20.たかが紙切れ、されど紙切れ

〜だから、口を利け!〜

 コンビニ店員は客に対して終始イライラしてるから、ちょっとしたことで余計その苛立ちを倍化させかねない。但しこれは自覚的な、仕事をしたがっている店員だとか、礼儀を気にする店員に限る。よくある「怠惰な店員像」に当て嵌まる、怠けてカネもらいたがってる連中は除きます。
 で、そうした店員の苛立ちの種はどこにあるかというと、やはり客の勝手な振る舞いであるのだが、その具体的なアイテムを絞ると何か?
 レシートである。
 あんな紙切れひとつに、店員は毎日えらい難渋させられるのだ。レシートだけで文章が書けてしまうほどに。

 まず、レシートは「簡易領収書」であるということを忘れないでください。レシートを自分で捨てておきながら、商品に不具合があったとか言って持ってきても、それをあなたが買ったという証明は何にもないのです。しかしそこで返品を断ると店の評判が悪くなり、その余波が広がるのを恐れるオーナーが寧ろフツーであるので、渋々換金に応じたりする。そこへ目を付けた犯罪――つまり「買ってもいない自分の持ち物を買ったと主張して換金する犯罪」も実際にあるのだ。ええ、何度もやるとつかまるぞ、テメエ。だから店員は、なるべくレシートを渡すように言われます。トラブル解消のひとつの手段になるのだから。
 けれども客は、それをウザッたがる。そんなトラブルが起こる確率なんて著しく低いと思い込んで、自分のズボラさを省みずにポイッと捨てていく……のは、まあいいとしよう。自分で捨てているわけだからな。レジ脇にあるレシート捨てだとかゴミ箱だのに。
 しかぁし、それを怠る客が余りにも多い。店員にその処理を押し付ける客が余りに!
 それが店員の苛立ちの種である。「レシート要りません」と言うならまだしも(いや口調にも問題があるが)、みんな無言なのだ。無言で突っ返してきたり、レジに置きっ放しにしたまんまそこを去ったりするのだ。
 それは、あんたのものです。購入したモノと、そのレシートはあなたが管理するべきものです。だからその処理は、基本的にあなたに委ねられます。だってそうでしょ? 領収書を店員が捨てる、っていう行為自体がミョーだと思わない? しかし「お客様」はその処理を店員に押し付けたあげく、それが必要な事態になると「レシート受け取ってねえ」なんて言い出すのだ。そして店員に「あんたが捨てたんだからゴミ箱あされ」と言うのだ。何て勝手な!
 しかも、やはり押し付け方が問題だ。
 なぜに喋らない? あんたにはクチがないのか? あんたはヒトにモノを頼む場合、何も言わないのか? それとも黙って渋さや虚無を取り繕ってるのかい?
 馬鹿。
 ムカつくんだよ、その押し付けが! あんたはそういう主義かも知んねえけど、こっちにゃ関係ないんだよ。発つ鳥後を濁してるんだぞ。他人に自分の尻拭いをさせてるんだぞ。それも横柄な態度と言葉で。「こんなの要らねえよ」とか言って! または店員の存在を無視して何も言わないで!
 また、ハナッから受け取らない客も多い。レシートは大抵、釣り銭と一緒に渡すのだが、釣り銭の下に敷かれたレシートを見るとしきりに手を振るとか。やはり無言で。
 意味わかんねえよ。
「要らない」って読み取ってほしいんだろう? ああ、本当は解るよ。でもな、どうして親しくもない人間に放たれたボディ・ランゲージをこっちが読み取らなきゃいけないんだよ。だーかーら、それも押し付けなの!
 せめて喋れ。これはレシートだけではない。店員が仕事でいないレジに黙って突っ立ってたりとか、黙ってばんじゅうから品物を取り出したりとか。これは今までも言ってきましたね。あと、公共料金の支払いに来たヤツが黙って請求書を突き出したりすると「何? くれるの? それとも僕に支払えとでも言うの?」と言い返したくなるぞ。

 私はあなたではないから、あなたの意図は読み取れません。
 ましてや、親しくもないあなたの意図なんぞ。
 そんなあなたの怠惰振り、ヒトにいろいろ押し付ける横柄振り、そういったものがあの紙切れひとつから解ります。気を付けなよ。些細な動作から人間は幻滅なり軽蔑なりしてしまうものだぞ。お気に入りの異性と一緒に買い物に行った際には、ぜひぜひ気にしたまえ。気になる上司でも可。但し幻滅が前提にあることは約束しよう。
 ま、そんなヤツと一緒にいるヤツは、やはりレシート突っ返し野郎だったりするけどね。ええ、類は友を呼ぶのですね。はー……。