにも手を出し、最近のバンドではラプソディー・オブ・ファイアに入れ込むという、若くして複雑多岐な音楽道を歩んでいる。 |