ザ・マスド・ガジェッツ・オブ・オグジマインズ

〜“THE MAN”及び“THE JOURNEY”組曲〜

 69年のライヴにて披露されていた“THE MASSED GADGETS OF AUXIMINES”は、公式アルバムに収録されなかったために存外のこと知る者が多くない。ブートレッグ収集を始めたファンが、その初めにぶつかるものだろう。
 そのタイトルのもとに、フロイドはふたつの組曲を演奏する。それが“THE MAN”及び“THE JOURNEY”組曲である。これらは全編を収録したブートも多くあるが、中にはその一部のみをカットした粗悪ブートも存在するので、購入の際には、その収録曲を念頭に置いて頂きたい。
 また、殆どの曲はメドレー形式にアレンジされているのだが、一部演奏が止まる部分もある。それは記述内容を参照されたい。演奏中断の記述がないものは盤により観客の拍手により演奏が中断されるように聴こえていたりもするが、基本的にはメドレー形式になっている。


[“THE MAN”組曲]

1.Daybreak
“UMMAGUMMA”収録の“Grantchester Medows(グランチェスターの牧場)”のバンド・ヴァージョン。

2.Work
“RELICS(ピンク・フロイドの道)”収録の“Biding My Time”としてスタジオ収録される曲。この曲ではリックがトロンボーン・ソロを演奏するなど、メンバーが普段と違った楽器をプレイしているようだ。演奏はここで一時中断される。

3.Afternoon
 楽曲ではなく、バンドの休憩タイムで、ローディー達がお茶を持ってくるというもの。多くは割愛されている。また、ロジャーはソロになって後に“RADIO K.A.O.S.”リリースに併せたツアーで同じ趣向を(フロイドの“Arnold Layne”のクリップを流しながら皮肉るという形で)行っている。

4.Doing It!
 短いドラム・ソロ。休憩終了の知らせであり、メドレーにはなっていない。ドラム・ソロということでは“UMMAGUMMA”収録の“The Grand Vizer's Garden Party(統領のガーデン・パーティ)”に喩えることもできるだろうか。

5.Sleeping
 キーボードをフィーチュアした曲で、“MORE”収録の“Quicksilver”に似ている。イントロでは呼吸音のテープが流され、メンバーはステージ上でタイトル通り寝ていたと言われる。

6.Nightmare
 同じく“MORE”に収録の“Symbaline”を、こちらはそのまま演奏。

7.Daybreak
 イントロであった同名曲を、インストゥルメンタルにしての再演。リプリーズしてこの組曲は終わる。


[“THE JOURNEY”組曲]

1.The Beginning
“MORE”収録の“Green Is The Colour”と同内容。

2.Beset By Creatures Of The Deep
 コンピレーション“RELICS(ピンク・フロイドの道)”などに収録されている“Careful With That Axe, Eugine(ユージン、斧に気をつけて)”と同内容。だがタイトルが違うので、原曲にはある、その題名を囁く場面はない。これは時と場合により名を変えているこの曲で一貫して行われていることである。

3.The Narrow Way
“UMMAGUMMA”ではギルモアのソロ・ナンバーとなる曲のパート3部分のバンド・ヴァージョン。

4.The Pink Jungle
“PIPER AT THE GATES OF THE DOWN(夜明けの口笛吹き)”収録の“Pow R. Toc H.”と同内容。

5.The Labyrinths Of Auximines
 同じく“PIPER AT THE GATES OF THE DOWN(夜明けの口笛吹き)”収録の“Interstellar Overdrive(星空のドライヴ)”の、中間部を基盤としたインスト。

6.Behold The Temple Of Light
 オルガンを主体としたインストゥルメンタル曲。

7.The End Of The Beginning
“A SAUCERFUL OF SECRETS(神秘)”のタイトル曲より最終パートである“Selestial Voices”のオルガン・パートを抽出したもの。これをもってこの組曲は終わる。


 これらをスタジオで再録音し、アルバムとしてリリースする案もあったのだが、結局のところ実現はされなかった。ゆえにブートのみでしかこれらの組曲は聴けない。元ネタとなったスタジオ音源を組み合わせればある程度の再現は可能だろうが、一部それができない部分もあるのが事実である。だからこそブートに頼らなければならないのだが、盤によって録音状態や楽曲の再現度などが非常に異なり、またアナウンスがかぶさってしまうものなどもあり、お勧めとなるものを一概には挙げられないのが実状である。
 だが、言い詰めればこれまでに発表されている曲の焼き増しでしかないこれらの組曲よりも、後の様々なアイディアを内包する“UMMAGUMMA”の発売を選んだフロイドの選択は、間違ってはいなかった筈だ。それを理解したうえで、これらの組曲がブートでしか入手できないという現状を慮ってほしい。