抗鬱日誌

〜こんな副作用があった〜

 抗鬱剤の副作用はいろいろとありますが、ここでは、僕が体験したものを記していきます。

「催眠作用」
 これは「デパス+アモキサン」の頃にあったことなのですが、異常な、逆らえないほどの眠気に襲われることがしばしばありました。
 聞けば、アモキサンの催眠作用は「ごく稀に、そうなる人がいる」というぐらいのものだそうですが、僕には非常に効きました。上体がぐらりと揺れ、そのまま倒れてしまいそうなぐらいの強い眠気に襲われるのです。どうやら抗鬱剤に慣れていなかったからであるようで、少しの間アモキサンの量を減らし、慣れてからもとの量に戻しました。
 決して睡眠不足や怠惰ではなく、「急に」ぐらりとしてしまうのです。躰が薬に慣れた今では、それは殆ど起こらなくなっています。その代わり、コーヒーが必需品となっていますが……。

「咽喉の渇き」
 僕はそれほど感じませんでしたが、これは副作用の代表格でもあります。寧ろ、抗鬱剤に限らず薬の副作用の代表格でしょう。
 最初の頃は確かに酷く、異常な量の水を飲んだものです。一度に500mlを飲んで、しかしまだ渇いた感じがするとか……。
 それでも、躰が薬に慣れてくると通常の飲量ぐらいに落ち着きました。

「排尿困難」
 副作用で、最も体験しやすいのはこれでしょう。
 排尿時、普段の感覚で「これでおしまいだな」と思って尿器を戻すと、ものすごい残尿感。ためしにもう一度力んでみると、残尿どころではない量の尿が排出されるのです。「排尿終了」を伝える感覚が早まっているという感じで、本当は終わりじゃないのに、終わりの信号が脳に伝わっている。
 また、それに関することで、男性には重要なことがあります。それは「精液の漏れ」が酷いことです。
 通常の男性は、エクスタシーを迎えるまでに微量の精液を漏らしつつ、その殆どは絶頂時に排出するものです。ところが、排尿困難によるものなのか、エクスタシーまでの間に「相当量」の精液が漏れてしまうのです。ですから、絶頂時には精液がほんの少ししか出なかったりします。
 恋人のいる男性は、特にご注意を……。

「三大欲の変化」
 まず食欲。これは増しています。「食後に服薬」なのもありますし、自ら栄養を採ろうと、躰がしているのでしょう。
 続いて睡眠欲。これはどうとも言えません。ただ、定期的に薬を服むということで、生活サイクルは一定化してきています。
 最後に性欲。これが問題で、著しく減退します。いやもちろん、欲情することはあるんです。普通に。でも、具体的行為には及ばない。そうする必然性を感じない。ひとりだろうがふたりだろうが、エッチなものを見ようが見せられようが、どうも「その行為」を行う必要性を感じない。これは抗鬱剤によくある現象だそうです。

「健忘」
 これは意識していない(意識できない)から酷いものでした。
 よくありがちなのは、部屋を出て、鍵を締め忘れている。と思えば、財布を持ってくるのを忘れている。いや待て、あの書類は入れたっけ?……と、何度となく玄関と部屋とを往来してしまうこと。 
 でも、もっと強烈なのがひとつあったので、ここにお伝えします。
 その日の僕は、帰宅して「適度な(過度ではない)」アルコールを摂取しながら、PC作業をしていました。少しネットを見て、メール・チェックをして……と、そこまでは憶えています。ところが、その後の記憶がまったくないのです!
 朝、セットした記憶のない目覚まし時計で起きてみると、PCの電源は切ってある。薬も服んでいる。それどころか煙草も喫ったらしい。そして何より、かけた憶えのないCDがセットされている……思い返してみても、それらの所作は記憶にないのです。おかしいなぁ、と思って台所へ行くと、酒を呑んだコップとツマミを食べた箸がしっかり洗って置いてある! びっくりしました。自分には記憶にないのに、それを行えるのは自分しかいない筈なのですから。
 こんなことが、毎日ではありませんが、しばしば起こります。かといって、日常生活に影響を及ぼすほど物忘れが酷くなるわけではありません。寧ろ「度忘れ」ですね。