『ザ・ヴェリー・ベスト・オブ』


THE VERY BEST OF

 中期から後期にかけてのビデオ・クリップ集7曲に、ライヴ映像『オイル・オン・キャンヴァス』を付加したもの。ビデオ・クリップでは成長したジャパンに触れられるし、ライヴ映像では彼らのステージングを楽しむことができる。「覚醒」した後のジャパンを映像で観るなら本作をお薦めしたい。なお、『オイル・オン・キャンヴァス』は16mmフィルムをもとにしているようで、映像は多少ザラついた感がある。
(邦題は省略、それらは各アルバムを参照のこと)


01.Life In Tokyo
 シングルでの発表となった、元祖エレ・ポップ・ナンバー。シルヴィアン他メンバーののケバケバ・メイク姿が拝める。スタジオでの一発録りといった感じで、淡々としたリズムを刻むジャンセン中心にカメラがぐるぐると回る。バックには女声コーラス隊がフィーチュアされている。途中、カーンによるサックス演奏も挟まれる。バルビエリとディーンはまるで目立っていない。

02.Quiet Life
 サード『クワイエット・ライフ』の表題曲。『ビデオ・ヒッツ』と同内容。

03.I second That Emotion
 シングルでの発表となった、カヴァー曲。『ビデオ・ヒッツ』と同内容。

04.Gentlemen Take Polaroids
 4作目『孤独な影』の表題曲。無人の会場をシルヴィアンが練り歩く場面から始まり、ステージに辿り着いて歌が始まる。途中ではカーンによるオーボエ演奏も挟まれている。最後はメンバーが会場を後にするカットでフェイド・アウトしていく。ディーンのサングラス姿には苦笑。

05.Swing
 4作目『孤独な影』収録のライヴ定番曲。時代を感じさせるシルヴィアンのサングラス姿は何とも言いがたいが、ダークでミステリアスな曲調にフィットしたフィルムになっている。またもカーンがサックスを吹く場面が挟まれている。何度見ても眉なしカーンの無表情は怖い。正確なリズムを刻むジャンセンの姿が勇ましい。早めのフェイド・アウトで曲は終わる。

06.Visions of China
 5作目『錻力の太鼓』収録の現実逃避ソング。毛沢東支配下の中国のテレビ映像を見やるシルヴィアンの独唱に始まる。中国の獅子舞や、人民服を着たメンバーが演奏するなど、とかく「東洋」を感じさせる映像。最後は毛沢東の写真に導火線の火が移り、モザイクとなって終わる。最も見ごたえのある楽曲と言えるかも知れない。

07.Nightporter
 4作目『孤独な影』の静謐なナンバー。シルヴィアンのピアノ弾き語りに始まり、淡々と、朗々と歌われる。暗い照明が否が応でも曲のムードを盛り上げる。あとのメンバーはオーボエを吹くカーンしか登場しない。「シングル・エディット音源」のようだ。

 以下、ハマースミス・オデオンでの83年ライヴ映像(『オイル・オン・キャンヴァス』でCD化されているもののTVプログラム)。

08. Overture (Burning Bridges)
 アユタヤの「ワット・プラ・シー・サンペット」という寺院の朝焼けが映し出され、タイトルが浮かび上がるイントロ・トラック。

09. Sons Of Pioneers
 淡々としたライティングの中、演奏するメンバー全体のショットと中国の情景がクロスする。ゴーストさながらにぼんやりと、妖艶なシルヴィアンの姿が拝める。

10. Gentlemen Take Polaroids
 ここから、メンバー個人をクローズ・アップした映像となる。どうしても歌うシルヴィアン中心のカットとなるが、カーンがコーラスしているさまやジャンセンの正確なドラミングなどメンバーのカットも映し出される。土屋昌巳のナルシシスティックなギター・ソロも。だが、何と言っても特筆すべきはカーンの「素早いカニ歩き」だろう。シルヴィアンはキーボードもプレイしている。

11. Swing
 そのままメドレーでこの曲へ。冒頭はフラッシュ・バックを用いたトリップ的な映像で、サイケデリックな趣を見せる。淡々と曲をこなすメンバーの姿が「フェアウェル・ツアー」であることを忘れさせてしまう。土屋昌巳の耽美的なソロはここでも披露される。クネクネしながら歌うシルヴィアンのバックで精緻なリズムを刻むジャンセンの姿が印象的だ。

12. Cantonese Boy
 この曲のイントロでようやくバルビエリがクローズ・アップされる。無数の風船が上がり、人民や兵隊が行進する中国の映像がふんだんに挟まれ、ビデオ・クリップ的な仕上がりとなっている。さながら「ヴィジョンズ・オブ・チャイナ」のビデオ・クリップの延長上にあるかのようだ。

13. Visions Of China
 イントロから中国の映像満載で、こちらもビデオ・クリップ的な仕上がり。特に間奏部分では天安門に炸裂する花火や毛沢東の映像がフィーチュアされる。カーンのコーラスが多い1曲でもある。

14. Canton
 またも中国の映像が差し挟まれるが、こちらは演奏を重視した映像。インストゥルメンタル・ナンバーだが、カラオケではなく、生演奏であることに注意したい。特にカーンのフレットレス・ベースの巧妙な使い方に注目。ギター・パートのない土屋昌巳はタンバリンを叩いている。

15. Ghosts
 各メンバーが死化粧さながらに幽玄に映し出され、カーンの無機質なサックスが響きわたる。そうして登場するシルヴィアンはまさにゴーストさながらの照明で切々とこの曲を歌いあげる。こうした鍵盤主体の曲こそ、バルビエリを映してほしいものだが(本作ではバルビエリの姿が余り見られない)。途中、ジャンセンが木琴を叩くショットも見受けられる。

16. Methods Of Dance
 タイの古典舞踊の、付け爪を付けた踊りの風景から始まり、バンド・ショットとなる。シルヴィアンとカーンを中心としたカメラ・ワークだが、さりげなく土屋昌巳が活躍している曲でもある。ここでもシルヴィアンはキーボードを若干披露している。

17. Still Life In Mobile Homes
 うねりまくるカーンのベースを軸としながら、ナルシシスティックに歌うシルヴィアンの姿を中心としてカメラが追う。タイトルに沿って、実際の「モウビル・ホーム」の映像が何度と挟まれる。それはあるいは、水上マーケットか水上バスかも知れない。

18. The Art Of Parties
 シルヴィアンが上着を脱いで登場。ファンキーなカーンのベースに対して、土屋昌巳のギター・ソロはサイケな趣。バルビエリがお情け程度に映っていたりもする。飛び跳ねたりと、とかく土屋昌巳が目立つ。ここではシルヴィアンが終盤でギターに興じている。

19.Voices Raised In Welcome, Hands Held In Prayer
 クレジットが流れる、エンド・トラック。