読書って

〜不意に思う〜

 読書って何だろなぁ、とフと思う。
 そりゃ「読み書き」じゃないの、と原点に立ち返りつつも、しかして「読む」ことこそが読書の中心の意味合いになっておるまいか。その感想や批評を「書く」ことも作品を理解するにあたって必要なのではないか。
 と思ったので、一時期頻繁にこのサイトの書評コーナーを更新していました。読んで、考えて、書き記すことで理解力を深めようとして。
 読んだものはもっともっとあるよ。でも、余り深みがなかったり(いわゆるエンタテインメント的なものですね)、僕には理解できなかったり(文学的過ぎなのは理解力が追い付かない)、定番書なのでいまさら書くこともないかと思ったり(墓を掘るのはいいことじゃない)、で、とりあえず自分の中のヒットとか話題作を拾い上げられればいいかな、と。読んでるもん全部書評できませんよ。『VOW』なんて今さらどう書評するのさ(笑)。サイトなんて書いてあることがすべてだから、僕はそこで書いたものしか読んでいないと思っている人もいるらしいけど。全部書けるわけないし書く必要もない。
 で、読書って何?
 雑誌をパラパラめくるのも読書に入るのかなぁ。読み棄てミステリーを読むのも読書ではあるのだろうなぁ。しかし何か、こう、もっと「すごいイイものを読んだぜ!」って感じがないと、読書したって実感が湧かない。それは常に「よいもの」を探しているという向上心のあらわれなのか、偏見の産物なのか。
 どちらにせよ、漫画だろうが雑誌だろうが詩だろうが推理小説だろうが純文学だろうが、本を読むことは読書だ。
 でも、文学を読むことこそが「読書」というニュアンスにいちばん近い気がする。それは「音楽鑑賞」というものがJ-POPやヒップホップだと違和感を受けるような感じ。それでビートルズやジャズ、クラシックだったら納得するような。飽くまで自分の基準ですよ。ミステリー好きを馬鹿にする気持なんてまったくありませんよ。そういえば漫画は読書って感じがしないなぁ。原則的に読書感想文にも使っちゃいけないことが多いし。
 芸術性を重んじる傾向にあるのですかね、僕は。
 でもエンタテインメント的なものでも読書は読書だと思ってますよ。じゃあ線引きはどこなのさ。ううむ、わからんのだよこれが。
 でもさ、「趣味は何ですか?」という問いに「読書です」と答えるっていうのは、結構リスキーだと思うぜ。「どんなものを読んでらっしゃるの?」と続けて質問されたら、その答えに「人間性」が滲み出てしまう。うかつに団鬼六です、とか答えようもんなら眉をひそめられるし、戸津川警部が好きです、と言えばうわっつらな感じがする。ドストエフスキー全集持ってます、と言えば難解に思われるかもだし、『ダ・ヴィンチ』読んでます、と言うと雑誌は読書という言葉に値する本じゃねぇよと思われるかも。
 その答えに、きっと質問者は相手の「人間性」を見るだろう。だから迂闊に「趣味は読書です」とは言えない。いろんなものを読んでいたり、専門的に読んでいたりすれば恰好が付くだろうけど、浅薄な知識や雑な乱読だったら「この人は人間的に浅い。またはとっちらかってる」と思われてしまうかもです。
 いちばん無難で危ない答えだと思うんだよねぇ。「趣味は読書」って。
 それを堂々と言えるよう、日々いろいろと本を読んでいますが、僕は乱読に近いっすね。活字中毒というものがあるけど、僕は活字じゃなくて漫画でもいいし、『VOW』のような本でもいい。寝る前にはほぼ本を読むけど、お出かけの際には必ず文庫本を持っていく、ってわけでもないし、寧ろウォークマンが欠かせない音楽中毒だった頃もある。
 ああ、そうか。
 僕は「表現中毒」なんだ。軽いエンタテインメントよりも、「表現」と思われる深遠なる崖の淵に、身を落とすことが好きなのだ。
 かといって漫画すべてや『VOW』が表現だと言ってるわけじゃありませんよ。そういうエンタメ的なのは気分転換に「見て」、表現の深いものを「読む」。そういう区別をしているんじゃないかと思います(僕にとって何が表現かってのは『わたしの本棚』『夕子ちゃんの近道』を読んでね)。かといって、表現していないものは読むに値しない、と言っているわけでもござんせん。
 深いものこそ、得る「何か」は大きい。
 されど浅いものかて、「何かしか」は容易に得られる。
 寧ろ浅いものの方が共感性に優れ、手にしやすい。
 その求めるものの度合いによって、読書の対象って変わるんじゃないかなぁ。
 生活するにあたっては、「何か」より「何かしか」の方が重要だったりもするし。
 うまく言えないけど、とにかく、本を読むっていうのは大切なことですよ。できればイメージ操作だけで終わってしまう漫画ではなく、想像力がなくては読めない活字をね。

 で、写真ですが。
 ボードレール『悪の華』日本語版初版を手に入れました。スゲーぜ!
 それも3,200円というお手頃価格。
 こういうのは本好きにはたまらないお宝です。ひゃっほう!
 読書家とか関係なしに、収集家みたいな悦びに湧くね。
 それは「本が好き」であることの、ひとつのかたちだと思う。