発掘の可能性がある未発表音源
〜全史を綴るための僅かな可能性〜
Rhamadan
どのブートにも抜粋しか収録されていない、68年5月14日録音のインスト。本来はそこそこの長さを持っていたらしいのだが……なぜ抜粋部分しか流出していないのだろうか? 正規音源にて、フル・サイズでの登場を願う。
Lanky (part 2)
『オペル』に“part 1”が収録されたことから、その続編が期待される。実際にレコーディングされたらしいのだが、その日付などは不明。同じくインストなのだろうけれども……曲調から“Rhamadan”がこれであるという考え方もできるのだが。
Living Alone
“Bob Dylan Blues”と同じ70年2月27日録音。同曲が入っていたというデヴィッド・ギルモアのテープに入っているのではないのだろうか? となると、他の曲の別タイトルなのかも……?
A Rooftop In S Thunderstorm Row Missing The
Point
録音日などは不明。歌詞だけは以前から流出しているのだが?
Motorbike Effects
録音日、歌詞などは不明。『レコードコレクターズ』2006年10月号(シド・バレット特集)を読んで初めて目にした曲名。
Mind Shot
ベスト“WOULDN'T YOU MISS ME ?”の裏ジャケットに、タイプライターで打たれた歌詞だけが記載されている。“Mind
Shot”という仮題から判るように、それが歌詞として出てくる「あたりまえ」の原型となるもの(実際、最初の1行は“It
Is Obvious”で始まる)で、この時点では楽曲は作られなかったと言われるが、シド自身のプライヴェイト・レコーディングはあったのではないだろうか? なぜなら、タイプライターの歌詞を数箇所、直筆で書き換えている部分があり、それはもしかすると曲を作りながら歌詞を変えていったのではないか、と思われるからだ。それが「あたりまえ」にどう発展したのか、興味のあるところだ。
Starsのデモ並びにライヴ音源
シドが2枚のソロ作を発表後、ジャック・モンク(b.)、トゥインク(dr.)両名と意気投合して突発的に結成された「スターズ」のデモ録音はされていた、というのが通説だ。また、トゥインクによると3回だけ行われたライヴと、そのリハーサルは必ず録音していたという。正規音源さえ製作されなかったものの、その存在は確実だ。それもオーディエンス録音(観客は誰も録音しなかったのだろうか?)ではなく、メンバー自身による良質の録音が。幻ではなく、シドがもう一度グループを組もうとした形跡を、この耳で確かめてみたい……。
その他多数のアウト・テイク
これは多く存在するのだろう。しかし、流出したとしても、ドキュメントとして見るほかない、楽曲として成立していない断片ばかりだろう。正規盤にボーナス収録されたものは、選び抜かれたアウト・テイクなのだろうから、それ以上の質の演奏はまず期待できない。
しかし、そういったドキュメント性の強い音源ほど聴いてみたい、という邪なファン真理もそこにはどうしても見え隠れしてしまうのだが……。
これらの音源は、多くはその存在(録音事実)が確実である。だからこそ、発掘の可能性もあるだろうし、逆に封印されたままの可能性も高い。正規盤で出せるほどのクオリティを持っているかどうかも疑問だ。
だが、それらを見てみたい。聴いてみたい。
そして、確かめたい。
シドという人物のパズルのピースが、まだ存在することを。シド・バレットその人は完結した存在ではなかったということを。
しかし、これらの登場をもって、シドの楽曲も「新曲」が登場することがなくなるのも淋しい。
「僕がいなくてさみしくないの?」
シドはもはや、そんなことは訊かないだろうが、訊かれたら筆者は頷いてしまうだろう。
こうした未発掘音源の存在も、彼の存在がミステリアスであり続ける理由となるのだろうけど……。