ピンク・フロイドほかの画像を削除していたことについて
〜「著作権法第32条第1項」の「無視」〜
拙サイトは、以前よりジャケット画像及びミュージシャン本人の画像を掲載していた。しかしそれは(当時は知らなかったものの)著作権侵害ではなく、寧ろ「著作権法第32条第1項(註:文末の筆者によるメール文中に述懐)」に含まれる「研究のための引用」として「可」とされるものだった。筆者は、飽くまで「主」となる文章に「従」の関係を保つ「資料」として画像を使用していた。そのためクレームなどもなく、ミュージシャンの作品、或いは本人達の研究材料として存在し続けていた。
しかし2002年10月下旬、「某企業」より「警告」と題したメールが到着した。
その趣旨は「ジャケットなどの掲載は著作権侵害になる」というもので「即刻画像を削除するように」との指示が含まれていた。筆者はどこか納得のいかない部分が大きかったものの、著作権について調べる時間も余裕もなく、表現の場が失われるよりも、画像の削除――「従」を消して「主」を残すこと――を選んだ。但し、一時的な措置として。
その後、遅まきにして「著作権法第32条第1項」の内容を知り、画像の削除を悔いることになる。
そこに述べられていたのは、「某企業」が「警告」メールに記した「画像の使用即ち違法」といったものではなく、大意を抜き出すと「紹介などには用いることはできないが、研究のための引用であれば許可される」という内容のものだ。それは著作権に於ける暗黙の了解であったらしく、そのため、「紹介」と「研究」の判別が時には難しいので、画像掲載は現在「黙認」されているようだ。
ところが、拙サイトは「警告」の旨を受け取った。
これは即ち、「某企業」が拙サイトの画像使用を「著作権侵害=単なる紹介に過ぎない」と判断したことになる。わざわざ「警告」などと題したメールを送ってくるのだから、まさか著作権法に基づいた判断ではない、ということはないだろう。ましてや「すべての画像は掲載不可能」などという、教科書的な判断でもない筈だ。拙サイトでの画像の使用法に、何らかの「違法」とすべき判断要素があったのだろう……か?
そこで筆者は、以下の質問を「某企業」に投じた。
(1).著作権法第32条第1項にある基準に拙サイトは即していないのか?
(2).すぐに検索できる他のサイトへの警告は行っているのか?
(3).なぜ拙サイトのみに「警告」メールが送られてきたのか?
その解答は、以下のようなもの(大意)だった。
「すべての画像使用は著作権法侵害です」
筆者の質問には、ひとつも答えてもらえなかった。
特に、最大の判断材料となる筈の「著作権法第32条第1項」を掲げたのに、それにまったく触れられなかったというのが、筆者を悲しませた。筆者が「某企業」から聞きたかったのは、そんな「おためごかし」や「事務的発言」ではない。前述の質問の解答だった……が、結果として、それらはすべて「無視」されたことになる。考慮も何もされず、ただ機械的に「何と言おうと、何もかも駄目」と言われたようなものだった。
さらに言及するならば、著作権保護下のものは一般に「引用」と認められる範囲であれば使用が許される。そうでないと、歌詞の抜粋さえも引用できず、何もかもが「論じる」ことができなくなってしまうためだ。論者がいなければ、製品の価値を保ち続けることが難しい。だからこそ「ある程度の引用」は許されているのだし、その「ある程度」の範囲を、先に掲げた「著作権法第32条第1項」によれば、筆者は越えていなかった筈だ。
なのに「某企業」から返ってきたのは「すべて不可」という機械的な対応だった。
引用についても、著作権法第32条第1項も、何もかもを「無視」したまま。自らの「負」となる部分にはいっさい触れずして。
拙サイトを読み、購入のガイドになったという声もある。それはそうだ。レア・トラックの文章を綴っても、それを購入する大きな資料となる「ジャケット」がそこにはあったから。
しかし今回、筆者にとっては「某企業」に「あなたは宣伝行為(=拙サイトは「評論」などには認められていないらしいので)をしなくともよい」と言われたのと同じこと。検索エンジンのひとつでも使えば芋づる式に繋がる筈の他のサイトすべては警告されず、「筆者だけ」に「警告」メールは送られてきたのだから。それ即ち「他の連中は放っておくけど、あんただけは画像使用を許さないよ」と宣言されたのと同じことと言えまいか。
ならば、筆者が文章を連ねるのは、その「某企業」に「監視」されながら、利益ばかりを持っていかれ、他には何も認められない、ということになる。そうとなれば、筆者は、今後「某企業」からリリースされる(されている)カタログはいっさい批評も論証もしない。バンドやメンバー、さらに彼ら自身の創造物には触れることはあるだろうが、商品そのものを論じることはなくなるだろう。そのため、ピンク・フロイドのページは実質上、もはや更新は望めない。ブートレッグは画像を使用しても、訴えられるべきは筆者ではなく、まずはブートレッグ製造業者となるだろうから、そちらの論考などは行えるかも知れない。同じピンク・フロイドでも他社製品であれば、その「某企業」の管轄ではない筈だ。
これらの判断から、筆者は「某企業」が著作権を持つ(とも言い切れない筈なのだが)以外の画像は復活させた。
並びに、今後は「某企業」の製品はいっさい、「国内盤新品」での購入は控えることにした。前述のように利益ばかりを持っていかれ、あげく金を払ってまでして「監視」されてはかなわない。だからこそ「某企業」に利潤が求められない方法で入手することにする。中古の購入がメインとなり、苦しくとも輸入盤を求めるようになると思われる。
なお、文中に用いてきた「監視」という単語は、実際に「某企業」のメールに記されていた言葉である。我々は常に「監視」されているのだそうだ。
まだまだ筆者には、「某企業」の製品でも比較・論評などを行いたいものが多く存在する。ピンク・フロイドについては言うまでもないだろう。だが今後は「某企業」に利潤がゆかぬような範囲(私の行いは結局「紹介」に過ぎず、しかも不適切と判断されたからだ)での執筆に限られてしまいそうなので、執筆可能な範囲は一気に狭まる。
残念ながら、上記の理由から筆者はすべての文章を中絶せざるを得ない。或いは「某企業」が筆者の質問に「きちんと」答えていてくれさえすれば、画像は復活しないままでも、続けられただろうに。
読者の方々、申し訳ない。
筆者が謝辞を述べるのもおかしなことだが、そういうことになる。
何にも増して「某企業」の機械的な対応が、筆者にはとても哀しく、やりきれないことだ……。
傍線以下、およそ3度(一部の文字化けを理由に、「メール(1).」「メール(2).」はまとめて再送信している)にわたって送信した、筆者による文面である。
「某企業」のメールに相当する部分はこうした形での引用が禁じられ、さらには「又引き」にもなるので、( )にて大意を記した。
メール(1).
(前略)御社よりの返信に、確認したい部分がありましたのでここに申し上げます。
以下、「 > 」部分は御社よりの返信の引用となります。
> (画像削除について「理解」が得られたことへの謝辞)
当方は「理解」はしておりません。
なぜなら「著作権法第32条第1項」にこうあるためです。
「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」
拙サイトに於けるPINK FLOYDその他の画像すべては、ここにある「引用」の範疇に属すると思われます。少なくとも筆者である私は、サイト全体に於いて「紹介」ではなく「批評・研究」を行っているのであり、かつ、論が「主」であり、飽くまでジャケット写真は「従」の関係にあると思っております。ましてや悪意や商業行為の妨害が含まれる箇所はまったくありません。
つまり、著作権法第32条の範囲内であると、判断しておりました。
ところが御社よりの通達は具体的な箇所指摘などもなく、単に「不可」とのことでしたので、やむを得ず全画像を「一時削除」したに過ぎません。
また、これらはある種の「暗黙の了解」であると認識している部分もありましたので、私からは御社に以下の文章(「>>」部)を送らせて頂きました。
>> 私のようにおろそかな人間が多数存在する筈です。
>> 願わくば、他サイトへも同様の措置をお願いします。
ここの文意は「暗黙の了解であったものを、このように警告という形にするのであれば、徹底してほしい」という意を含みます。
ところが、あれより周囲のPINK FLOYD画像使用サイトは一向に減っておりません。こと、各種検索エンジンに登録されているサイトは軒並み平常通りにジャケット写真などを掲載しております。
よって、
> (画像使用サイトを発見次第「警告」を発しているという旨)
とのお返事が、申し訳ありませんが信用できずにおります。
また、それに続く部分に、個人的ではありますが最も納得がいきかねております。
> (これからも各種サイトを「監視」し続けるという旨)
我々は「監視」されているのですね。
であれば、私は、お金を払って買った御社製品を、著作権法第32条の範疇での研究を行っているのに、監視されるのは好みませんので、今後は評論・購入などを控えさせて頂きます。
尤も、これは個人的なことですので、問題ではありません。
個人的感情ですので、ここの一文はお気になさらぬよう。
ただ私は、何をもって御社が拙サイトを「著作権侵害」という判断を下されたのか、具体的な箇所などでもって知りたい。尤も画像は削除してしまいましたが、警告を出すということは、明確な警告の理由が存在する筈です。単純に「使用即ち悪用」といったものでは説明になりません。
これは悪意ではありません。わざわざ警告まで出されたのですから、納得のいく説明をして頂きたいのです。
冒頭に掲げました「著作権法第32条」に筆者は含まれず、他の「紹介」ばかりするサイトは適応されるのでしょうか。
不可思議なことばかりです。
御社の「警告」とされたメールに威圧を感じ、個人的な事情もあり削除を余儀なくしましたが、上記についての説明だけはどうか行って頂きたく存じます。
また、合法であれば、PINK FLOYDの芸術性を語るうえでジャケット使用は必須となりますので、許可を頂きたく存じます。
よろしくお願い申し上げます。
メール(2).
(前略)
著作権法第32条第1項を照らし合わせた私の結論として、今後何らの反応がない場合、勝手ながら前回及び今回のメールの趣旨に基づき、画像の多くを復活させる次第でおります。
あるいは、応答が真摯でない場合、越権的なものであった場合などは、それを正当な回答ではないと判断し、画像を復活させる次第です。もしくは、PINK
FLOYD及び(某企業)に関する画像を排除したままであっても、今回のやりとりの要旨を文書化したものを掲載し、不掲載の旨を説明します。または、その双方を拙サイトに於いて行います。
勝手とは思いますが、どうかご了承ください。
ご解答のない場合、それは暗黙の了解とさせて頂きたく存じます。
メール(3).
私が聞きたかったのは「おためごかし」や「事務的なコメント」ではありません。
「著作権法第32条第1項の存在は?」
「その適応範囲ではないのか?」
「なぜ拙サイトのみ警告されたのか?」
「なぜ他のサイトは放ったままなのか?」
……などの、あらゆる問いかけに「正当には」答えて頂けていないため、今までのメールの内容に宣言した通り、今回の「ジャケット写真削除のいきさつ」を拙サイトに執筆させて頂きます。
何らかの行いに説明が付与するのは当然のことです。またそれが誹謗・中傷の類ではないことをご承知ください。
無論、企業名なども伏せたうえで、御社よりのメールから引用なども行いません(筆者自身の文面は、その「著作権」が筆者自身に発生しているでしょうから、引用を行います)。ことのいきさつの説明、著作権法第32条第1項についての説明、さらには自分の考え、それらの説明に終始する予定です。
蛇足ですが、今まで、貴社の製品にはお世話になりました。今回のPINK
FLOYDのみならず(中略)様々な音楽に触れさせて頂いておりました。
ですが今後は、今回の対応などから、残念ながら、国内盤新品での購入はいっさい控えさせて頂きます。そんなのはリスナーの勝手だ、と、どうぞお笑いください。所詮、一消費者の戯言ですから。
今まで、ありがとうございました。
*「某社」からは何のリシポンスも得られなかったので、メールでの宣言通り、画像を復活させました。