25.「新鮮組」を徹底的に批判する

〜熱弁してやる!〜

 コンビニの弁当やら何やらは、すべて後ろに追加していきます。
 これはもう、コンビニのみならず店の常識と言っていいでしょう。米飯からチルドからお菓子から雑貨まで、ぜーんぶ補充の際は後ろに置いていくのだ。まぁ、賞味期限が長いお菓子やカップラーメンなんかは、サボり店員の怠慢によって前からテキトーに補充されたりもするんだが……しかし、弁当モノはそうもいかない。何せ賞味期限が数日と、カワキモノなどに比べて極端に短いからだ。
 そこへ現れるのが「新鮮組」なのだ。
 ああっ、誤字だぁ。いえいえ違います。きっと全国の悩めるコンビニ・バイト諸君であればウンウン頷いてそうだよあいつら「新鮮組」だよ! と叫び涙するであろう。
 つまりこれは、新しいものが後ろに追加されていくのをいいことに、後ろから堂々と弁当などを持っていく連中のことだ。あなたもやったことがあるでしょう? もはや誰ひとりとして、それを行ったことがない人間はいないだろうというほど、新鮮組の勢力は拡大しているのだ。ああ恐ろしい。そして憎らしい!
 はっきり言ってしまおう。
「新鮮組」は、コンビニの閉店を誘発する諸悪の根源であるのだ。マジで!

 そもそも、何で新しいものを先に取られると嫌なのか?
 これを知らない阿呆な「新鮮組」に、きちんと説明してあげよう。
 まず「廃棄」という仕組みを教えましょう。知っている人が殆どだろうが、コンビニでもスーパーでも、賞味期限が近付いたものは売り場から下げて、バックルームで処分します。そりゃあそうだ、保存料みてえなもんがドバドバ使われてるからといって(事実)、数ヶ月も持つわけがないもの。だから食べ物のデッド・ラインに近付いたら撤去してしまい、そして売れなかったその負担は、すべて店に来る。オーナーの意向次第で、それを店員に与えるか否かなどのオマケ付きで、だ。
 で、新しいものばかり先に取られると、同じ商品でもそれより古いものは余りまくって廃棄にしてるのに、新しいものはなくなるという不可思議な現象も起こる。原因は明らかに「新鮮組」が新しいものばかりを持っていってしまうからだ。そうなると、後から来たお客がそれを買いたくても買えないという理不尽な状況に陥る。彼らの時間に合わせて発注した筈なのに、ね。それで発注も狂ってしまう。
 コンビニは、スーパーと違って商品の数が絶対的に少ない。そのうえ弁当類は、独自のモノを作っているのでありきたりのお菓子などより儲け値が断然違う。だからこの廃棄が多いのは相当の痛手だ。それを食える店が多いんだからバイトにとっちゃ役得じゃん、とあなたは言うかも知れないが、それは弁当食ってホクホクわーもっと食べちゃおうかな、ってな無自覚怠慢バイトと同じである。
 儲けがないと、店が潰れます。
 これはごく当然のこと。で、その儲けの大きな一部分を弁当類が担っているわけで、そこを切り崩して廃棄を増やす「新鮮組」は店を潰す原因でもあるのだぞ!

 じゃあ「新鮮組」は、どうして後ろから取っていくのか?
 これが、まったくもって理不尽である。「後になってから食べるから」という正当な理由であれば、許可しよう。しかし一番奥にあるカレーを買って、その場であたためる人間が大多数であるというのはどういうことか? あんた、すぐ食うんじゃん。朝食のためのおにぎりなのに、深夜まで持つものを買わなくてもいいんじゃないの?
 それらの主な理由は「だって新しい方がおいしいじゃなーい」というものである。
 しかし、これは真っ赤な嘘なのだ! はっきり言ってしまおう、コンビニの弁当なんざ高が知れている。一流フランス料理のシェフが腕をふるった、採れたてのサカナを使ってさぁお早めに召し上がれ、というようなものじゃないのだ。大量生産を前提にした大衆向けのものである。
 そのうえ……明かしてしまうぞ! あれには、ものすごい量の「保存料に類する物質」が使われている。保存料じゃあないしそう明記してはいないが、それに準じるようなものが必ずや振り撒かれている。だからこそ二日ぐらい持ったりするわけだ。フツーだったら数時間の内にオジャンでしょ? そのタネはそこにある。その「保存料に類する物質」の量が、コンビニ弁当製作をしていた人によると「料理作る時に使う砂糖とか塩の10倍以上かも」だそうだ。そんだけの「保存料に類する物質」を使っているのだから、数時間が経過しても味などまるで変わらないようにできている。つまり、いつ食べても味は一緒。期限さえ過ぎなければ鮮度も一緒。しかしその賞味期限だって、ただの目安でしかない。だってそうじゃなきゃ廃棄弁当を食べて暮らしているバイト君なんかはとっくに死んでいる。
 だから「新鮮組」が使う「新しい方がおいしい」は、単なる気の持ちようである。彼らは、そこに表示された数字に精神を依存させているのだ。そうすれば何となくいいモノを食べてるような気がするから。それだけの理由だ! そういう、精神力の弱い(しかも向上させる気は毛頭ない)人間なのだ!

 さて、その「新鮮組」だが、ちょっと前までは店員に隠れてコソコソと後ろから取っていた気がする。しかし最近では、店員がいようと、堂々と後ろから取る……。どうせ店員は「人間」として見られていないからね! そのあげくには、届いた弁当が入っている「ばんじゅう」から勝手にガサゴソとあさっている奴も少なくない!
 はっきり言いましょう。
 それは、業務妨害です。場合によっては検品(品物が発注した分だけ届いているかチェックする作業)も終わっていなくて、そのせいで数が合わなくなる。無論、小さなトラブルのモトです。あげく、ばんじゅうは基本的に、左右を逆にするとガコンと嵌め込まれて、高さを低く積めるようになっている。だのに無知な「新鮮組」は、中身が入っているのにそうやってばんじゅうを逆にして戻したりする。どうなるか? もちろん、中の品物はばんじゅうに押し潰され、パァである。そこまでいかなくても、ばんじゅうがちゃんと組み合わさらず、カドが下のばんじゅうに入っているパンを潰していたりする。もっと根本的なことには、素人が扱うと崩れるんだ、アレは!
 でも「新鮮組」はそんなの気にせず、勝手にばんじゅうをあさる。で、商品をダメにして逃げていく。なのに反省もせず、相変わらずばんじゅうから勝手に取っていく……。無駄に「新しいもの」を求めて!
 中には知能犯もいて、棚に希望する弁当がないような言い方をして店員に急いでばんじゅうから品物を出させて、棚にあるのと同じ弁当を持っていったりする。店員をコキ使って、あげくに店にダメージを食らわせるのに「お客様」ヅラをするわけだ!
 だから僕は、検品していない時点ではその積み重なったばんじゅうのてっぺんに、逆にしたカゴを置いたりする。しかし大した防衛策にはならず、そのカゴに新しいものを突っ込んでいく「新鮮組」も少なくないのだが……。
 もう一度言いましょう。
 業務妨害です。
 そして、営業妨害です! 「列を崩さないようにしている」なんて、明らかに嘘の大義名分を看板にしないように! それは店員の仕事であって、テメエが勝手に配慮してる振りなんかしなくていい範疇なんだ馬鹿野郎!

 彼ら「新鮮組」の「新しさを求める行為」は昨今に於いて拍車が掛かっており、ターゲットはパンや弁当だけじゃなくなっている。乳製品は当然の如く「新鮮組」のかっこうの餌食だし、レトルトなんかもそうだろう。
 しかし、カワキモノのお菓子まで後ろから取るってのはどうかね?
 そのうえ、ジュースも数本取って後ろものをカゴにブチ込み、手前のものを無理矢理戻す(これはジュースを奥に押し出し、落としてダメにする原因)のもどうだ?
 あげくには、2段になっているアイスのケースを、上の段を外してそれに入りきらなかったから入れておいた下の段のものを取るってえのも! そこは店員の領域だろうが! そもそも腐らない「冷凍」食品なのに……。
 彼らの行為は、もはや精神異常の類である。ああ、言い切ってしまうぞ!
 それは「脅迫性神経症」です。
 新しいものじゃないとダメだ、古いものを取っちゃダメだ、という観念に襲われ、そんでもって新しいものに表示された数字を見て安心する。数字がなくても、奥にあるものを取れば安心する。そうじゃないと不安。それって一種の精神依存です。
 だから、実際のところ「新鮮組」は非常に精神力の弱い連中なのだ。恐れなくていいものを恐れる振りをして、自分だけいいところをかっさらう。そう、だのに(悪い意味での)エゴも強い。
「新鮮組」には、本物の「新撰組」さながらに集団で割腹でもしてしまいなさい。その方が店のためだ。廃棄だって、余る商品は余るんだ。人気商品はどうせ余らないんだ。それでメシ食う店員にだって大したダメージはない。
 さあ、それでも後ろから商品を取りたいのなら、明確な理由を述べなさい。あなた方の大得意な「逆ギレ」じゃなくて正当な理由を!
 そうして僕を、まず納得させてみなよ。

 最後に、その「新鮮組」の層を分析してみる。
 一般的に「ババア(中年以上の女)」がそうであることは世間一般の認識だろうし、実際「新鮮組一番隊」はババアである。しかしだな、その入隊基準は「ババア精神」であることが既に解っている。だからババアじゃなくても、若くても、性別が違っていても「新鮮組」には入れるのだ。
 ババアの次は、そのババア候補軍である若い女。次にババアと一緒に暮らすジジイ。そしてババア精神を見ている若い男、になるだろうか。店によって異なるだろうが、僕の経験上ではこんな具合である。ババア候補軍は僕のレジではもれなく「年齢アップの刑」が待っている。
 また、興味深いことに、職業による分別もある。サラリーマン(ビジネスマン)とかOLとか、表面上クリーンなイメージの職業連中はみんなそれに負けるかのように、ババア精神を持っている。あと依存が大得意の学生連中。そう、精神的に依存している人間が「新鮮組」の素質を秘めているのだ。だから土木作業のオッチャン連中なんかは基本的に(飽くまで基本的に)前から取っていく。面倒臭がりってこともあるだろうが。ほら、グルメだって一種の依存だからね。
 そう考えると、ババアとスーツ連中と学生の率が高い日本には、本当に無数の「新鮮組」が潜んでいるわけだ。そしてそいつらが次々と店を食い潰していくのだ!

 というわけで、あなたもいい加減「新鮮組」から足を洗いなさい。
 キミタチは、無駄な自己満足行為でもって他者を苛んでいるのだよ。
 あさましいんだよ、その人間性が!
 じきに、この「新鮮組」は実例を2、3挙げて検証していこうと思う。その行為が悪いと思っちゃいないんだからね、奴ら。