抗鬱日誌

〜デイ・ケア〜

 ある日を境に、僕は「Kクリニック」から「O病院」へと、再度転院することになりました。「デイ・ケア」に通うことになったためです。
「デイ・ケア」とは、言うなれば「大人の託児所」。精神科に通院しながら精神障害からの回復を目指している人が通ってきています。仲間とともにいろいろな活動をする中で、生活リズムを整え、人とうまく付き合えるようになり、楽しみを見付け、積極性や自主性を取り戻します。また、自分のことや病気のことをよく知り、病気を再発させずに生活していけるようにしていきます。心の病を抱える人に、社会復帰のためのワン・ステップとして、正常な人間関係の回復や日常生活への慣れを取り戻していくトレーニングの場です。
 トレーニングとはいっても、リハビリのようなもので、重い負担になるものではありません。運動やリラックスなどを目的とした、楽しむためのプログラムが組まれ、それをこなすことによって、朝起きて、昼を食べて、人々と交流する、という日常生活ではあたりまえのことを再学習するのです。
 僕自身、最初はデイ・ケアに強い抵抗感を抱いていました。あたりまえのことができていない人間であるかのように思われるからです。でも今は、デイ・ケアをあたりまえのようにこなしています。その場に馴染んだということもあるでしょうが、最初は抱いていた劣等感を「抱かなくてもいいんだ、抱いていてあたりまえなんだ」と気付いたからです。
 デイ・ケアは、精神病の人だけが通うものではありません。ひきこもりがちな人や、生活のリズムが不規則な人、仕事に就きたいけど自信が湧かない人……そんな人達も通ってきています。一般には、心の病が治りつつある人が生活のリズムを取り戻すためのリハビリとしての要素が強いですが。
 デイ・ケアには、ソーシャルワーカーの人が「先生」のように存在します。活動をリードし、導いてくれる人々です。
 そのソーシャルワーカーの指導のもと、デイ・ケアのプログラムをこなします。運動や料理、読書に音楽鑑賞、合唱や工作など、プログラムは様々です。通う日も自分で決められるので、プログラムによって選ぶこともできます。最初は週に1日、2日程度で始めて、慣れてきたら日数を増やす、というのも可能です。
 デイ・ケアに通うのには、義務感で通ってしまってはいけません。最初のうちはそれでも仕方ありませんが、プログラムをこなしていくことによって、自分の得意分野を伸ばしたり、仲間との交流を深めていったり、自分なりの「目的意識」をもって通うことが肝要です。でも、最初は「いるだけでいい」のです。生活のリズムを取り戻すまでは、見学でもいいから「そこにいる」ことが重要になってくるのです。
 デイ・ケアは、人によって通う期間がマチマチです。早くて数ヶ月で社会生活に復帰する人もいれば、10年以上通っている人もいます。それには活動に対して自覚的か否かの差もあるでしょう。病気の重さもあるでしょう。ですが、「何もしないよりはマシ」だというのも確かなことです。
 交流を深めるには、苦手なタイプの人もいるでしょう。でもそれも、社会で苦手な人にあたった時の模擬訓練となるのです。だから、僕は苦手なタイプの人がいてもデイ・ケアに通っています。時にそれはストレスにもなりますが……。

 ともあれ、何もしないよりはマシ。
 利用料金も「32条」に適応している人であれば格安なので、心の病を抱えながらも社会復帰を目標にしたい人にはうってつけです。
 夜しか動けない、という人には「ナイト・ケア」もありますよ。