携帯電話との果てしなき戦い:04

〜電車内〜優先席? 2〜

 またも、優先席での話になる。今回は、より実体験に基づいた「なま」のやりとりである。
 その日も僕は、優先席で携帯電話をいじっている学生風の男性(早稲田で降りたし、以下、学生だと決め込むことにする)を注意した。すると彼は、画面を見せてこう言うのだ。
「ゲーム(だから通話じゃない)」
……無知、甚だしい。
「優先席付近では携帯電話の『電源をお切りください』」と書いてある意味が解らないのだろうか? それはこちらが発信しなくとも、受信できるからではないか。そしてもし、隣りにPM患者が居たら大事になる。というのに「ゲーム(だから大丈夫だろ?)」という認識の甘さ。
 君の脳味噌には、「考える」という回路がないのかね? それよりも「暇潰しの快楽」に流されてしまう、理性のない生き物なのかね?……一度、弱者の身にならないと、こういう連中には弱者の痛みは解らないのだろう。
 僕は明朗に告げた。
「それでも、受信できるだろう?」
 そう言うと学生は、チッ、と舌打ちし、捨て台詞を吐いて立ち上がった。
「嫌がらせだろう、てめぇ」
 はぁ?
 ますますもって理解不能。整頓すると、自分の「暇潰しの快楽」を邪魔されたのを「嫌がらせ」と言っているらしい。けれどそれは、明朗に禁じられている行為であるのだ。優先席の窓にも、周囲にも、それを告げるステッカーが貼ってあり、車内放送でも時折それは告げられている筈だ。
「嫌がらせじゃねぇだろう、人殺し」
 僕がそう返すと、学生は再び舌打ちして「優先席『付近』」に移った。つまり、優先席の端っこに背を凭れる体勢になって、やはり携帯をいじり続けていた。
 まだ解ってない。
「優先席『付近』」というのは、そこも含まれるのだ。端の席にいる人がPM患者だったら、どうするんだ? 出入り口に携帯電話を持つ人間がいたら、彼らは出入りもしづらいだろう。ただでさえ、駅に着くなり(アンテナが安定するため)発信する馬鹿が多いのだから。
 これと同じケースで、「メールなんですけど?」と返してきた馬鹿女もいた。
 おいおい、発信もしっかりしてるじゃないか!
 そんな奴らに、言わせてもらおう(または言っている)。

「日本語が読めないのか?」

 優先席に座り、「電源をお切りください」と書いてある日本語が読めたうえで、それを行っているのであれば、それは即ち「確信犯」だ。もしPM患者を致命傷に導いたら、弁明の余地などない。
 慰謝料や治療費や下手をすれば葬式代や扶養代を払える覚悟があっての行いかい?
 特にPM患者は、身体障害者と違って健常者と見た目が変わらないから、席を譲ってさえもらえないのだぞ。座れたとしても、「発信しなければいいんでしょ?」という誤認が待っている。彼らは正しい認識を持つ意識がない。だから弱者は、結局弱者としてしか生かさせてもらえていない。

 哀しいけど、これが現実だ。
 学校よ、もっと、「実際的に正しい」教育をせよ!